- はじめに
- 5年
- 1 カレンダーで遊ぶ(カレンダーのしくみ)
- 2 何曜日かなぁ(式と計算)
- 3 アテネパラリンピック(概数)
- 4 イギリスでのお買い物(概数)
- 5 秘密基地のとびら(小数第2位の和と差)
- 6 ペアができるかな?(奇数・偶数)
- 7 体操男子団体総合の得点(小数のたし算・ひき算)
- 8 メダリストの平泳ぎリレー(小数の加減)
- 9 こんなに速いよ!テニスのサーブ(小数のかけ算)
- 10 1kmは何分で?(小数のわり算)
- 11 イチロー選手の世界新記録(小数のわり算)
- 12 三角形を見つけよう(図形)
- 13 四角形を見つけよう(図形)
- 14 台形の面積の求め方(台形の面積)
- 15 凹四角形の面積(面積)
- 16 マッチ棒遊び(面積)
- 17 四角も五角も三角で(多角形の内角の和)
- 18 ナンバープレートのまわり(円周)
- 19 なるほど!円の面積の公式(円の面積)
- 20 大きな台風にご用心(円の面積)
- 21 門のもようの面積(円の面積)
- 22 どこに行ったのかな(線対称)
- 23 どこが近いかな(線対称)
- 24 七夕飾りの面積(規則性)
- 25 まわりの長さ(規則性)
- 26 おいしいアイスを作るには(割合)
- 27 野球チームの勝率(割合)
- 28 100歳以上の人数(割合)
- 29 いろんなキノコの量くらべ(割合)
- 30 読んでみよう!点字の数字(数の表し方)
- 6年
- 31 お砂糖は何杯分?(整数,小数,分数の加法)
- 32 地球を1周してみよう(長さ)
- 33 倍数の見つけかた(1)(倍数)
- 34 倍数の見つけかた(2)(倍数)
- 35 かけ合わせると1になる数(逆数)
- 36 整数や小数の逆数(逆数)
- 37 分数÷分数は,なぜ「ひっくりかえしてかける」の?(分数の除法)
- 38 バウムクーヘンを食べる(分数の乗除)
- 39 先月と同じだけ使うには(帯分数のひき算)
- 40 どのくらい遠いかな(帯分数の加減)
- 41 旗の大きさ(帯分数のかけ算)
- 42 しょうゆを分けよう(帯分数のわり算)
- 43 マラソン選手の速さはどのくらい?(速さ)
- 44 オリンピック男子体操のメダル獲得の割合(割合)
- 45 あなたのお名前は?(立体図形)
- 46 底面積と高さは同じだけれど(1)(四角柱と四角錐の体積)
- 47 底面積と高さは同じだけれど(2)(円柱と円錐の体積)
- 48 ハガキを積み重ねると…(角柱の体積)
- 49 積み木の体積(角柱の体積)
- 50 どの箱が大きいかな(容積)
- 51 上から見ると…(立体図と平面図)
- 52 7センチで韓国旅行?!(比)
- 53 体重くらべ(等しい比・比の値)
- 54 年賀状は何枚?(比例)
- 55 雷のきょり(比例)
- 56 長方形の横とたての関係(反比例)
- 57 反比例のグラフ(反比例)
- 58 気温で高さが分かるかな(比例式)
- 59 土地を売ろう(比例配分)
- 60 せいくらべ(平均)
- 61 一筆書き(1)(思考)
- 62 一筆書き(2)(思考)
- 63 四つの4(式の作成)
はじめに
なぜ算数の勉強をするのでしょうか。買い物がじょうずに出来るようにするためでしょうか? 受験に算数があるからでしょうか? 学校での算数の試験で良い点を採るためですか?
どれも,そうかもしれません。でも最近の買い物は,バーコードでいくらと出て来て,計算をしなくても済んでいるようですよ。受験しない子は,算数を勉強しなくてもよいのでしょうか。テストの点が良くなかった人はダメな人なのでしょうか。
そんなことはありません。
算数が出来るからと言って自慢したり,出来ない人を馬鹿にする人より,家庭や友達を大事にしたり,人のために奉仕したり,社会の規則を守っている人,よく努力する人の方がはるかに素晴らしい人だと思います。
でも,家族や友達を大事にしたり,人のために奉仕したり,社会の規則を守って,よく努力するする人が,物事を考えるのに筋道を立てて考えられたり,何かのヒントを得たらそれを良く応用出来るならば,もっと素晴らしいでしょう。
算数を勉強することにより,筋道を立てて考えられたり,何かに応用できる力をつけたり,物事を正確に出来るようになったり,まとめて考えられたり,分けて考えられたり,先を見通して考えたりすることが出来るようになれば,それだけ人生を豊かに過ごすことが出来ます。それが算数を勉強する理由だと思います。
あなたの身の回りを見回してごらんなさい。あなたの身の回りには,算数で考えられることがたくさんあります。
何分後に電車が来るかなと時計を見ます。時間の読み方は算数の時間に勉強しましたね。あるいは,稲妻が光ってから雷鳴が聞こえるまでの秒数を計ることにより,雷がどのくらい離れているかが分かる人は,算数の勉強を良くした賢い人だと思います。
昨年はギリシャのアテネでオリンピックがあり,日本選手の活躍が目立ちました。今,アメリカ大リーグのマリナースという野球チームの一員であるイチロー選手は,1年間に打つヒットの数で世界記録を作りました。パラリンピックでは,成田選手が1人で7個の金メダルを獲得しました。そこにも,算数で考えることがたくさんあります。ビートたけしさんという人は映画監督をしていくつもの素晴らしい映画を作っていますが,そのビートたけしさんが,映画を作る時にも数学の構成力(まとめる力)が必要だとおっしゃっていたと新聞に出ていました。
算数は,みんなの身の回りにあり,人生を豊かに過ごすために役立つものです。でも,「算数の勉強をしなさい。」「宿題を早くしなさい。」「しっかり勉強しないと偉い人になれないぞ。」などと言われると,(ああ,いやだなぁ,勉強なんて無ければいいのに。)などと思う人がいるようです。親や先生は,子供達の事を思って言ってくれているのですが,それは分かっているけど,いやだなぁと思うことがあるのではないでしょうか。
勉強をなぜ嫌うのでしょうか。勉強と言うのは,本当はみんなが好きで嬉しいと思うことなのに,「勉強は嫌い」という人がいるのは,「勉強」という言葉の説明がよくないのではないかと思います。「勉強」という言葉を,岩波の国語辞典で見てみると,「@(学業・仕事などに)精を出して励むこと。知識・技能などを身につけるために努力すること。A商人が安い値段で品を売ること。」とあります。Aは別として@の解釈を診ると,「精を出して励む」とか,「努力する」などという言葉になっているから勉強が嫌われるのではないかと思います。
私が小学生に話している「勉強」は,辞書とは少し違います。「勉強と言うのは,自分の出来ないことを出来るようにすることです。自分の知らないことを知るようにすることです。自分が分からないことを分かるようにすることです。」と言っています。出来ないことが出来るようになるのは喜びです。誰だって「出来ないことが出来るようになる」のは嬉しいことです。出来なかったピアノが弾けるようになる。出来なかった水泳が出来るようになる。これはみな嬉しいことです。「知らないことを知りたがる」のは,人間の欲望の1つだと思います。やじうまも自分が知らないと「なんだ,なんだ」と知りたがります。他の人が知っているのに自分にだけ知らされないで,他の人がひそひそ話しているのを見ると,ほとんどの人が腹を立てるようです。「和からないことが分かるようになること」は大きな喜びです。分からないことが難しければ難しいほど,「分かった!」と言うときの気持ちは感激に繋がります。「勉強」を,このように「新しい何かが身に付くことです。」といった方が,「精を出して励む」「努力する」というより良いようです。
平成17年度から,算数の教科書が少し変わります。文部科学省で決めた学習指導要領の内容を少し発展させたものを入れて,いろいろな子供達のためになるように変わります。そこで,学習指導要領の内容を少し発展させたものを意識して,新聞などに出た大勢の人が知っている,身近に感じられる題材で問題を作りました。算数は楽しみながら勉強するものです。この本はクイズ感覚で作りました。どうか,楽しく勉強して,人生を豊かに過ごす糧にしてください。
2005年5月 /中山 理
-
- 明治図書