- まえがき
- 国語科メディア教育とは
- T 実践編
- 一 これ、だれが考えたのかな?
- ――文字情報から作られるイメージと映像化されたもので見るイメージについて考えさせる(小四)――
- 1 「メディア」ってなんだろう?
- 2 「百読は一見に如かず?」
- 3 「どれが本物の松井さん?」
- 4 どんな出会いがあるかな?
- 5 達成基準を踏まえた学習の評価
- 6 今後の課題
- 二 ヒット商品つくります
- ――新聞やチラシの手法や商品名を商品キャッチコピーに生かす(小四)――
- 1 見つけたよ、新聞の秘密!
- 2 チラシの秘密は、もっとすごい!
- 3 名前にはわけがある
- 4 自分が考えた品物を売り出そう
- 5 達成基準を踏まえた学習の評価
- 6 今後の課題
- 三 映像から情報を読む
- ――話し合いによって広げる・深める(小五)――
- 1 鑑賞文を書くの?
- 2 できるだけたくさん書いて!
- 3 話し合うのは結構おもしろい
- 4 さっきより書きやすい
- 5 作文を比べてみたら
- 6 達成基準を踏まえた学習の評価
- 7 今後の課題
- 四 思い通りに場面構成! ビデオっておもしろい
- ――動画の場面の構成を変えて表現する(小四)――
- 1 おじいさんすごい! 人の出したごみを一生懸命かたづけている
- 2 先生、いろいろなところで撮ったでしょ
- 3 働くおじいさんのことを知らせたいから同じ場面を二回使いたい
- 4 三年生だからやさしくよびかけよう
- 5 えっ、同じビデオでこんなにちがうの?
- 6 ビデオって作文を書くときのメモみたい
- 7 達成基準を踏まえた学習の評価
- 8 今後の課題
- 五 未来は夢のニュースキャスター
- ――身近な出来事をニュースで表現する(小五)――
- 1 ニュース番組っておもしろそう!
- 2 ニュースを探しにレッツゴー
- 3 それじゃ本番、三秒前
- 4 ニュース番組、スタート
- 5 達成基準を踏まえた学習の評価
- 6 今後の課題
- 六 見て、つくって、演じてコマーシャルについて考えた
- ――劇化、ポスター作りの試み(小五)――
- 1 知らず知らずのうちに
- 2 コマーシャルってすごい
- 3 自分たちもつくりたい。つくっちゃお
- 4 見よ! ゴキちゃんコロリのこのパワー!
- 5 わたしってどんな人?
- 6 達成基準を踏まえた学習の評価
- 7 今後の課題
- 七 とっておきのスペシャルメニューをあなたに
- ――写真を合成し、効果的な言葉で表現する(小五)――
- 1 「料理番組のひみつをさぐろう」
- 2 「わさびは○○い」って本当?
- 3 『ここからがいよいよ君たちシェフの腕の見せどころ』
- 4 授業をつくるにあたって
- 5 達成基準を踏まえた学習の評価
- 6 今後の課題
- 八 短歌・俳句の「ギュッ」をプレゼンテーション
- ――短歌・俳句と写真画像とを意味づけ、効果的に発信する(小六)――
- 1 紹介方法は「なりきり作文+スライドショー」
- 2 「お気に入り」はこれに決定
- 3 作者になりきって「ギュッ」をまとめよう
- 4 「写真、どれがいいと思う?」
- 5 「すごい!」があふれる発表会
- 6 達成基準を踏まえた学習の評価
- 7 今後の課題
- 九 オリンピックにおける清水宏保選手の活躍を伝えよう
- ――新聞の見出しと写真から考える(小六)――
- 1 子どもたちの実態
- 2 一時間目の実践の概要
- 3 各グループは見出しと写真をどのように選んだか
- 4 一つの事実に、いろいろな見出しや写真が使われるわけは?
- 5 生徒の記入した学習プリントと本単元の自己評価
- 6 授業後の生徒の学習作文から
- 7 達成基準を踏まえた学習の評価
- 8 今後の課題
- 国語科メディア教育の授業
- ――実践の解説
- 1 日常的に接しているメディアについて、その特性を考える
- ――文字と映像の関わりから考えを深めていく(小四)――
- 2 メディアの表現方法について分析し、表現に生かす
- ――新聞やチラシを教材とした取り組み(小四)――
- 3 映像を言語化する方法を学ぶ
- ――学び合いを生かした基礎的学習への取り組み(小五)――
- 4 効果的な映像の組み立てを工夫する
- ――言葉と映像の関わりを考えた、編集過程への取り組み(小四)――
- 5 ニュース番組を分析的にとらえる
- ――理解と表現を通して、メディアの仕組みに迫る(小五)――
- 6 身体性を生かしたメディア教育の可能性
- ――劇化による学習の長所を生かす(小五)――
- 7 五感でとらえた言葉を効果的に生かす
- ――映像と言葉で味を表現する(小五)――
- 8 映像を生かして短歌・俳句の味わいを深める
- ――言葉によるイメージと、映像によるイメージを共鳴させる取り組み(小六)――
- 9 映像と言葉を組み合わせて効果的に表現する
- ――学び合いを生かした情報の吟味(小六)――
- U 理論編
- 戦後国語科教育におけるメディア・リテラシーの位置の変遷
- 1 はじめに
- 2 研究の方法
- 3 占領政策におけるメディア・リテラシーの育成(昭和二〇年から二五年まで)
- 4 第一期「言語経験主義・民主教育のメディア・リテラシー」(昭和二五年から三五年)
- 5 占領政策の方向転換(昭和二五年)
- 6 第二期「能力主義・マスコミ警戒型メディア・リテラシー」(昭和三六年から五二年)
- 7 第三期「国語科から分離するメディア・リテラシー」(昭和五三年から六三年)
- 8 第四期「言語経験復活・情報教育のためのメディア・リテラシー」(平成元年から一四年)
- 9 終わりに
- 国語科メディア教育のための目標分析表・評価表
- あとがき
まえがき
情報化社会といわれる現代は、同時に情報氾濫社会でもある。
莫大な量の情報を鵜呑みにすることなく、主体的・批判的に取捨選択できる能力を持つことは、現代社会に生きる市民として基本的に重要なことである。また、そうした情報を伝える媒体としてのメディアそのものの正体をよく理解し活用する能力や、インターネットなどを通じて自ら情報を発信する能力も求められている。
このような時代を迎え、国語科においても従来の内容(教材も含めて)・方法の枠内にとどまらず、新たな領域や方法の開発が求められている。
私たちは、度重なる討議の末、国語科の守備範囲内で扱うべきメディア教育の核心を次のようにまとめた。
1 二一世紀の国語教育では、文字メディアで培った力を基礎としつつ、映像メディア、コンピュータなどのニュースメディアにまで守備範囲を広げるべきである。特に、それぞれのメディアの複合的使用(映像+音声+文字)を重視しなければならない。そして、メディアの特性を知ることを通して、社会における表現全体に対する認識を深めることが時代の要請でもある。
2 「国語科メディア教育」は、メディアによってもたらされる情報を鵜呑みにすることなく、これを吟味検討して読み解く能力、また、メディアを積極的に活用して効果的に情報を伝えたり、価値ある情報を創り出したりする能力を身につけさせることを目標とする。
3 これらの能力(メディア・リテラシー)は、高校卒業までに身につけさせることが必要である。そのため、小学校から高校までを見通した指導目標の分析表を提案する。
右のような趣旨に基づいて、私たちは前著『メディア・リテラシーを育てる国語の授業』(明治図書、01・11刊)に続いて、ここに『国語科メディア教育への挑戦』全四巻の刊行を企画した。すなわち
第一巻 小学校編1(低学年〜中学年) 岩永編
第二巻 小学校編2(中学年〜高学年) 中村編
第三巻 中学校編 大内編
第四巻 中学・高校編 芳野編
の四分冊である。各巻とも「実践編」と「理論編」とから構成されているが、とくに「理論編」については、紙幅の関係もあり、左のとおり各巻に散りばめてある。全巻を合わせて参考にしていただければ幸いである。
・「国語科メディア受容能力の授業設計」 岩永正史(第一巻)
・「戦後国語科教育におけるメディア教育の歴史」 中村純子(第二巻)
・「国語科メディア表現能力を育てる授業設計」 大内善一(第三巻)
・「国語科メディア教育の教材開発」「メディア教育先進国の現状」
芳野菊子(第四巻)
本シリーズ刊行に当たり、いつものように明治図書の江部満氏には大変お世話になった。深く謝意を表する。
二〇〇三年二月
/井上 尚美(創価大学) /岩永 正史(山梨大学) /中村 敦雄(群馬大学) /大内 善一(茨城大学) /芳野 菊子(産能大学)
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- 明治図書