幼児の知恵の保障を願って
保育園・幼稚園・そして市民に訴える

幼児の知恵の保障を願って保育園・幼稚園・そして市民に訴える

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幼児期には充実した保育と同時に充実した教育が必要である。

0歳児からの幼児には充実した保育と教育が必要であると著者は主張する。0歳児からの子どもはたゆみなく旺盛に多方面の知識を求めている。そのために1歳児から5歳児までの知恵の発展を示し、教育の必要を説く。


復刊時予価: 2,046円(税込)

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電子書籍版: なし

ISBN:
4-18-965719-0
ジャンル:
幼児教育
刊行:
対象:
幼・小
仕様:
B5判 88頁
状態:
絶版
出荷:
復刊次第

目次

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口 絵
はじめに
T部 人類の知恵,先生の知恵,幼児の知恵
1 幼児の知恵を停滞させないで
2 人類の知恵 ――中国の彩陶・青銅器・漆器――
3 先生の知恵 ――新彊ウイグル自治区の幼稚園の先生方を事例に――
4 5歳児の模様の知恵
5 5歳児の写生の知恵
6 小学校5年生は運動構造で模様を描く
U部 1歳児から5歳児までの知恵の発展
1 だん王保育園の作品展から
(1) だん王保育園での研究会の進行
(2) 幼児の発展
2 共励保育園の保育展から
(1) 共励保育園での研究会の進行
(2) 幼児の発展
V部 知恵を誘発する先生方
1 知的な分野の教育課程
2 小峰幼稚園
3 ひとみ幼稚園
4 だん王保育園
5 共励保育園
6 言語,数学,絵画造形の教育課程の叩き台

はじめに

 この本は保育園,幼稚園の先生方はもとより,幼児を育てる保護者,更に幼児教育に関心のある市民の方々に,幼児教育の進め方を実際的に知って頂くために執筆した。

 0歳児からの幼児には充実した保育が必要である。同時に充実した教育も必要である。その教育の進め方は,小学校以降の学校で予想される教育とは,すっかり事情が違う。むしろ,小学校以降の教育が,まっとうな幼児教育に学ぶ必要がある程である。

 0際児からの子供は,たゆみなく旺盛に多方面の知識を求めている。その知恵を体全体の活動を通して獲得したいのである。保育園や幼稚園の先生方は,子供が,今何を求めているかを把握し,遊びや活動を工夫して,子供に手を添え,そっと背を押し,知恵の体得を図る必要がある。それには,先生方の繰り返す研究会が必要となる。そうしてこそ,先生方は,子供の知恵の要請を見い出し,それに応え,先回りさえして子供の知恵を誘発し発展させることが出来る。

 幼児を幼稚と見誤ってはならない。この本でも,5歳児の模様や,広島城や長崎の眼鏡橋の写生を紹介するが,それらの作品は見事である。平仮名の読みは既に3歳児に始まり,お手紙ごっこは4歳児の大好きな活動である。45度回転や90度回転の円模様ひとつとっても,4歳児,5歳児の子供は自由に創作し,同じ模様を2度と描きはしない。数でも10までの数の分解を,暗記ではなく遊びの中で体得する。ここまで来るには,0歳児からの相応の教育の実践が必要となる。幼児は幼稚ではないのである。

 この本では,幼児の知恵の発展の保障を願って,下記の3部に分けて執筆した。何れの部も豊富な資料で語ることにした。

 T部では幼児の知恵はどのようなものかを述べた。U部では0歳児から5歳児までの幼児の知恵は,年齢を追って,どのように発展するかを述べた。V部では幼児の知恵の要請に応え,先回りして幼児の知恵を誘発する先生方の研究はどのように進められるかを述べた。

 私は1995年以来,幼児教育学を専門とし,既に『母と子を結ぶ「幼児教育の百科」』(三省堂,1971刊),『幼稚園・保育園「保育百科」』(明治図書,1981刊)の大部の百科を2巻,公にし,その他,多くの幼児教育の図書を公刊してきた。しかし,0歳児からの保育が重要視されるようになってきた今日,それと対応して,0歳児からの教育もまた重要であり,その重要な教育の実際を語るために本書を執筆した。

 私自身,今でも,保育園,幼稚園に通い,毎月の研究会,毎学期の合宿研究会を指導している。この本は,そうした指導の経過を背景として生まれたものである。執筆に際して,京都市所在の「だん王保育園」,八王子市所在の「共励第一,第ニ,第三保育園」,広島市所在の「ひとみ幼稚園」,長崎市所在の「くるみ幼稚園」,川崎市所在の「小峰幼稚園」など多くの園のお世話になった。これらの保育園,幼稚園にあつく感謝したい。また,この本の出版を激励され,編集その他でお世話になった,明治図書編集部の江部満氏,鈴木徳子氏にあつくお礼を述べておきたい。


  2004年4月   /横地 清 記

著者紹介

横地 清(よこち きよし)著書を検索»

1922年 愛知県に生まれる。

1945年 東京文理科大学数学科卒業

1966年 和光大学人文学部教授

1976年 山梨大学教育学部教授

1988年 東海大学海洋学部教授

現 在 北京師範大学客員教授,華中科技大学客員教授

※この情報は、本書が刊行された当時の奥付の記載内容に基づいて作成されています。
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      明治図書

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