- 『4コマまんがで楽々ナットク中学校評価丸わかりガイド』へようこそ
- 監修のことば
- はじめに
- 本書の使い方
- T章 評価をつける前に 心構え編
- 1 「使命感や熱意あふれる教師」=「授業のできる教師」ではない!
- 2 領域や分野の好き嫌いは困りもの!
- 3 学習指導要領とその解説,国研の評価資料を読まずして教師は語れない!
- U章 評価の基本を知る 各教科の知識編
- 4 「規準」と「基準」の理解は基本のキ!
- 5 授業増で評価も負担?! それでも避けては通れない!
- 各教科の指導
- 6 国語の指導
- 7 社会の指導
- 8 数学の指導
- 9 理科の指導
- 10 音楽の指導
- 11 美術の指導
- 12 保健体育の指導
- 13 技術・家庭の指導
- 14 外国語の指導
- 15 観点別評価なくして学力の定着はなし!
- 16 観点とその趣旨の理解は評価の第一歩!
- 各教科の評価
- 17 国語の評価
- 18 社会の評価
- 19 数学の評価
- 20 理科の評価
- 21 音楽の評価
- 22 美術の評価
- 23 保健体育の評価
- 24 技術・家庭の評価
- 25 外国語の評価
- V章 評価のスキルを磨く レベルアップ編
- 26 ハロー効果―「勉強できる子は万能」の神話に注意!
- 27 寛容効果―好きな生徒に甘くなってませんか?
- 28 ステレオタイプ―「話を聞かない VS 地図が読めない」は本当?
- 29 論理的誤謬―過去の生徒を規準にしてはダメ!
- 30 ピグマリオン効果―念じれば通ずこともある!
- 31 指導言と評価言―とにかくほめればよいというのは大間違い?!
- 32 「関心・意欲・態度」―5割の教師が忘れ物と挙手回数で評価?!
- 33 「思考・判断・表現」―見えない力の評価に便利なパフォーマンス課題
- 34 「技能」―「できる」「できない」の評価だけで終わらないこと!
- 35 「知識・理解」―評価しやすくても評価方法の工夫はおこたらずに!
- W章 評価のエキスパートを目指す 校内体制編
- 36 校内体制あなたはどっち?―学校全体で取り組む or 教員個人にまかされている
- 37 相対評価は過去のもの。絶対評価もすでに古い?!
- 38 目指せ!頼れる教務主任
- 39 評価がすんでもホッとしないで!評定への総括を忘れずに
- X章 評価の不安をなくす Q&A編
- QA1 B規準とA規準の違いが分かりません
- QA2 「学校が評価規準を決める」とあります。実態に合わせてB規準を下げてよいですか?
- QA3 新人教員です。評定への総括の仕方がよく分かりません
- QA4 通知表の評価の観点と生徒指導要録の観点の関係はどのように考えたらよいですか?
- QA5 保護者から「自分の子どもは生徒会役員をしているのに,やっていない子より成績が悪い」と苦情がきました
- QA6 怪我をした生徒が実技に参加できませんでした。どのように評価すればよいですか?
- QA7 授業態度はよくないのに,テストの点や実技ではよい点がつく生徒はどのように評価すればよいですか?
- QA8 欠席がとても多い生徒には評価・評定をしなくてよいですか?
- QA9 特別な支援が必要な生徒が共に学んでいます。評価で留意すべき点は何ですか?
- QA10 高等学校入試で用いるため評価に学校間格差があってはいけないのではないですか?
- 付録
- PISAの問題を体験してみませんか?
- 参考URL・参考文献
監修のことば
杉並区立済美教育センター所長 /田中 稔
■学習指導の充実を目指した目標に準拠した評価の導入
中学校では,平成24年4月,学習指導要領の完全実施と指導要録改訂を受け,新しい指導計画による学習評価が始まりました。そのことに伴い,再び指導と評価にかかわる校内研修を実施する学校が増えてきています。
10年前,集団に準拠した評価(いわゆる相対評価)から,目標に準拠した評価に変更する時には,全ての中学校において,その理念の理解や評価・評定の方法等について,管理職と教師の共通の課題意識のもと研修等が行われました。しかし,中学校が常に高校受験とのかかわりをもって学習指導を進めなければならないことから,評価者である教師や入学者選抜を行う教育行政は,妥当性,信頼性のある評価・評定を「導き出す」ことを主目的として目標に準拠した評価を理解・啓発しようと努めていたような感があります。
そのような中,使命感の強い教師は,この目標に準拠した評価の開始を授業改善の好機ととらえて,「授業の導入段階で評価規準をもとに設定した目標(ねらい)を明確に示す授業」「評価規準に基づき中核となる指導内容が適切に設定されている授業」「評価結果を分析的に活用し,発展的な学習や補充的な学習を取り入れた授業」を実施するなど指導の改善を図りました。
■もっと評価について学びたいと願う教師の存在
ところが,平成14年度前後の目標に準拠した評価の導入期に,評価についての学びを深めていない教師(主に研修等に参加していない非常勤講師)やその後に採用された若手教師,小中一貫教育の施策推進により中学校に勤務する小学校教員等については,「学習評価の意味や指導と評価の一体化の重要性」や「信頼ある評価・評定を行うための具体的方法等」が十分に理解・実践できていない実態が見受けられます。そのような状況にあっても,中学校での学習評価については,日常,意図的・計画的に行っていなければならない「教師としてのイロハのイ」に近いものでもあるために,疑問を感じても「他に聞きたくても聞けない,聞きづらい」ものであるようです。疑問に応える立場にあるベテランと呼ばれる教師や指導主事等の中にも,「評価に対する潜在的な苦手感」をもつ者が,意外と多いことにも驚かされます。
言うまでもなく中学校は,義務教育段階の子どもを預かる学校として,全ての子どもたちに学習指導要領に示されている基礎的・基本的な知識・技能,それらを活用して課題を解決するために必要な思考力・判断力・表現力等を確実に習得させる責務があります。このことを評価にあてはめていくと,全ての生徒たちを全教科,全観点において,「おおむね満足できる状況」以上にすることとなります。どのような立場であっても教壇に立つ教師は,学習評価についての理解を深め,学習の実現状況を細かに(分析的に)把握し,解決に向けた手立てを講じなければなりません。
■評価について分かりやすく理解し指導に繋げられる本書
本書は,平成14年当時に指導主事として,目標に準拠した評価の普及・啓発にご尽力された後,大学の教員養成課程で日々,教師を目指す若者に「指導と評価」の大切さをご教授されている国立音楽大学の酒井美恵子准教授が,指導と評価について,「よく分からない。でも他には聞けない」と悩む方々の願いを受けて,「分かりやすく」を第一に考え執筆されたものです。そのために本書は,「4コマまんが」を積極的に取り入れるなど多くの工夫がなされています。本書が,多くの指導と評価の理解,実施に悩む方々の手に届き,その課題解決に少しでも役立つことを心より期待している次第であります。
-
- 明治図書
- とにかく分かり易い。それでいて、要点を押さえられる。2021/5/540代・中学校教員