- まえがき
- T 「理科は感動だ!」から向山・小森型理科は生まれた
- 1 「理科は感動だ!」一筋に
- (1) 向山先生との出会い
- (2) 合宿参加,ソニー賞日本一
- (3) 生徒の98%が理科好きに
- 2 理科好きな中学生を育てよう
- (1) ワクワクする授業で子どもたちを理科好きに
- (2) 教師の理科好きは,子どもに伝わる
- 3 理科が好きになった子どもたちの声
- (1) ハートマークが5つ
- (2) 生徒の言葉は宝物
- 4 理科好きにすることを第一に
- (1) 理科のおもしろさを味わわせる
- (2) 実物にふれさせる
- (3) パフォーマンステストで技能評価
- (4) ワークシートを個別評定
- (5) 形成的テストの活用
- 5 難しいことがわかるから楽しい
- (1) 難しいから楽しい授業
- (2) 考えさせる授業
- (3) きれい,すごい,感動!
- U 理科好き生徒はこうして育つ
- 1 「理科は感動だ!」で子どもたちを理科好きに
- (1) 理科教師は寿司職人
- (2) TOSS指導法の全体構造
- (3) 向山・小森型理科を理解するための本
- (4) 向山・小森型理科で生まれたドラマ
- (5) 向山・小森型理科の実践方法
- (6) これからの発展方向
- (7) 自分自身の体験
- (8) サマーセミナー2006の資料より(抜粋)
- 2 理科はおもしろい
- (1) そもそも理科はおもしろい
- (2) 理科をつまらなくしているのは,学校・教師
- (3) 「理科は感動だ!」をキャッチフレーズに
- (4) ものを豊かにする
- (5) 情報を豊かにする
- (6) 心の指導も大切
- (7) 興味・関心を高めるための授業の工夫
- (8) 興味・関心調査の結果
- 3 教師の理科離れ?
- (1) 物理嫌いは教師に作られる?
- (2) 最新情報に関心を持とう
- (3) 科学番組を紹介しよう
- 4 教師自身が理科好きに
- (1) 学力低下より理科嫌いが問題
- (2) 中学生も理科好きになる
- (3) 出会いの授業を楽しく
- (4) 新入生の実態調査をしよう
- 5 生徒が知的な楽しさを感じるように授業タイプを組み合わせる
- (1) 教師がタイプを組み合わせる
- (2) プリントや教科書通りに進めるタイプ
- (3) たっぷり体験させる自由試行
- (4) 技能をきたえるパフォーマンステスト
- (5) 問題解決的な探究活動
- (6) 理科室か教室か
- (7) 楽しそうに教えよう
- 6 理科的な体験が多いほど理科好きで学力が高い
- (1) 理科好きはテストもできる
- (2) 楽しそうに授業する
- (3) 理科的な体験を
- V 熱中する授業にはドラマがある
- 1 目立たなかった生徒が一躍脚光を浴びる
- (1) 固定化された「できる子,できない子」の打破
- (2) 花が咲くか,種子ができるか?
- (3) 100Wと40Wの電球を直列につないだらどっちが明るくつく?
- (4) 水溶液で,電球がつくかつかないか?
- (5) ブランコをゆらすと電気が起こる?
- 2 逆転現象が起こる定番の発問がある
- (1) 定番の発問を使う
- (2) 気体の授業での逆転現象発問
- (3) 人体の授業での逆転現象発問
- (4) 電流の授業での逆転現象発問
- 3 授業のシステムを生徒が見抜く
- (1) 異動しても有効
- (2) 理科はもので勝負
- (3) 生徒が見抜いたシステム
- (4) 生徒の人生が変わる
- 4 自然に感動する心を大切に
- 教科通信『かがく』最終号
- W 生徒を理科好きにするために
- 1 廃物やおもちゃが教材に
- (1) エネルギー単元での工夫
- (2) 身近なもの,日常生活を理科の目で見る態度の育成
- 2 生徒を感動させる楽しい授業
- (1) 気体の性質
- (2) 密度を直接体験させる
- (3) 圧力も面白くなる
- (4) 葉脈や細胞に感動
- (5) カエルの解剖
- (6) 感動させる定番ネタをしくむ
- 3 理科は暗記ではなく理解
- (1) 理科は暗記科目ではない
- (2) 変化のある繰り返しで納得させる
- (3) 合格のはんこ
- (4) 形成的テストを両面印刷
- 4 勉強を好きにさせる家庭学習
- (1) 何をやればよいかを明確に
- (2) 復習チェックマーク
- (3) 家でできる観察・実験
- 5 理科の少人数指導のメリット・デメリット
- (1) 教師の指導が行き届く
- (2) 実験机や観察器具をたっぷり使える
- (3) 二分して分野別の教師が担当
- (4) 大単元で順序をずらす
- (5) 習熟の程度に応じた少人数指導
- 6 保護者にも理科の楽しさを体験してもらう
- (1) 保護者も楽しい授業を期待している
- (2) 音の振動を肌で感じる
- (3) 音の伝わる速さを測る
- 7 好きになれば,やる気が起こる
- (1) 理科好きにするための工夫を
- (2) 理科はもので勝負
- (3) 観察や実験で生徒は感動する
- (4) 試行錯誤する時間を
- (5) 合格のゴム印で個別評定
- 8 精密スケッチの取り組み
- (1) 生徒作品が最良の手本に
- (2) ポイント
- (3) 生徒の作品より
- あとがき
まえがき
私は子どもの頃から理科が大好きだった。鉄腕アトムやアポロ11号月面着陸に,胸を躍らせて少年時代を過ごした。
そのような時代背景のほか,小学校,中学校,そして高校と観察や実験を重視する理科の先生に出会い,大学では工学部へと進んだ。
自分のこのような進路を振り返っても,学校の先生の影響はとても大きい。
工学部出身でありながら,そのような影響力の大きい教職に魅力を感じ,中学校教師を職業として選んだ。
私が子ども時代に感じたような理科の楽しさを中学生に味わわせたい。その思いを「理科は感動だ!」という言葉にして,授業や理科室経営に臨んだ。
そうは言っても,工学部出身であり,知らないことだらけであった。そんな私の最初の授業は,仮説実験授業の「もしも原子が見えたなら」であった。そのほかにも,ソニー賞受賞校連盟(現在は,ソニー科学教育研究会)や科学教育研究協議会(科教協)などから多くを学び,授業づくり,理科室づくりをしてきた。
そんな中で,「教育技術の法則化運動を立ち上げる」という向山洋一氏の呼びかけが目にとまった。これぞ私の求めていたもの,教育界に必要なものと,心底から感じ,法則化中学理科の事務局として立候補した。そのあとの歩みは,本巻の本文中にある。
異動して学校が変わっても,必ず生徒が熱中する実験,逆転現象が起こる発問がある。教師にとって効率よく,かつ生徒には楽しくてたまらない理科室を異動の先々の学校でつくることができた。
幸い,明治図書の月刊誌に執筆の機会をたくさんいただき,授業や理科室経営について書かせていただいた。
今回,それらを集大成する著作集を発刊する運びとなったのは,望外の幸せである。
私が教えた生徒からも,「理系に進んだのは中学校時代の理科授業の影響が大きかった」とのうれしい便りをもらうようになった。中には,教職に進む卒業生もいる。
本著作集の発刊は,私の教え子を含め,これから教師になる学生たちや若い先生方へ,私が先輩教師から教えていただいたことを伝え,バトンタッチすることでもある。私が学んだことを次の世代の教師に伝えることが,諸先輩への恩返しともなる。
なお,本著作集には,20年以上前に書いた文章もある。新しいものでも,執筆から2年以上たっている。最新のもの,現在進行中のものは,TOSSのセミナーや,理科教育コンサルタントとしての仕事でお伝えしていきたい。
2008年7月 /小森 栄治
小森先生の理科好きにする思想を見ることができます。
一気読みできます。
小森先生とTOSSとの出会いなども分かります。
逆転現象についても書いてあります。
理科の楽しさを伝え、そして生徒に力を付けるための実践が散りばめられています。
この本を読めば、教師自身も理科好きになること間違いなし!
私もますます理科が好きになりました。
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