- 序文 /有田 和正
- まえがき
- T 低学年の発展教材
- 【一年生】
- 一 「あくしゅ」して、くわしく書く練習をする短作文の指導
- 二 「ともだち」(まど・みちお)で、読みとったことを音読表現しよう
- 三 くりかえしを使って書く詩の練習「あきがきたね」
- 四 どんな数え方をするのかな
- 【二年生】
- 五 身体表現で楽しく読む
- 六 反対言葉を使って詩を書こう
- 七 「ポケモン」から学ぶ言葉のおもしろさ
- U 中学年の発展教材
- 【三年生】
- 一 国語辞典早引き大会
- 二 子どもが燃える熟語さがし
- 【四年生】
- 三 オリジナル漢字作りで、部首に強くなろう
- 四 漢字のまとめは「部首作文」で
- 五 漢字だけで詩をつくろう
- 六 送り仮名ビンゴで漢字に強くなろう
- 七 この文章、テンで分からない! ──読点の打ち方──
- 八 もらってうれしい手紙を書こう ──初めのあいさつに一工夫──
- V 高学年の発展教材
- 【五年生】
- 一 「さかなやのおっちゃん」(畑中圭一)で、方言を楽しむ
- 二 「めだかの学校」で、楽しい歌づくり
- 三 「花の名前」から語句の由来を知る
- 【六年生】
- 四 短文作りに発展させる扉の詩を使った授業開き
- 五 オリジナルことわざ辞典を作ろう
- 六 ことわざをデザインする
- 七 慣用句で神経衰弱ゲームをする
- 八 日本語っておもしろい! ──表意文字変換──
- 九 白熱! 「熟語しりとり」でバトルしよう
- 解説 /有田 和正
- あとがき
序文
二〇〇二年四月より、新しい学習指導要領が実施され、これまでにない「超薄い教科書」で学習することになり、学力低下が心配されている。折りしも、二〇〇二年一月〜二月に実施された学力テストの結果が公表され、「おおむね良好」と発表された(二〇〇二年一二月)。わたしは、「はてな?」と思った。
これは、事前に設定していた正答率を上回る教科が多かったからだという。しかし、目標設定値を低く設定すれば「良好」ということになるではないか。詳しくみると前回より結果がよかった問題は全体の四分の一にすぎず、逆に悪かったのはその倍近い。やはり、学力は低下しているとみた方が適当のようだ。
文部科学省は学力低下を予想したのか、二〇〇二年四月から実施された学習指導要領を、「教える内容の最低基準」であるとした。これまでずっと到達目標ないし標準としてきたことをあらためたのである。
学習指導要領が「最低基準」となったということは、これを具体化した教科書も当然最低基準ということになった。この最低基準をクリアした子どもには「発展学習」を行うことになり、学習指導要領を超える授業を認めたのである。これは画期的なことではあるが、学校現場に大きな混乱と不安を与えた。
二〇〇二年八月二二日、文部科学省は、教科書の範囲を超えた「発展学習」や、基礎をじっくり学ぶ「補充学習」の参考となる教師用指導事例集の小学校版を公表した(算数だけ)。これをみると新学習指導要領で削減された内容を軒並みに復活させている。
なお、次回の教科書検定では、発展的な内容の記載を容認するという。すべて学力低下への配慮である。
このような動きをみるにつけ、文部科学省の事例集に頼るより、自分たちで作った方がよいのではないかと考えた。
つまり、「教材・授業開発研究所」の事業の一つとして『新教科書を補う発展教材の開発 国語・社会・算数・理科』を、研究所の支部や研究サークルで出版したいと考え、各支部やサークルに呼びかけた。多くの支部やサークルが積極的に応じてくれた。
教科も希望をつのった。算数・理科の希望が多いだろうと予想していたところ、発展教材の開発が比較的むずかしいといわれる国語と社会を多くの支部・サークルが希望してくれ、驚いた。やはり、すごく意欲的な教師たちだと思った。
各支部・サークルは、地域性やサークルメンバーの特技・特色を生かした、実にユニークな教材を開発してくれ、とてもうれしく、力強く思った。
サークルメンバーは、よく考え、よく理解し、よく知恵を出し合い、新しいものを創り出してくれた。「これが発展教材だ」という決まったものがあるわけではない。だから、多様なものが出てくるのが当然であるし、その方が望ましい。
研究所の支部は北海道から沖縄まで全国にある。準備のできたところから順次出版していくことにしている。今回の出版物は、全国の教師に大きな刺激を与えるものと期待している。
今後は、基礎をじっくり学ぶ「補充教材」の開発も構想し、その準備をしているところである。
今回の一連の出版は、明治図書編集長の江部満氏のお力添えによるところが大きい。記してお礼を申し上げたい。本当にありがとうございました。
二〇〇三年一月二日
教材・授業開発研究所代表 /有田 和正
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- 明治図書