「わかる」授業をつくる 中学校数学科 教材研究&授業デザイン
3つのストラテジーでうまくいく!

「わかる」授業をつくる 中学校数学科 教材研究&授業デザイン3つのストラテジーでうまくいく!

好評3刷

インタビュー掲載中

その数学授業、本当に生徒はわかっていますか?

わかるように指導しているつもりだけど、生徒がわかったかどうかは確認できていない…。「わかる」よりも目先の「できる」を優先しがち…。そんな数学授業から今すぐ脱却し、「わかる」授業をつくるための、必ずうまくいく教材研究と授業デザインの方法がここに!


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ISBN:
978-4-18-004413-9
ジャンル:
算数・数学
刊行:
3刷
対象:
中・高
仕様:
A5判 160頁
状態:
在庫僅少
出荷:
2024年12月19日

目次

もくじの詳細表示

まえがき
T 中学校数学における「わかる」とは?
1 「わかる」という言葉
2 「理解」という言葉
3 「わかる」ことと「できる」こと
4 発達段階からみた「わかる」と「できる」の関係
5 「わかる」授業の要素
6 「わかる」授業への誤解
コラム@ 「メタ認知」からみた「わかる」
U 「わかる」授業をデザインするための3つのストラテジー
1 わからせる対象の明確化
2 わからせるための工夫
3 わかったことの確認
コラムA 「意味理解」と「手続き理解」
V 「わかる」授業をデザインするためのチェックリスト
1 評価者が生徒の場合
2 評価者が教諭等の場合
コラムB ワークシートの活用
W 3つのストラテジーを踏まえた「わかる」授業をつくるための教材研究&授業デザイン
1. 「数と式」領域
(1)「数と式」領域の「わかる」とは?
(2)「数と式」領域の実践事例
1 文字の式
2 一次方程式
3 連立二元一次方程式
4 平方根
5 二次方程式
コラムC 「ねらい」と「発問」
2. 「図形」領域
(1)「図形」領域の「わかる」とは?
(2)「図形」領域の実践事例
1 平行線と面積
2 図形の性質と合同
3 平行線と線分の比の性質の活用
4 三平方の定理
5 中高連携から探る「わかる」授業:三角比(数学T)
コラムD なぜ「数学的活動を通して…」なのか
3. 「関数」領域
(1)「関数」領域の「わかる」とは?
(2)「関数」領域の実践事例
1 比例と反比例
2 一次関数と連立方程式
3 いろいろな関数
4 中高連携から探る「わかる」授業:関数 y=ax2
コラムE 生徒が「問い」をもち,「わかる」数学の授業を
4. 「資料の活用」領域
(1)「資料の活用」領域の「わかる」とは?
(2)「資料の活用」領域の実践事例
1 資料の活用
2 資料の散らばりと代表値
3 独立試行の確率
4 中高連携から探る「わかる」授業:データの分析
あとがき

まえがき

 「よい」授業という言葉は,これまでにも多用されてきましたが,そのように判断する視点は,「授業内容」「授業方法」「生徒の学習状況」など様々に考えることができます。しかも,「よい」授業であったかどうかの判定は,授業観察者自身がその定義を明確にして判定すればよいということでもあります。

 これに対して,「わかる」授業という言葉は,生徒が「何を」「どのように」わかった授業であったのかということが問われ,その判断は,「生徒の学習状況」によってのみ行われます。この意味で,授業者にとって,「わかる」授業は「よい」授業のデザインよりも難しい課題と言えます。

 「わかる」授業という言葉が行政機関ではじめて用いられたのは,個に応じた指導を展開する中で,「わかる」授業の構築を求めた平成15年の中央教育審議会答申です。

 数学教育において「わかる」を「理解」ととらえると,「理解論争期」があったと言われるほど,その研究は盛んに行われてきました。ただ,その研究の多くは,人が理解をするということはどういうことなのかを理解のモデルに沿って考察するもので,実践的な場面で「理解」を促す指導のあり方を直接的に研究対象としているわけではありません。

 このようなことから,本書では,実践的な側面から「わかる」授業をデザインするための3つのストラテジーとして,「わからせる対象の明確化」「わからせるための工夫」「わかったことの確認」を明確にし,実践例をまとめました。

 この3つのストラテジーは決して新しい提案ではありません。しかし,実際には,「わかるように指導はしている」が,「生徒がわかったかどうかは確認できていない」というような授業になっていたり,「わかる」ことよりも「できる」ことの評価に重きが置かれたりしているのも事実です。

 授業設計者がこの3つのストラテジーを十分に意識することが「わかる」授業のデザインにつながると考えており,本書が,各学校現場で「わかる」数学の授業のデザインに向けた取り組みを進める上で参考となれば幸甚です。

 なお本書は,平成19〜21年度に筆者が研究代表者として行った,「わかる数学の授業を構築するための基礎研究〜小中高接続の重点化を通して〜」(科学研究費補助金・基盤研究(A),課題番号19203037)の内容を基に,より実践的な資料として作成したものです。


 最後になりましたが,本書の作成に当たりまして,執筆者各位には,多大のご協力をいただきました。また,明治図書の矢口郁雄氏には,本書の構成や記述等について細部にわたりご支援をいただきました。みなさま方に深く心より感謝申し上げます。


  平成23年8月   /吉田 明史

著者紹介

吉田 明史(よしだ あけし)著書を検索»

奈良県立法隆寺国際高等学校長

昭和50年広島大学教育学部高等学校教員養成課程数学科卒業,奈良県立高等学校教諭を17年間,奈良県教育委員会事務局学校教育課指導主事,文部省初等中等教育局中学校課・高等学校課教科調査官(数学),奈良県立教育研究所教科教育部長,奈良県教育委員会事務局学校教育課課長補佐,同課長,奈良教育大学数学教育講座客員教授,同教職大学院教授を経て現職。

専門は数学教育。研究分野は算数・数学に関する効果的な学習指導法の開発。

※この情報は、本書が刊行された当時の奥付の記載内容に基づいて作成されています。
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      明治図書
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