- まえがき
- 第一部 このわたし……
- <“私”の形成と発達>
- 1. 赤ちゃんは自分が分かる
- 2. 幼児期における“私”像の発達
- 3. 人から見られている“私”
- 4. “超私”(ス−パ−エゴ)幼児の道徳の発達
- <道徳的判断及び道徳的振る舞い>
- 5. 自己コントロ−ル
- 6. 自己評価
- 7. 気 質
- A) 活動のレベル
- B) 近づきか引き込みか(初体験への反応)
- C) 適応
- D) 反応の強さ・大きさ
- E) 注意の転換・そらし方
- F) 機嫌の質
- 8. 社交性
- 9. 男の子と女の子
- <行動の違い>
- A) 言語的能力と空間知覚
- B) 攻撃性
- C) 社交性と育児
- D) 活動的−非活動的
- <性的役割の社会化>
- 第二部 そしてもう一人のひと
- 1. 大人と子どもの関係
- A) 一番大事なもう一人のひと
- <愛情に満ちた関係>
- B) 父親と子ども
- <父親なしで>
- C) 教育者
- a) 愛着
- b) 承認
- c) 受容
- d) 拒絶
- D) 面識
- <“他人”についてのイメ−ジ>
- <このような出来事の一例>
- <コミュニケ−ション>
- 2. 同年齢の仲間関係
- A) 兄弟
- B) クラスの中の相互関係
- 1. 遊び
- a) 一人遊び
- b) じっと見つめる遊び
- c) 並行遊び
- d) 連想遊び
- e) 協同遊び
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- a) 儀式遊び
- b) 言葉遊び
- c) 役割遊び
- 2. 心の優しさと競争心
- 3. 暴力性
- <保育園の中での暴力的な幼児>
- 4. 友情
- 文献紹介
まえがき
この本は,私の2002年に出版した「幼児は世界をどうみているか?」の続編にあたります。前著では,3〜6歳の子どもの思考と世界像の発達を紹介しましたが,ここでは3〜6歳の子どもの人格はどう展開されていくか,その人間関係は,大人たちと,仲間の子どもたちとどう形成されていくのかを紹介したいと思います。
本の最初の部分では,子どもの自我の様々な現れについて,子どもが最初に鏡の中の自分が分かった瞬間から以降について述べます。
子どもの自己像の形成“思われた自分”の出現(つまり,子どもはゆっくりと,他の人たちは自分のことを自分が思っているのとは必ずしも同じにみていないことに気がつく), および“超自我”の働きを紹介します。それを通して私たちは,幼児期の道徳観(道徳観についての知識とかれらの倫理的態度)の大人のそれとは劇的に異なった興味深い世界に引き入れられます。
さらに,気質と社交性の生まれつきのあり方,自己コントロールと自己評価の,後々の学童期の社会化にとっても重要な,学習されたあり方についても述べました。
第二部は,3〜6歳の子どもの人間関係について考えます。
そして,ありとあらゆる人間関係の原型と言われる母子関係について述べますが,育児者や父親の役割についても述べます。この両者の社会化の中で演じる意義について,科学がようやくここ10〜15年認めるようになってきたのは皮肉です。子どもの仲間関係の相互的モデルの中からは,遊びとアルトゥルイスム(愛他主義,エゴイスムの反対)と攻撃性の三つを取り上げました。攻撃性については,他の性質よりも詳しく例を示しました。例えば,どのような条件のもとで幼児が攻撃的になるのか。どんな思考の振る舞いの特徴が,かれらを他の子どもと目立って違う子どもにみせるのか?
また,どのような具体的な教育方法が,かれらが社会化の道を踏みはずす前に立ち直ることを可能にするか等々。
いつもと同じように教育者の方々にせよ,ご両親にせよ,読者に最も負担の少ない方法で理解していただくよう努力しました。
この本から得られた知識や情報により,読者の教育の仕事が少しでも多く助けられることを希望します。
/ランシュブルグ・エネー
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