- まえがき
- 1 ≪理論編≫なぜ,今,社会的スキルなのか
- (1) 今求められる「社会的スキル」とは
- (2) 学習指導要領に見る「社会的スキル」とは
- (3) 発達段階を意識したオススメのアイディア
- (4) 「社会的スキル」とよりよいかかわり
- (5) 「社会的スキル」を活用して自分を見つめる
- (6) 「社会的スキル」と信頼関係づくり
- (7) 「社会的スキル」に活かす「学級生活の課題」
- (8) 「社会的スキル」とコミュニケーション
- (9) 振り返りを「社会的スキル」に活かす
- (10) 「社会的スキル」と心のエネルギー
- 2 ≪実践編≫社会的スキル育成のミニエクササイズ30
- 2―T ウオーミングアップ編「ロールプレイのミニエクササイズ」
- @ ジェスチャーゲームT短い言葉を当てよう
- A ジェスチャーゲームU〜をしているところ
- B ジェスチャーゲームV〜をして〜と思っているところ
- C あなたがわたし,わたしがあなた(役割交換法)
- D まねっこミラー(ミラー法)
- E 私の心のサポーター…(ダブル法)
- F そうしたい自分,そうしたくない自分(客観的自我分割法)
- G 二人の自分(自我分割法)
- H その時の気持ちは…(ソーシャルアトム)
- I その時の心のきょりはどのくらい?(心理的距離)
- 2―U 社会的スキル基礎基本編「手軽に取り組めるミニエクササイズ」
- @ あいさつの仕方アラカルト
- A 自分のことを紹介しよう
- B 話の聴き方…聴き方の達人を目指して
- C たずねる…教えてもらう
- D いっしょに遊ぼう…仲間の誘い方達人を目指して
- E ま〜ぜ〜て…上手な仲間の入り方を目指して
- F ほんわか言葉の伝え方…伝え方の達人を目指して
- G なるほど納得その気持ち…上手に気持ちを知り,伝える
- H わたしのお願い…やさしいお願いの仕方を目指して
- I わたしのお願い…やさしい断り方の名人を目指して
- 2―V 課題別社会的スキル「不安や悩みの解消」
- @ イライラプンプングッドバイ
- A うまくいったことを生かして〜苦手なもの・ことの克服
- B 自分がホッとできる時は
- C たまごたまご〜どんな生き物になって生まれてくるの?
- D わたしの心のエネルギー充電!?
- E 気持ちの整理箱…フォーカシング
- F 自分の心の中のいろいろな自分
- G あなたの心の声を聴いてみましょう
- H エピソードを使ったトラブル解決〜足を踏まれて
- I エピソードを使ったトラブル解決〜廊下を走って
まえがき
○社会的スキルを身につけると…
社会的スキルは,既存の教育心理的な手法やカウンセリングの技法を活用することで一定の効果や有効性を確認することができます。さらに,様々な場面でのルールや規律を学びながら,自分や自分達の課題を確かめて,必要感のある不安や悩みの解消,積極的な課題解決や,集団に適応できる自分づくりを目指すことも可能です。
低・中学年では,「挨拶の仕方」や「頼み方」など,いろいろな人への「かかわり方を学ぶスキル」や「集団で生活するために知っておくとよいスキル」等の社会的スキルを身に付けることが求められています。エピソードを使ったトラブル場面を活用した適応指導を意図的・計画的に取り入れていくことも大切にりなります。
また,実際に起きたトラブル場面をもとに,シナリオを使ったシナリオロールプレイ等を使って,生活課題に即応した課題解決も考えられます。正に合意形成(折り合いのつけ方)の基礎づくりです。
高学年では,思春期に入っている子どももいることを前提に,「共感性や配慮のスキル」「適切な主張の仕方のスキル」「将来について考えるスキル」など,集団における自分の生き方,あり方を身に付けるスキルを取り入れたいものです。
さらには,自分づくり支援や,自己理解等,「自己」をキーワードにするような取り組みが求められることになると思います。また,中一ギャップへの対応も意識して,希望や目標を持って取り組めるようなキャリア教育も活用した取り組みが求められます。
○最近の学校現場の課題は…
しかし,このような利点や有効性が確認され,学校現場で多く取り入れられ始めてくると同時に,児童生徒のスキルアップを目指して取り組みすぎるために起こる“抵抗”や“トラブル”の事例が数多く報告されるようになりました。
それらは,現状を打破し,新しいスキルを身に付けるきっかけになるものもあり,一皮むけた自分自身づくりの際に起こる摩擦ともとらえられますが,その多くが,個人的に課題を持っている児童生徒(特別支援として配慮を要する子,学校生活に適応できずに苦しんでいる子等)のようです。そのような課題に応えることができるように,今回の「やまかん流カウンセリング活用シリーズ2」では,「社会的スキルミニエクササイズ」と「コミュニケーションスキル」をキーワードに編集しました。
○理論編では,…
今求められる「社会的スキル」とは何か,学校現場で活用するにはどのような考え方が大切かを,学習指導要領から読み解き,社会的スキルと心のエネルギーのバランスの取れた実践がポイントになることを提案しています。
○実践編Tでは,…
「社会的スキル」に限らず,様々な生活場面や学習場面,ゲームなどにも活用されている「ロールプレイ」を,ウォーミングアップ編として取り入れやすいように紹介しています。
特にロールプレイの基本技法として活用しやすいジェスチャーゲームや役割交換法,ミラー法,ダブル法など,手軽に活用できるように紹介し,いろいろな場面で活用できるようにしました。そのまま「ミニエクササイズ」として取り入れたり,アイスブレーキング,ウォーミングアップなどとしても取り入れやすい形にして紹介しています。最終的には,授業の中で完結するだけではなく,毎日の生活の中で意識化し,自己を振り返るきっかけにすることが重要だと思います。
○実践Uでは,…
社会的スキル基礎基本編として,「かかわり方」を基本に,あいさつの仕方アラカルトや,気持ちの伝え方や断り方などのスキルを紹介しています。
学級活動の年間指導計画例を参考に,「この学級の特徴から一年間で身に付けさせた方がよい力は何か」「身に付けさせることで関係が改善したり,かかわりがスムースになるスキルは何か」などを選択していただき,実施する目安にしていただきたいと思います。
特に,対人関係において,適切な心の距離や場に応じた言動を取ることが難しく,様々なトラブルに遭遇したり,問題を抱え込んでしまいやすい気になる子どもたちや,ややこしさを抱えた子どもたちにも,抵抗が起こりにくく,ダメージが少なく取り組めるように配慮することが大切だろうと思います。
○実践Vでは,…
課題別社会的スキルの中でも「不安や悩みの解消」をメインに,自尊感情を高めたり,心のキャッチボールをしたり,気持ちの整理をしたりすることで,自分の心のエネルギーになるようなミニエクササイズを掲載しています。
ただし,ぜひ配慮したいのが,教師が課題だと感じていても,実施する子どもたちや課題に気付いてほしい本人自身が,そのトレーニングの意図や意義をしっかりと納得していることが大切だと思います。ですから,同意を得ることやパスの権利があることなどを,子どもとの間で約束することをお勧めしたいと思います。
紹介しているミニエクササイズは,児童生徒にはもちろんのこと,われわれ教職員の研修会や学級懇談会,学級保護者会等でも活用できますので,ぜひ実践してみてください。
本書「やまかん流カウンセリング活用シリーズ2」は「社会的スキルのミニエクササイズ」「コミュニケーションスキル」をメインに,社会的スキルの基礎基本を提案いたしました。
平成21年7月吉日 仙台市立小学校教諭 /八巻 寛治
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- 明治図書
- 社会的スキルの育て方を具体的に学べました。2018/4/3040代・小学校教員