- はじめに
- T 「資料読み取り能力」を鍛えるシート活用術
- 1.3つの能力をつける
- 2.「資料から情報を読み取る能力」を鍛える
- 3.「読み取った情報を解釈する能力」を鍛える
- 4.「解釈した内容を論述する能力」を鍛える
- 5.トレーニングシートのユースウェア
- 6.PISA 型「読解力」に対応する
- 7.「作文に表現できる能力」に対応する
- U 学年別「資料読み取り」トレーニングシート
- 3年生編
- 1.わたしたちのまち
- (1) 屋上から何が見えるかな?
- (2) 東西南北には何があるかな?
- 2.買い物調べ
- (3) クラスの買い物調べからわかること
- (4) スーパーマーケットの工夫をみつけよう
- 3.物をつくる仕事
- (5) 見学の計画をたてよう
- 4.わたしたちの市
- (6) 地図記号で学校のまわりの様子をとらえよう
- (7) わたしたちの市には何が多い?
- 4年生編
- 1.安全なくらし
- (8) 交通事故をふせぐための工夫をさがそう
- (9) グラフを読み取って「火事」について調べよう
- 2.健康なくらし
- (10) 「大切な水」のせつやく法を考えよう
- (11) 「ごみ収集」の写真から調べたいことをさがそう
- (12) ペットボトルのリサイクルについて考えよう
- 3.昔のくらし
- (13) この「昔の道具」は何に使われていたのかな?
- 4.地図を広げて
- (14) 縮尺を使って実際のきょりを調べよう
- (15) 等高線を読み取ろう
- (16) この写真は何県?
- 5年生編
- 1.農業
- (17) 効率のよい米作りの秘密を調べよう
- (18) 稲作農家の人々のなやみを予想しよう
- (19) 主な野菜の生産地ベスト3を調べよう
- 2.水産業
- (20) 「A漁港」ってどこだ?
- (21) 漁業の落ちこみの原因は?
- 3.これからの食料生産
- (22) 日本の食料生産の将来を考えよう
- 4.工業
- (23) 自動車の組み立て方を調べよう
- (24) 自動車生産の変化の秘密
- (25) 環境にやさしい自動車作り
- (26) 日本の工場の特色は?
- 5.日本の貿易
- (27) 日本の貿易について調べよう
- 6.情報
- (28) 身のまわりにある情報を調べよう
- 7.わたしたちの国土
- (29) どちらが那覇市? 札幌市?
- (30) 寒い地方のくらしの工夫を見つけよう
- 8.環境
- (31) 人工林の荒れの原因は?
- 6年生編
- 1.弥生時代
- (32) 弥生時代はどんな時代だったのかな?
- (33) 縄文時代から弥生時代への変化を調べよう
- 2.古墳時代
- (34) 「はにわ」から古代の人々の生活を予想しよう
- 3.飛鳥時代
- (35) 聖徳太子の政治を年表からさがそう
- 4.奈良時代
- (36) 大仏は何のために作られた?
- 5.平安時代
- (37) 貴族のくらしはいかが?
- 6.鎌倉時代
- (38) 「いざ鎌倉」をさがそう
- (39) 元vs 鎌倉武士
- 7.室町時代
- (40) 金閣と銀閣,どちらに住みたい?
- 8.戦国時代
- (41) 3人の戦国武将
- 9.江戸時代
- (42) このグラフは何の数の変化を表しているのかな?
- (43) 農民がいい? 武士がいい?
- (44) 江戸時代を260年間続けさせた政策は?
- 10.明治時代
- (45) 何を訳したのかな?
- (46) 「風刺画」を読み取ろう
- (47) 不平等条約改正に最も効果的だったできごとは?
- (48) 日本の領土の変化を調べよう
- 11.大正時代
- (49) このグラフは何の価格?
- 12.昭和時代
- (50) 「15年戦争」について調べよう
- 13.わたしたちの生活と政治
- (51) 住民の願いはどう実現されるのかな?
- 14.日本国憲法
- (52) 投票率が低いのはどうして?
- (53) 投票率の低下は参政権の放棄?
- 15.日本とつながりの深い国
- (54) この写真はどこの国?
- おわりに
はじめに
社会科資料−写真,グラフ,地図,年表など−から情報を読み取らせるにはどうしたらよいのか。読み取った情報を解釈させるにはどのような発問がいいのか。また,解釈した内容を論述させていくにはどのような手立てが必要なのか。
以上の問いはPISA型「読解力」をどうしたらよいかという問いと同じである。すなわち,テキストから情報を読み取り(取り出し),解釈し,熟考・評価し,論述する力を身につけさせるにはどうしたらよいか,という問いである。
その問いに答えようとしたのが本書『社会科「資料読み取り」トレーニングシート』である。シートという教材の形での提案である。
資料を読み取らせるための手立ては,TOSS代表向山洋一氏がこれまでに優れた実践を生み出している。これを忠実に追試していくのが最もよい方法だと考える。本書では向山実践の追試をベースにしている。
また,解釈を促す「発問」もTOSSの研究から学んだことをベースに組み立てた。
そして,読み取った資料をより深く解釈させ,論述させるためには論理的な作文指導が必要になってくる。そのために本書では「アウトラインシステム」を採用した。アウトラインシステムとはどの子にも解釈を促し,その内容を論述させることのできる作文指導システムだ。アメリカやフィンランドの教科書にはアウトラインシステムが採用されている。アウトラインシステムの詳細は本書をお読みいただきたい。本教材の新しさは「資料の読み取り」と「アウトラインシステム」を1枚のシートに組み合わせた部分だろうと思う。
3年生から6年生まで,それぞれ単元のどこかで本シートを使用することで,子どもの資料読み取り能力,そして,解釈,論述する力が伸びていくと考えている。
本書を出版するにあたり多くの方々のご支援をいただいた。
いつも一緒に学び合っているTOSS青梅教育サークル(代表 村野),東京向山型社会研究会(代表 櫻木泰自氏)のメンバーには原稿を何度も検討していただいた。
そして,前作『クロスワードで社会科授業が楽しくなる!』の出版を薦めてくださった明治図書の及川誠氏。2度までもこのような機会を作ってくださったことに心より感謝申し上げる。私の力不足で原稿が進まず,大いなる迷惑をかけしてしまった。
本書が少しでも多くの方々の手元に届き,子どもたちに力がつくことを祈るのみである。
今回も多くの方々の支えがあって本書は誕生した。
平成20年3月24日 7回目の卒業生を出した日に /村野 聡
今まであったようでなかった本ですね。
作文トレーニングも「わたしは( )が原因だと考える」のように道筋が示されているので、子どもたちも取り組みやすいようです。
資料の読み取りだけでなく、記述問題のトレーニングにもなるので、定期的にやらせようと思います。
「買ってよかった」と思える本です。