- はじめに
- 横浜市小学校国語教育研究会会長 /伊藤 博夫
- 巻頭言
- 横浜市立白幡小学校長 /永池 啓子
- 第1章 思考力を育てるステップとカリキュラムの開発
- 第2章 思考力育成のしかけが満載!「読むこと」の授業プラン24
- 1 説明的な文章編
- 一年
- 1 はたらく自動車のひみつを友達に教えてあげよう
- 「じどう車くらべ」
- 2 ぱっと見て比べられる動物の赤ちゃんひみつカードを作ろう
- 「どうぶつの赤ちゃん」
- 二年
- 3 科学的な文章を読んで感想を書こう
- 「どうぶつ園のじゅうい」
- 4 分かりやすい説明書を作るために「ポイントブック」を作ろう
- 「しかけカードの作り方」
- 三年
- 5 観察報告文を実験観察カードにまとめよう
- 「イルカのねむり方」「ありの行列」
- 6 「へんしん!食べ物ひみつBOOK」を作ろう
- 「すがたをかえる大豆」
- 四年
- 7 リーフレットを作って3年生に走り方を教えよう
- 「動いて,考えて,また動く」
- 8 読書新聞を作っておすすめ科学読み物を説明しよう
- 「ウナギのなぞを追って」
- 五年
- 9 要旨集を作り新しい世界を広げよう
- 「生き物は円柱形」
- 10 説明の仕方の工夫や効果を利用して自分の考えを明らかにしよう
- 「天気を予想する」
- 六年
- 11 書評で紹介「生き物はつながりの中に」をこう読みました
- 「生き物はつながりの中に」
- 12 アニメーション監督の目で読む国宝絵巻物,自分はこう読む
- 「『鳥獣戯画』を読む」
- 2 文学的な文章編
- 一年
- 13 自分の「読み」が表れる音読発表会をしよう
- 「ずうっと,ずっと,大すきだよ」
- 14 好きなところを紹介しよう
- 「だってだってのおばあさん」
- 二年
- 15 登場人物と自分を比べて読み,感想文を書こう
- 「わたしはおねえさん」
- 16 お気に入りの場面のペープサート劇発表会をしよう
- 「スーホの白い馬」
- 三年
- 17 登場人物の特徴をつかんで紹介カードに表そう
- 「海をかっとばせ」
- 18 登場人物ポスターで好きな本を紹介しよう
- 「モチモチの木」
- 四年
- 19 家の人を招待しよう「ごんぎつねワールド」
- 「ごんぎつね」
- 20 読書会で安房直子さんの作品世界を友達と伝え合おう
- 「初雪のふる日」
- 五年
- 21 友情物語を推薦しよう
- 「のどがかわいた」
- 22 伝記を読んで読書会を開こう
- 「百年後のふるさとを守る」
- 六年
- 23 視点を変えて読んでみよう
- 「カレーライス」
- 24 「やまなし」にこめた賢治の思い,自分はこう読む
- 「やまなし」「イーハトーヴの夢」
- おわりに
- 横浜市立西寺尾第二小学校長 /南雲 成二
はじめに
確かな言語能力を育成する国語科学習の創造
横浜市小学校国語教育研究会会長 /伊藤 博夫
今年度より実施された「小学校学習指導要領」では,国語科の教科目標を「国語を適切に表現し正確に理解する能力を育成し,伝え合う力を高めるとともに,思考力や想像力及び言語感覚を養い,国語に対する関心を深め国語を尊重する態度を育てる」と示しています。これは平成10年度版の目標と同様で,改めて,表現力と理解力,伝え合う力などを確実に育成することが重要であることを示したといえます。
これまで「内容」と並ぶかたちで「内容の取扱い」に示していた「言語活動例」は,指導事項とともに「内容」として位置づけられ,「内容」に格上げされたかたちとなりました。つまり,今,子どもが確実に言語活動を行うことができるようにすることが求められているのであります。
この「言語活動の充実」は,思考力・判断力・表現力の育成には不可欠なもので,昭和24年の設立以来,横浜市小学校国語教育研究会の研究の中核を担ってきた課題研究部が長年大切にしてきたものであります。
これからの国語科学習に求められることは,言語活動を充実させ,一人一人の子どもに確かな言語能力を育成することであります。そこで,横浜市小学校国語教育研究会では本年度の研究主題を「確かな言語能力を育成する国語科学習の創造」とし,600名を超える会員がそれぞれの分野で研究を深めてきています。
課題研究部では,「豊かな言語活動の中で,実生活に生きる力を育む―思考語彙や思考プロセスを明確にした国語科学習―」をテーマとして,2年間にわたって研究をしてきました。特に,「豊かな言語を土壌とした思考のプロセス」と「それを支える思考語彙」を二本柱として深く探究をし,児童により定着するようワークシートの開発までしてきています。
本冊子は,6年前の「豊かな言語活動で確かな国語力を―言語活動別言語能力系統化―」,4年前の「豊かな言語活動で読解力を育てる―活用する力が高まる授業―」,2年前の「豊かな言語活動を図る単元の構想」といった,これまでの研究成果を受けて,まとめたものであります。本書の実践が多くの国語教室に広がり,子どもたちに生きてはたらく「言語の力」が身につく言語活動が展開されることを期待しています。
最後になりましたが,課題研究部の研究の成果の一端として本冊子を発刊するに当たり,監修していただいた京都女子大学教授の井上一郎先生には「思考力を育成するために必要となる基本的な事柄」のご指導をはじめ,「学年系統を加味した思考語彙の確定」「教材の特性を熟慮しながら,ワークシートにはどのような思考操作を取り上げたらいいか」等,ワークシートレベルに至るまで懇切丁寧なご指導をいただきましたことに対し,厚く御礼を申し上げます。
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- 明治図書