- はじめに
- 第1章 プロ級の仕上がりになる! 壁新聞の作り方ととっておきのワザ
- 1 用紙選び
- ―見映えのよさは用紙で決まる! 短時間でうまく仕上がる魔法のシート
- 2 題字・見出し・小見出し
- ―読みやすさには法則がある! あっという間にレイアウトできる骨格の基本
- 3 写真・図表・編集後記
- ―読ませる紙面は写真が絶妙! 思わず読みたくなる写真配置のテクニック
- 4 下書き・清書・完成(みんなで作る壁新聞)
- ―グループ活動の悩みを解消する! 「分割」と「合体」のヒミツ
- @ 下書き
- A 清書
- B 完成
- 第2章 だれもが振り向く! 見せる壁新聞の活用術と実物紹介
- 1 調べ学習・まとめ・発表に活用しよう
- ―学び合いに効果抜群! 学びをしっかり定着できる壁新聞
- @ 国語
- A 社会
- 2 行事・児童会活動に活用しよう
- ―イベントがますます盛り上がる! 他学年からも注目される壁新聞
- 3 告知活動・作業学習に活用しよう
- ―学校のネタはすべておまかせ! 読者も待ち望む壁新聞
- 4 総合的な学習の時間に活用しよう
- ―調べ学習と相性ピッタリ! 学びが目に見えて残せる壁新聞
- 第3章 みんなの記憶に残る! 壁新聞の掲示と保存のアドバイス
- 1 掲示・保存・撮影のコツ
- ―みんなに読まれればやる気もUP! 大きい紙面の取り扱いのコツ
- 2 卒業文集への編集
- ―日々の取り組みが一生残る! 記録も記憶も一つにまとめるアイデア
- おわりに
- 付録 壁新聞レイアウト用紙 6段(2280字)
- 付録 壁新聞レイアウト用紙 8段(4160字)
- 壁新聞 虎の巻
- その1 題字はとっても「大事!」
- その2 段組みの妙
- その3 写真のレイアウト
- その4 枠線・罫線で「命を吹き込む」
- その5 習った漢字は必ず使う
- その6 教室に複合機
- その7 テープカッター・はさみ・のり・油性ペン・修正テープを確保
- その8 予算を確保
はじめに―壁新聞って大変?
「壁新聞」…と聞くと,何か時代をずっとさかのぼったようなイメージをもちます。元々は1870年代のパリ・コミューン時代に,マス・メディアを自由には利用できない民衆が,民衆自身の情報伝達手段として大きな紙に書いて壁に貼ったことがはじまりのようです。中国では大型の壁新聞が「大字報」と呼ばれ,1957年の反右派闘争以降発展し,文化大革命のなかで定着していたそうです。日本では労働組合運動や学生運動で壁新聞が活用されていました。
ポスターと違うのは,ポスターはできるだけ絵や写真,少ない文字のみで感覚的にアピールするのに対し,壁新聞は通常の新聞のように見出しやリード,解説文があることです。ですから壁に貼ってあっても「壁新聞」はあくまで「新聞」であり,デザインやセンスが大きく重視されるポスターとは全く違います。
学校ではポスターを図工の時間に描かせることは多くありますが,壁新聞を作らせることは今あまりやられていないでしょう。国語や社会,理科の調べ学習で「新聞を作りましょう」という単元は数多く出てきますが,実際本当に行われているのかと思えば,これは「発展学習だから別にしなくてもいい」「時間がないのでできない」とおそらく多くの場合は避けられる傾向にあります。ですからわざわざ,しなくてもいい壁新聞を苦労してまでやろうとするのはどうして? と思われるのではないでしょうか。
壁新聞を作りたくない理由は簡単です。
@ 時間がかかる(班によって制作終了までにかかる時間が違う)
A 指導が大変(文字の大きさ,模造紙の枠組み,レイアウトなど)
B よいものが出来上がらない(あまり見映えがよくない)
C 一生懸命やる子どもとそうでない子どもに分かれる
D 一度に一部の子どもしか書けない(反対側から書けない)
E 宿題にできない(一人が持ち帰ると他の子ができない)
それでは壁新聞を作ることでよいことは何があるでしょう。
A 文章力,表現力がつく
B 漢字を使い,人に見てもらうことで字も丁寧に書こうとする
C 調べ学習と発表が同時に行える
D 子どもの作った手書きの制作物が出来上がる
E 班で(グループで)協力してできる
F 掲示物として大きな面積をとることができる
けっこうよいことがたくさんあります。学級掲示という「見映え」だけに特化しても,数枚の壁新聞が貼られていると「活動しているな」という印象が見受けられます。教室や廊下にずらりと並んだ壁新聞があると,研究授業で他校の教員が来たときや参観日にも確実に映えます。
では,このA〜Fの「よいところ」がそのまま残り,@〜Eまでの作りたくない理由がすべて解消するとどうでしょう。つまり,
@ そんなに時間をかけずに
A 指導が簡単で
B 見映えのするものができて
C だれもが均一の労力でできて
D 一度にみんなが書けて
E 宿題にもできる
こんな壁新聞ができれば,多くの先生方が「ちょっとやってみよう」と思うのではないでしょうか。本書ではこの@〜Eをテーマに,誰でも簡単に壁新聞を作ることができる方法について述べていきたいと思います。
「やってみたいけど大変そうだから」「暇になる子ができるから」と躊躇されていた先生方,本書で紹介する方法でぜひ挑戦されることをおすすめします。なぜなら,単に壁新聞を調べ学習やまとめ,発表に活用することで,教室や廊下の雰囲気がガラリと変わり,周囲の注目を浴び,子どもたちも意気に感じ,その結果,教室全体を変えることができるとともに,気がついたらクラスの雰囲気が変わっていた…そんなマジックのようなことが起こるからです。
子どもたちはもう記者になった気分で毎週の行事や集会,児童会の様子をまとめ,写真を撮り,リサイズし,トリミングして,さっさとレイアウトします。作文力,表現力が身につき,漢字も使うようになります。知らない間に辞書を引く力が身につき,字もきれいに書こうと努力します。それに何と言っても記事を見つけようとする眼差しがかっこいいのです。他学年の教師たちも「次はこのことを載せてね」と毎回の記事を期待するにつけ,さらにもっとよいものを書こうと努力します。
担任の先生はちょっとした仕掛けをすればいいのです。最初は少し大変ですが,慣れると壁新聞を書くことが当たり前になり,毎週2回3回の発行もできてしまいます。
筆者は中学校教員時代に壁新聞に取り組み始めました。小学校教員になってからも調べ学習や発表によく使いましたが,2008年に6年生を担任したとき,「この1年間壁新聞を出し続けよう」と初めて年間を通しての取り組みにしました。クラスの人員はわずかに7人(途中から6人)の少人数。最初2週間かかって1号出したのが結局2月末までに80号の発行。最後はそれをまとめて文集にすることもできました。その後も5年生10人を担任して年間54号を発行しました。次の年には異動となり,3年生30人を担任してこれも50号の壁新聞を作りました。
そこで得たノウハウを1冊にまとめたのが本書です。子どもたちの状況に応じて,また学年に応じていろいろな取り組みができるはずです。大きな可能性を秘める壁新聞にぜひ一度挑戦してみてください。必ずや子どもたちも先生も大きな満足感を得ることができると確信します。
2011年12月 著者 /國眼 厚志
本書で取り扱っている壁新聞レイアウト用紙は以下からダウンロードできます。
ぜひ、ご活用ください。
Excel版・6段,8段(ファイル名:019410_layout.xls/サイズ:61.0KB)
PDF版・6段(ファイル名:019410_layout6.pdf/サイズ:12.3KB)
PDF版・8段(ファイル名:019410_layout8.pdf/サイズ:18.4KB)
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