- まえがき /羽仁 協子
- T 子どものこれからの体づくり
- 子ども個人の発達と集団的からだづくり
- 条件(その1 空間)
- 乳児期の子どもの運動空間
- 条件(その2 時間)
- 乳児期の子どもの運動発達と知識・意識
- 幼年期の子どもの運動発達の条件と経過
- 就学成熟度のための継続的発達指標…バログ・カタリン
- U 毎日体操
- 4月
- 5月
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- 12月
- 1月
- 2月
- 3月
- V 新しく始める人のための自然運動の練習と遊び
- 年間計画
- 自然運動の練習と遊び
- 4月
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- 11月
- 12月
- 1月
- 2月
- 3月
- W 体操練習の基本型
- 腕の位置
- 体の位置
- X 体操練習で使う手道具
- Y 遊びのリスト
- 役つきあそび
- ・おまわりさん
- ・つばめ
- ・ひこうき
- ・みつばち
- ・汽車ごっこ
- ・ぐるりと囲もう
- ・火事・水・空
- ・回転木馬
- ・バス
- ・しっぽとり
- ・ことりの巣
- ・家なしリス
- ・しゃがんで
- ・お地蔵さま
- ルールあそび
- ・あひるさんのお家に帰っておいで
- ・個人競争
- ・グループ競争
- ・だれがボールをもっている
- ・あぐらのカエル
- ・ダルマさん
まえがき
地球上でかつてない急速な都市化が広範囲に押し進められていく中で,子どもの遊び空間,運動空間がせばめられ,子どもの運動への欲求と必要は増大しています。このことは誰の目にも明らかです。
最近,河合隼雄氏の「子どもの宇宙」(岩波新書)が出版されました。真に子どものことを考えている人ならば,この本を読んで,子どもの人格的尊厳の守り手としての大人の仕事,役割の美しさと責任の大きさの前に圧倒されない,ということはないでしょう。人間が,子どもから大人へと成長していく過程の神秘さ,ふしぎさ,美しさに畏敬を捧げつつ,しかしその苦しみ,ゆがみ,重荷,悲劇を事前に子どもの前からとり除くこと,それらを予防することこそ教育でなければならないと痛感します。
予防は,ようやく最近,医学的には,きわめて積極的な思想,行為であることが一般社会においても強調されていますが,教育,ことに日本の教育においては,予防はほとんど使用されていない概念です。多分,日本の教育には,子どもの発達の困難,支障を先に見通すだけのヒューマニズムの力がまだ育ってきていないのだと考えられます。
この本は,幼稚園,保育園(それに小学1〜2年まで)の毎日の集団生活の場で,子どもの系統的な運動発達の課題,及び運動発達のゆがみの予防にこたえようとする試みです。
U章「毎日体操」は,ハンガリーの体育専門家オセツキー・ルイザ女史の考案になるものであり,V章「自然運動の練習と遊び」は,同じくオセツキー・ルイザ女史の体育の課業の方法論に学んで私たちが3年間の体育の課業の日案集(コダーイ芸研選書17――『保育園・幼稚園の体育』)としてまとめたものの中から,よりやさしく,手軽に行える練習的な遊びとして,あらたな3年間の運動材料として構築したものです。あわせて『ハンガリーの体育遊び3歳から8歳まで』もごらん下さい。
1988年1月 /羽仁 協子
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