- はじめに
- 1章 お母さん・保育者の心構え
- お母さん・保育者へ
- ああしなさい,こうしなさと言う前に
- 2章 数・量・形の性質と遊び
- 1 集合づくりの遊び
- 特徴をさがそう
- かたちをかいてみよう
- 粘度で三角をつくってみよう
- 形の合成
- 集合遊びとは
- 集合遊びの例
- 集合遊びの発達段階
- なかまわけ集合遊び
- いろいろなものを,大・小や色で分ける
- 2 1対1対応の遊び
- みかけの判断
- 差のある1対1対応
- 3 類化の遊び
- 類化の遊び
- 類化の操作
- 4 直線と曲線
- まっすぐ並ぶ
- 直線と曲線(図形の再生)
- 長さの保存性
- 長さ比べ
- 量の実験
- 5 数の合成・分類の遊び
- 数の合成・分解の遊び
- 1〜5までの数の組み合わせ
- 加法・減法のモデル操作
- 6 順次数
- 順次
- 前・後,左・右,上・下の順序
- 順序の逆操作
- 位置関係の順序の逆操作
- 上・下,左・右の判断
- 位置関係の順番遊び
- 地図遊び
- 7 数の仲間概念と系列遊び
- 仲間概念と幼児の思考
- 仲間概念の遊び
- 数の系列操作@
- 数の系列操作
- 二重の順系列操作
- 系列操作の基本モデル
- 角度の系列遊び
- 相補的系列
- 相補的系列の遊び@
- 相補的系列の遊びA
- 8 数の合成・分解と加法・減法
- 5〜10までの数の合成・分解と加法・減法
- ノートの練習モデル@
- ノートの練習モデルA
- 10以上の数
- 10以上の数の考え方
- 計算方法の移行
- 数の調節遊び
- 「ぜろ」の概念
- 乗法的思考
- 乗法的思考(二重系列の対応)
- 3の掛け算の例
- 面積の保存性
- 量の保存性(高さと幅の発見)
- 量の連続的関係
- 9 推論遊び
- 数の推律の遊び
- 推論遊び@
- 推論遊びA
- 10 共通集合の遊び
- 共通遊び@
- 共通遊びA
- 共通遊びB
- あとがき
はじめに
私たちの身のまわりは,原始時代の昔から数や量の世界に取り囲まれています。これらの生活から生まれた知恵を,数や量という範囲で体系的に整理したものが,数や量の世界です。
例えば,身のまわりには,人通りが,多い・少ない,山は,高い・低い,この品物は値段が高い・安い,お部屋が,広い・狭い,この荷物は,重い・軽い,市場への買い物に行くのは,遠い・近い,時間がたつのが,早い・遅い,などや,古い・新しい,急ぐ・ゆっくり,などの言葉でも,時間の概念が,その意味の中に含まれているというように,日常の生活の中には,いたることろに数や量が満ちあふれています。
「さあ,数のお勉強をしましょう」と身構えなくても,少し注意すると,たくさんの数の基礎的判断力は育っていきます。
お母さんの中には,例えば,風呂場で「1から10まで数えなさい」と言って丸暗記させることが,数の理解につながると考えている方もおられるようですが,これは,わけも分からずに記憶に頼ってお経を読むのと同じことです。その意味が理解できませんから,数の世界が嫌いになってしまうこともあるのです。
数の世界は,楽しい,創造的な世界です。記憶に頼る頭脳の働きには限界があり,面白くもありません。構成している数の基本的なことを知っていれば,応用能力も自然に育ってきます。
お母さんも楽しんでください。お子さんも,知らず知らずに数の世界が好きになっていくこと請け合いです。
平成6年2月 著者 /松井 公男
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- 明治図書