- はじめに
- T 考え方を表現できない子どもたち
- 1.考えを書けない子どもたち
- (1) 形式だけが一人歩きする
- (2) 答えは書けても,解決の過程を書けない子ども
- (3) 公式は知っているけれど……
- 2.なぜ,子どもは書けないのか?
- (1) 書けない原因は何か?
- (2) ドリル中心の算数授業では,子どもは書けない
- (3) 小学校6年間で広がる学力の二極化
- (4) 育てるべき「数学的な考え方」を意識する
- (5) 授業のどこを変えればいいのか?
- 3.学習作文のあり方を問い直す
- (1) 算数の「学習作文」「学習感想」,何が問題か
- (2) 何のために書かせるのか? 書く目的を明確に
- U 書く力を鍛える指導ステップ
- 〜問題との出会いで書く〜
- 1.授業の「書く」場面を分析する
- 2.書く力は,こうして鍛える 〜問題との出会い〜
- (1) 問題との出会いで書く
- (2) ノート選びで1年間が決まる
- (3) ノートの基本的書き方を鍛える
- (4) 先輩の算数ノートから学ぶ
- (5) ノートの視写速度を上げる
- (6) 1文の長さを意識させる
- V 書く力は,こうして鍛える
- 〜考えを整理する場面〜
- 1.子どもが自分の思いを書きたくなる授業を構成する
- 2.「問い」のある授業で算数的活動を構成しよう
- (1) 「問い」のある授業で,書きたい思いを膨らませる
- (2) 「問い」を引き出す教材開発
- (3) 「問い」を引き出す課題提示の工夫
- (4) 「問い」を引き出す発問の工夫
- 3.「問い」のある授業実践(5年「偶数と奇数」)
- 4.考えを整理するための必要アイテム(図)の鍛え方
- (1) 図や式を読む
- (2) 図を子どもが描いていく
- (3) 「割合」単元も対応数直線で楽々クリア
- 5.絵・図・表を使いたくなる授業を創ろう!
- (1) 子どもが絵・図・表を使いたくなるのは?
- (2) 場面を整理するために表を使う授業(4年「資料の整理」)
- (3) 漠然としていたことを明確にさせる授業(4年「概数」)
- (4) 整理された考えを伝えるために,絵・図・表を使う授業(4年「折れ線グラフ」)
- W 学習作文が書ける力の鍛え方
- 〜キーワード作文編〜
- 1.書く力を鍛える3つのステップ
- 2.「キーワード作文」で200文字以上の学習作文を全員が書ける
- (1) 「キーワード作文」とは何か?
- (2) 書き方がわからない
- (3) 何を書けばいいのかがわからない
- (4) どれくらい書けばいいのかがわからない
- (5) 学習作文を書きたくなる授業なのか?
- (6) キーワード作文で,どんな力を伸ばすのか?
- (7) 類題や○○さんの考えでキーワード作文を書かせる
- 3.キーワード作文の具体例 〜4年「小数」〜
- (1) 小数ブロックゲットゲームPART1(第4時間目)
- (2) 小数ブロックゲットゲームPART2(第5時間目)
- X 学習作文が書ける力の鍛え方
- 〜決まり発見作文・研究レポート編〜
- 1.「帰納的な考え方」「類推的な考え方」を鍛えるために書く
- 2.「決まり発見作文」とは?
- 3.「研究レポート」で,単元の考え方の定着を図ろう
- (1) 目指せ田中博史学級! 研究レポートを書いてみよう!
- (2) 田中学級の研究レポートを分析する
- (3) 類題でレポート作り
- 4.「決まり発見作文」「研究レポート」への授業実践例(4年「ともなって変わる量」)
- (1) 白のピラミッドの数の秘密を探ろう(1時間目)
- (2) 黒のピラミッドの数の秘密を探ろう(2時間目)
- (3) 階段の周りの長さの秘密を探ろう(3時間目)
- (4) 時計の針の秘密を探ろう(4時間目)
- (5) つなげたテープの長さの秘密を探ろう(5時間目)
- (6) 研究レポートを作ろう(6時間目)
- 5.決まり発見作文・研究レポートを支えるもの
- コラム1 これって偶然?
- コラム2 曖昧な課題で勝手に思い込み
- あとがき
はじめに
文部科学省が実施する全国学力調査が始まった。中でも話題になっているのが,B問題である。なぜ,話題になっているのであろうか?
それは,これまでの「知識・理解」「表現・処理」を問うだけのテストとは全く形式が異なるテストだったからである。B問題は,これまで測定が難しいと考えられていた「数学的な考え方」や「表現力」を問う問題だからである。
このB問題を実施した結果,学校間格差・教師間格差があることが見えてきた。A問題は解けたのに,B問題はほとんど白紙状態だったという学校・学級がかなりあった。一方,全国平均点と比べても,かなり高い平均点を記録した学校もある。その学校は,普段の授業から,解き方を言葉や文章で表現させる授業を進めているのである。また,1時間の学びを言葉で再現させる「学習作文」を取り入れているのである。
では,解き方を言葉や文章で再現させる活動を行えば,子どもの「数学的な考え方」や「表現力」は高まるのであろうか? 言葉や文章で再現させる活動は,少し指導熱心な先生なら通常行っている手立てである。しかし,それをしているからといって,子どもの「数学的な考え方」や「表現力」は必ずしも高まらないのである。かつての私もそうであった。何となく解き方を説明させたり,解き方をノートに書かせたりしていた。しかし,このような活動を何回繰り返しても,先の子どもの力は高まることはなかったのである。
子どもの「数学的な考え方」や「表現力」を高めるためには,教師の明確な目的意識が必要なのである。また,目的意識に合わせた具体的な表現指導ステップも必要である。
本書では,子どもの「数学的な考え方」や「表現力」を高めるための指導ステップを提案していく。
/尾ア 正彦
ずっと大切と思っていました。
どのようなところに気をつけて指導すればよいのか、
ステップを踏んでわかりやすく説明されています。
授業実践を通してまとめられているので、
子どもたちの姿や教師のかかわりが目に浮かんできました。
授業づくりで大切にしたいポイントもよくわかります。
よかったです。