- 第一章 児童文学とわたし
- 1.『人魚姫』との出会い
- 2.昔話と児童文学
- 第二章 いま、なぜ、日本の昔話なのか
- 1.いま、なぜ、日本の昔話なのか
- ①通過儀礼を語る昔話
- ②勧善懲悪を語る昔話
- ③予定調和を語る昔話
- ④人生の不条理を語る昔話
- ⑤時代と社会を語る昔話
- ⑥人生をゆたかにする昔話
- ⑦昔話を語る必要性
- 2.昔話のおもしろさは?
- 3.物語から昔話へ
- ①『竹取物語』から昔話『竹姫』へ
- ②御伽草子『鉢かづき』から昔話『鉢かづき』へ
- 第三章 わたしの選んだ日本のむかし話
- テーマ1.愛と別れ
- 蛇聟入/ 狐女房
- テーマ2.恵み
- 地蔵浄土・鼠浄土・おむすびころりん/ 笠地蔵
- テーマ3.逃走
- 三枚のお護符/ 牛方山姥
- テーマ4.夢と運
- 藁しべ長者/ 鳩提灯・三ねんねたろう
- テーマ5.冒険
- 一寸法師/ 桃太郎
- テーマ6.悪と欲
- 瘤取爺/ 舌切雀/ 花咲爺
- テーマ7.報復
- 猿蟹合戦/ かちかち山
- テーマ8.笑いととんち
- 餅は本尊様/ 茶栗柿麩
- テーマ9.友情
- 旅人馬
- テーマ10.時代(伝説)
- 浦島太郎
- 参考文献
はじめに
ある昼さがり、四人の女が「最近の子どもたちは、昔話を知らない」と嘆いていました。(もし、幼児教育の第一人者であり、『チュンチュンワールド』の作詞でおなじみの鈴木みゆき先生がその席にいらっしゃらなかったらならば、オバサンたちのグチで終わっていたことでしょう。)しかし、現実は子どもどころか、二十歳の学生たちにも、『花咲爺』を知らない学生がいるのです。昔話は時代や社会、そして、子どもたちとともに変容してきました。昔話の変遷をたどり、その本質を理解することは、現代社会の教育問題に対応するうえで、意義があることと思います。そのために、「動物闘争」などといったように、従来の話型による分類方法をとらずに、もっと身近な人生や生活のなかで遭遇するテーマ別に分類しました。さらに、その昔話に関する知識や研究をわかりやすく、Q&A方式で盛りこみました。昔話を知らない学生にも、ご存じの一般人の方々にも、興味をもって楽しく読んでいただければ幸いです。昔話は語り手の楽しい語り口と聴き手の興味に支えられてきたのですから……。
ふりかえってみますと、この本が生まれるまでには本当に多くの方々からの恩恵を受けました。出版のきっかけを与えてくださった鈴木みゆき先生、テーマ別分類や現代人の興味という視点をご教授いただきました聖徳大学の山口博先生、社会的変遷という見方を教えてくださった五郎丸延先生、構想についてのご助言をくださった明治図書出版の仁井田康義さん、言語学の立場からご教示くださった水野正規先生、校正をお手伝いくださった長沼伊吏子先生・赤塚雅己先生、ご協力くださった聖徳大学の図書館のみなさん、皆様のご厚情に深く感謝申しあげます。
一九九九年三月 /真野 須美子
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- 明治図書