- まえがき
- 第1章 「教えて考えさせる」ことが授業の基本的な枠組みである!
- 1 教えることをないがしろにしない
- 〜6年「血液の流れ」
- (1) 「指導」こそ授業の基本である
- (2) 教えるべきことは教える
- (3) 6年「血液の流れ」
- 2 教えて考えさせ,身近な生活との関連性を意識させる
- 〜6年「水溶液」
- (1) 知識記憶にならないように…
- (2) 石鹸をつくる薬品・水酸化ナトリウム
- (3) 実感を伴った理解に!
- 3 支援の一人歩きにもの申す
- 〜3年「豆電球」の実践を例に
- (1) 支援の一人歩き
- (2) 支援を放任と誤解してはならない
- (3) 3年・豆電球「向山実践の追試」
- (4) それまでに指導したことがものを言うのである
- 4 教師の出番! ―出てきた意見を整理する―
- 〜追試は単なる人まねではない。4年「空気を縮める」
- (1) すぐれた実践家と自分自身との対決の場
- (2) 子どもの考えを100%近く尊重した対応
- (3) 個人に対応した学習活動
- (4) 教室に持ち込まれる品物
- (5) 子どもたちの意見を整理する
- (6) 空気でっぽうの筒をジャガイモでふさぐ
- 5 淡々と事実を示して考えさせる
- 〜4年「水のすがたとゆくえ」
- (1) 実験に納得しない子どもたち
- (2) 子どもというものは,教師がいうように簡単には変わらないものである
- (3) 変化のある繰り返しで事実を示す
- (4) 風船を試験管の口にはめてみせる
- (5) 細いガラス管から水蒸気を吹き出す
- (6) 水蒸気の過熱実験
- 6 論理的思考力を伸ばす向山式「見開き2ページのノート指導」
- (1) 授業の基本とノート指導
- (2) 向山式「見開き2ページのノート指導」
- 7 最初の授業だからこそ「ノートの型」を指導する
- 〜4年「春の自然観察」は桜から
- (1) いきなり「歌詞」を板書する
- (2) 大切なノートのチェック
- (3) ノートに理由を書かせる
- (4) 黒板に理由を書かせる
- 8 学習ノートと班での話し合いの活用
- 〜拡散的な発問の時,有効な班での話し合い
- (1) 拡散的な発問を行った時
- (2) 一見無駄に見える話し合いが…
- (3) 5年「植物の発芽と成長」
- 第2章 新学習指導要領への対応
- 言葉の力を育てる理科/実感を伴った理解/他
- 1 学習のまとめを子どもたちに言葉と図で表現させる
- 〜6年「消化」の意味を深く理解させる
- (1) 自由な表現と明確な評定
- (2) 消化の意味を授業する
- 2 科学的リテラシーを意識した授業の組み立て方
- 〜5年「天気による一日の気温の変化」
- (1) 科学的リテラシーを向上させる1つの授業モデル
- (2) 測定させるシステムをつくる
- (3) 2日間のデータをグラフ化する
- 3 PISA型読解力への対応
- 〜向山実践「豆電球」のテスト分析より
- (1) 豆電球のテストのレベルの高さ
- (2) 授業の中から生まれてきたものばかり
- (3) 脳みそに汗をかくぐらいに集中して考える授業
- 4 実感を伴った理解を図る視点
- 〜6年「てこ」の原理で社会を見つめる
- (1) 実感を伴った理解を!
- (2) 6年「てこ」の発展学習
- 5 習得型の理科に欠かせない実験
- 〜6年「ヒトの体のつくりとはたらき」
- (1) 習得型の理科を目指すには
- (2) 分かりやすいモデル実験を示す!
- (3) 赤血球を「宅配便」にたとえる
- (4) 教師からのゆさぶり発問
- (5) やかんVS湯沸かし器
- (6) 表面積の違いをさらに分かりやすく!
- 6 子どもたちの疑問に応える!
- 〜窒素って役に立っているの?6年「燃焼の仕組み」
- (1) 窒素は役に立っているのか?
- 第3章 条件を統一するという概念は,このように指導する
- 1 条件を統一するという概念
- 〜5年「振り子」の導入
- (1) 導入で巻き込む
- (2) 条件を統一するという概念を指導する場面
- (3) 教科書はこのように活用する!
- (4) 仮説づくり
- 2 単元全体を「変化のある繰り返し」で構成し,スパイラルに追究させる
- 〜5年「振り子」仮説の検証の仕方
- (1) 理科の本筋で工夫をする
- (2) 子どもの仮説で単元を構成する
- (3) 勢いをつけると周期は変わるのか?
- (4) 振り子のおもりの形を変える
- (5) 糸の太さを変えると周期は変わるのか?
- 3 わざと間違えて教える
- 〜5年「植物の成長」
- (1) 大きさ・種類をわざと変えて提示する
- (2) 教科書を上手に活用する
- 4 未知の概念を獲得させることの難しさ
- 〜6年「燃焼の仕組み」
- (1) 子どもには概念がない
- (2) 線香の煙の流れを予想させる
- (3) 改めて分かった向山氏の言葉
- 第4章 考える足場「内部情報」を蓄積させる
- 1 難しい内容を分かりやすく教えるポイント
- 〜5年「水溶液」ミョウバンの析出
- (1) 分かりやすさへの配慮
- (2) グラフを写すことで実験を振り返る
- (3) 明確な評定でやる気を引き出す
- 2 5年「電磁石」に入る前の復習に4時間は必要である!
- (1) 磁力も電気も目に見えない!
- (2) 1時間目「磁力」とは
- (3) 2時間目「磁化」について
- (4) 3時間目「回路の概念の復習」
- (5) 4時間目「ショート回路」
- 3 バイオ燃料は自動車燃料の主役となれるのか?
- 〜「カーボンニュートラル」の意味を教えて考えさせる
- (1) バイオ燃料は地球に優しいのか!?
- (2) 全てバイオ燃料にできたら…
- (3) インターネット上で調べる
- (4) あらゆる可能性に挑戦する!
- 第5章 討論する力を高める指導
- 1 反論を教えるタイミングを逃さない!
- 〜6月下旬,4年「電気のはたらき」
- (1) ほめてほめて指名なし発表に慣れさせる
- (2) 討論の授業は一気にやってくる
- (3) 向山氏の「成長曲線」のように現れる
- 2 たった一人でも主張できる子どもに変える「逆転現象」の授業
- 〜6年「ものが燃えるとき」
- (1) 固定観念を覆す「逆転現象」の授業
- (2) たった一人の発言
- (3) 逆転現象が起きる発問
- 3 調べ学習から討論へと導くポイント
- 〜5年「ヒトの誕生」
- (1) 保護者をも巻き込む調べ学習
- (2) 寒河江氏のサイト「ヒトの誕生」
- (3) 問題の解かせ方
- (4) 班での情報交換を優先する
- (5) 「脳」という字に表された胎児の謎
- 第6章 理科の授業がうまくいかない原因はどこにあるのか
- ―これは凄い!「実験・観察指導」11のポイント―
- 1 明確な役割分担を教師が告げてやる
- (1) 子どもたちが一番望むこと
- (2) 実践例 5年「植物の発芽と成長」
- 2 手が空いた時はデジタル機器の活用を!
- 〜5年「流水実験」
- (1) 便利なデジタル機器
- (2) 曲がった川べりに家を建てるとしたら…
- 3 黒板を使って実験データを共有させる
- (1) 測定値を刻々と板書させていく
- (2) 5年「振り子」
- 4 感動的に「植物の成長」を観察させる秘訣
- (1) 神の手です!
- (2) 必需品!「10倍のルーペ」
- 5 不自由な自由試行で「並列つなぎ」の良さを見つけさせる!
- 〜4年「電気のはたらき」
- (1) 不自由だから気づく「並列つなぎ」の良さ
- 6 トウモロコシ1つでも提示の仕方次第!
- 〜5年「植物の実や種子のでき方」
- 7 月と地球のモデルを使うことでイメージを膨らませる
- (1) 月は地球より大きいと答える子どもたち
- (2) 地球と月との距離をイメージさせる
- 8 初めて顕微鏡の操作を指導する時は,このように!
- (1) 指導の原理原則を踏まえて
- (2) 明確な「役割分担」と「一時に一事」の指導を!
- 9 わくわくずかん(正進社)で昆虫の不思議に迫る
- 〜足の退化したチョウ!?
- (1) 昆虫の体のつくり
- 10 子どもたちを魅了する火山灰の観察手順
- 〜6年「大地のようす」
- (1) 火山灰と木灰を比較させる
- (2) 予想した上で顕微鏡を覗く
- 11 4年「桜の木」の観察のポイント
- (1) 様々な生命が息づく桜の木
- あとがき
まえがき
野球で,基本を教えなかったらどうなるだろう。捕球の仕方,送球の仕方を教わらないで,一流になれるだろうか。剣道で,素振りやすり足などの基本動作を教わることなく上達するだろうか。
このことは,授業でも同じことだ。
実験の仕方や観察の仕方など教えるべきことは教えなければならない。
また,考える足場となる情報や知識はきちんと教えなければ,考えは深まらない。
新しい見方や知らない概念は,教えなければ獲得することはできない。
ところで,新学習指導要領では,「活用力」を伸ばすという新しいキーワードがある。
このキーワードに対しても,教えることを手放しにするわけにはいかない。
活用力の1つは,実験の結果が出た後,結論をどう書かせるかにある。
6年「水溶液」では,塩酸に溶けた鉄の行方を探る授業がある。
結論は,課題に対応する答えにあたる。
たとえば,「塩酸に溶けた鉄を取り出すことができるのか」という課題に対する答えが結論である。
このような時も,教えるという発想を抜きに考えられない。
結論を書く型をきちんと教えておくのである。
先の課題ならば,「もし,鉄ならば磁石につく。しかし,出てきたものは磁石につかなかった。もし,鉄ならば,塩酸に入れると泡が出る。しかし,泡は出なかった。これらのことから,塩酸に溶けた鉄は別のものに変わったことが分かる」という結論になる。
このように,「もし」,「しかし」,「これらのことから」という3つのつなぎ言葉を,1つの型として教えるのである。
型を知ると,応用が利く。
別の授業でも,3つの言葉を意識させると,ほぼ似たような結論を次第に書くことができるようになってくるのである。
型を知れば,結果を基にして結論を導く思考がより簡単になるのだ。
このことが,「活用力」の育成につながるのである。
「教えて考えさせる」ことは,授業の基本である。
にも関わらず,「児童が主体的に問題解決を…」,「自主的に学ぶことを大切にしたい…」などという言葉の呪縛にいつの間にかはまってしまいやすい。
15年ほど前,「指導から支援へ」ということが全国で流行するようになった。教育は,「指導」から「支援」へ移ったというのだ。
この流行は大きな負の影を教育界にもたらした。
学習指導案にも,「支援」という言葉が躍るようになった。
しかし,15年経って,ようやく軌道修正が行われようとしている。
文部科学省のHPにも,「新学習指導要領に関する」Q&Aには,次のように明記されている。
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/qa/index.htm
子どもたちの自主性を尊重することと,教えることを抑制することは違います。学ぶ意欲を高めながら,教えて考えさせる指導をすることが大切です。
自主性を尊重することと,教えることを抑制することは違うのである。
「教えて考えさせる」理科を目指そうではありませんか。
2009年6月 /小林 幸雄
どのように、子どもにノートを取らせるのか?
どんな授業だと子どもたちをひきつけ、力をつけさせることができるのか、手探りでしています。
この本は、私のニーズにぴったりでした。
ノート指導の仕方と大切さがわかりました。
授業の進め方もくわしく書いてあるので、とても指導しやすかったです。
特に、「人や動物の体」に関するところは、指導が難しいなあと思っていた「血液のはたらき」を宅配便にたとえるなど、わかりやすい表現え説明できると知りました。その他、たのしい表現方法、授業の進め方などいろいろなアイディアがいろいろあるのだなあ驚きました。
私でもなんとか、子どもにとって楽しい理科ができそうに思えてきます。
2学期からの授業も参考にしたいです。
理科をされている先生方にオススメの本です。
楽しい理科授業が なかなかできずに困っていました。
しかし、この本を購入して 授業してみると
ぐんぐん、子どもがのってきて、
「先生、理科って楽しいね」
「先生、いろいろなことを知っていて、すごいね」
という声が、多く聞かれるようになりました。
素人の私にも そのまま授業できるように
わかりやすく書かれていて、本当に助かります。
理科を授業している先生に ぜったい おすすめの本です。