論理的な記述力を伸ばす授業づくり
言語活動のための授業メニュー15

論理的な記述力を伸ばす授業づくり言語活動のための授業メニュー15

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「言語活動の充実」にむけ、記述力を伸ばす授業メニューを紹介

あらゆる学習活動は「書く活動」に帰結する。「書く活動」に必要な力を本書では「記述力」で示した。記述力を伸ばすための基礎・基本は次の三つ。@基本文型、Aアウトライン(基本的な文章構成)、B思考方略(考え方)。この三つを意識して授業を組み立てよう。


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ISBN:
978-4-18-301348-4
ジャンル:
国語
刊行:
対象:
小・中
仕様:
A5判 152頁
状態:
絶版
出荷:
復刊次第

目次

もくじの詳細表示

まえがき〜あらゆる学習活動は、「書く活動」に帰結する〜
T 論理的記述力を鍛える
一 基本文型と基本アウトライン
1 論理的な思考には書くことが必要だ
2 論理的記述力に必要な三つの知識・技能
二 「説明」と「論証」の文を書く
1 様々な学習で活用できる力
2 「説明」の文章構成
3 「論証」の文章構成
4 文章記述力は思考力を伸ばす
U 基本文型とアウトラインで記述力を鍛える
一 「対比」で記述する社会科・理科……[授業メニュー01]
1 「対比」の基本文型
2 「対比」で書く社会科
3 「対比」で書く理科
二 条件を示して授業の「まとめ」を書かせる……[授業メニュー02]
1 五つの基本文型を使う場面
2 「読解」の授業を組み立てる
3 条件を示して「まとめ」の文を書かせる
4 授業で「論理的な記述力」を育成する
三 読解力を鍛える「授業のまとめ」を書かせる……[授業メニュー03]
1 「授業のまとめ」の三つのスタイル
2 読解力を鍛える「授業のまとめ」
3 「理由付け」は論理的な記述力を伸ばす
四 根拠の指摘と根拠の説明の指導を別にする……[授業メニュー04]
1 自分の考えを論理的に記述するための三つの能力
2 根拠の説明が難しい
3 「のはらうた」で説明の力をつける
4 活用する
5 本実践の指導の構想(指導案より)
五 絵や図の説明を書く……[授業メニュー05]
1 学習のまとめとして絵や図の説明を書く
2 六年社会「弥生時代の絵」
3 六年社会「鎌倉時代の武士の家の絵」
4 六年理科「植物の育ち方」
六 レポートを書く……[授業メニュー06]
1 レポートの三タイプ
2 記録型レポートの書かせ方
3 実験型レポートの書かせ方
4 調査型レポートの書かせ方
V 発想力を鍛える
一 文をまねる……[授業メニュー07]
1 「ラジオ体操」
2 「ラジオ体操の朝」
3 文をまねる
二 物語の前史を書く……[授業メニュー08]
1 スピンオフ作文
2 「大造じいさんとがん」で習得した内容
3 活用する課題を設定する
4 活用力を育てる学習課題
三 脚本の物語化(ノベライゼイション)……[授業メニュー09]
1 「木竜うるし」第二場面
2 「変換」の授業
3 第二場面から始めたのは
W 考え方を説明する
一 考え方の説明のしかたを教える……[授業メニュー10]
1 全国学習状況調査・算数B問題
2 考えた内容を言語化する力
3 平行四辺形の面積の求め方を説明する
4 向山型要約指導法の応用
5 どの考え方が一番簡単か?
二 文章題の解き方を説明する……[授業メニュー11]
1 説明する力と算数の学力
2 どの段階で説明するのか
3 文章題の解き方を説明する
X 思考方略を教える
一 「考える力」の基礎は、対比だ……[授業メニュー12]
1 「かえるの四季」
2 考える力の基礎は「対比」である
3 「かえるの四季」(続き)
二 消去法を教える……[授業メニュー13]
1 全国学力調査問題に再挑戦
2 間違っている答を消去する
3 消去法を用いて考え方を説明する文章を書く
三 話者をめぐる推論……[授業メニュー14]
1 冒頭の一文で何を考えさせるか
2 「九マイルは遠すぎる」
3 話者の状況を考えさせる
4 話者の状況を検討する
四 クリティカル・シンキングを教える……[授業メニュー15]
1 クリティカル・シンキングとはどのような思考か
2 「東郷ビール」を探る
あとがき〜文章を書くことは考えることだ〜

まえがき〜あらゆる学習活動は、「書く活動」に帰結する〜

 「作文」ということば(用語)を学校教育で使うのは、やめようではないか。


 第一に、指導要領及び指導要領解説「国語」には、「作文」ということば(用語)は一回も出てこない。指導要領で使われていないことば(用語)を学習活動で使うにはそれなりの理由が必要だ。そのような理由はあるのか。「これまで使われてきたから」というもの以外には見あたらない。

 第二に、「作文」ということばには、どこか幼稚さやいかがわしさが伴う。大人の世界で「作文をする」という使い方には「本当ではないことを含めて書く」「表現だけで実質を伴わない」という否定的な意味あいを含む。学校教育の中だけで肯定的に用いられている。このようなことばを学校教育で使うのは望ましいことではない。

 第三に、「作文」という学習は国語教育の中だけで用いられている。そのため、文を書く学習は国語科の役割だという過剰な意識が生まれる。他教科において文章を書くことはあまり意識されなくなるのだ。社会科や理科で「作文」と言われても、どこか違和感があるはずだ。

 とりあえずは「書く活動」でも「文章表現」でもよい。とにかく「作文」ということば(用語)の使用をやめてみるのだ。すると、様々な教科で「書く活動」や「文章表現」の可能性が見えてくる。

 中央教育審議会のまとめに、次のように記されている。


  各教科等における言語活動の充実は、今回の学習指導要領改訂を貫く重要な視点


 言語活動は、国語科だけでなく各教科等において行われる。それぞれの教科に「言語活動」に関する事項が示されている。これらの「言語活動」の中核となるのは、「書く活動」である。

 なぜか。

 第一に、文を書くことは考えることだからだ。考えがまずあって、それを文という形で記していくのではない。文を書くことで考えが生まれ整えられていくのである。(詳細は「あとがき」に記した。)

 第二に、学習活動は「書く活動」を必ず含むからだ。ふだんの授業でも必ずノートに書かせるはずだ。発問に対する判断や理由を書かせたり、板書をノートに写させたりする。そうすることで考える力を伸ばそうとしたり、学習で扱う事柄を整理したりする。記録のために書く場合もある。

 「言語活動」として示された「説明」にしろ「報告」にしろ「記録」にしろ、いずれも文として書くことが前提となる。最終的に「話す」という形態になるとしても、「書く」場面があるはずだし、必要だ。

 第三に、「書く活動」がなければ教師が評価できないからだ。「読む」活動は、それだけでは評価できない。子どもが読めたかどうかは、何らかの形で表現させなければ教師は分からない。「聞く」活動も、同様である。聞けたかどうかは表現させなければ分からない。

 表現には音声表現と文字表現がある。音声表現は消える。残そうとすれば、何らかの機材が必要だ。また、残した記録を再現するためにも手間がかかる。したがって、文字表現が評価の対象として簡便だし確実なものとなる。

 このような理由から、「言語活動」の中核は「書く活動」なのである。


  あらゆる学習活動は「書く活動」に帰結する


 学習の帰結先を「書く活動」とすることで、どの教科の「言語活動」も授業として組み立てることが可能となる。このような「書く活動」に必要な力を本書では次のことばで示した。


  記述力


 「書く活動」を様々な教科で推進するためには、「作文」という国語科特有のことばでは間に合わない。だからこそ、「作文」ということばの使用をそろそろやめるべきなのだ。


 記述力を伸ばすための基礎基本は次の三つである。


 1 基本文型

 2 アウトライン(基本的な文章構成)

 3 思考方略(考え方)


 この三つを意識して授業を組み立てることで、記述力を伸ばす授業づくりが可能となる。本書では、様々な教科で記述するための学習を「授業メニュー」という形で示した。

 これからの各教科等における「言語活動」の充実にむけて本書が少しでも役立てば、筆者としてこれ以上の喜びはない。


   /松野 孝雄

著者紹介

松野 孝雄(まつの たかお)著書を検索»

1960年新潟県生まれ

新潟県燕市立分水北小学校

※この情報は、本書が刊行された当時の奥付の記載内容に基づいて作成されています。
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      明治図書
    • 子どもに書く力をつけたい先生,必読の書である。
      ぜひ,繰り返し読んでほしい。

      松野氏の提案されている「記述力」は,

      「記述力を伸ばすための基礎基本」
       1 基本文型
       2 アウトライン(基本的な文章構成)
       3 思考方略(考え方)

      を通して伸ばしていく。

      本書にある授業メニューを追試することで,子どものノートや発言は大きく変わる。

      ぜひ,松野氏の次なる単著を期待したい。
      2010/6/7ユッキー

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