- はじめに
- この本の使い方
- 水 ―飲み水を得よう 水を移そう
- 1 にごり水をきれいな水にしよう
- 簡単なろ過器を作って飲み水を作ろう
- 2 透明シートで太陽熱蒸留器を作ろう
- 太陽のパワーできれいな水を作ろう
- 3 サイフォンで水を移そう
- エコで便利な古代技術を身につけよう
- 食 ―食料を得よう 調理しよう
- 4 かんたん,不思議な電気パン
- もこもことふくらむ,おいしいパンを作ってみよう
- 5 落ち葉で焼きイモを作ろう
- 落ち葉は貴重な燃料。集めてイモを焼こう
- 6 ポリ袋でご飯を炊こう
- 最小限の水でご飯を炊く方法を試そう
- 7 空き缶でご飯を作ろう
- 空き缶2個で釜とかまどを作ってご飯を炊こう
- 8 牛乳パックでホットサンド
- 牛乳パックを燃料として使おう
- 9 海岸には食べられるものがごろごろ
- カメノテ(ガメラの手?)などを食べてみよう
- 燃料 ―燃料を得よう 調理器具を作ろう
- 10 古代の火おこしに挑戦しよう
- ライターがなかったら,どうやって火をつけますか?
- 11 何とかして火をおこそう
- いろんな火おこし方法をマスターしよう
- 12 炭を作ってその実力を知ろう
- 炭のパワーはあなどれない! その実力は…?
- 13 レンガでロケットストーブを作ろう
- レンガを組んで,よく燃えるストーブを作ろう
- 14 瓦でロケットストーブを作ろう
- 瓦を組んで,よく燃えるストーブを作ろう
- 15 太陽熱でソーラークッキング
- アルミホイルと段ボールで太陽熱調理器を作ろう
- 住 ―暮らそう 作ろう 助け合おう
- 16 カルキ抜き剤でエコカイロを作ろう
- エコカイロを作って結晶化する様子を観察しよう
- 17 廃油でランタンを作ろう
- 使い終わった天ぷら油を固めてランタンを作ろう
- 18 段ボールハウスを作ろう
- 段ボールを組み合わせて「秘密基地」を作ろう
- 19 ノコギリや金づちを上手に使おう
- 限られた道具と限られた材料で作ってみよう
- 20 ナイフやカッターを上手に使おう
- ナイフやカッターナイフを使いこなそう
- 21 「てこ」のパワーで百人力!
- 「てこ」をマスターしていたら,命を救えるかも
- その他 ―連絡を取ろう 時刻を知ろう 節電をしよう
- 22 何とかして助けを呼ぼう
- 助けてほしいとき,どうやって気づいてもらう?
- 23 災害時の通信手段「スカイプ」をやってみよう
- パソコン2台で通信を始めよう
- 24 日時計を作って時刻を知ろう
- 昔の人はどのようにして時刻を知ったのだろう?
- 25 エコワットで計画節電
- どの電気器具がどのくらい電気を使うか知ろう
- おわりに
- コラム
- 原体験教育の大切さ
- 「地震だ! 机の下へ」の危険
- 非常時持ち出し袋・備蓄
- 津波てんでんこ
- 被災していない地域でできること
- 支援物資の送り方
- 「お手伝い募金」の取り組み
はじめに
2011年3月11日の東日本大震災は,子どもたちにとっても衝撃的な出来事でした。
これまでどこか遠い国の出来事,あるいはTVや映画で起きることだと思っていた災害がリアルタイムに同じ日本の中で起きていることの驚きは,いてもたってもいられない不安な気持ちを子どもたちの心の中に生じさせました。もし自分が災害に遭ったらどうすればいいのだろう? 避難所での生活はどんな様子なのだろう? 自分たちにできることは何なのだろう? 1年生なら1年生なりに,大人に近づいた6年生なら社会の一員として,今回の災害から様々なことを考えたことでしょう。
著者である我々3名も子どもたち同様,強い衝撃を受けました。今すぐに現地に行き,何か手助けはできないものかとも考えました。しかし,災害復旧現場に素人が入ることはかえってプロの救助隊の足手まといになると考え,断念しました。募金することの他に我々にできることはないのだろうか? 私たち3名の著者は小学校の教師です。教師には教師にしかできない社会貢献の仕方があるのではないか。そうして辿り着いた答えが「子どもたちがたくましく生き延びられるように教育すること」でした。次にいつ起こるかも知れない災害に備え,いかなる状況でも知恵を働かせて生き残る力を身につけさせるようにしたらどうだろう。教科指導の中ではなかなか難しいかもしれないが,科学クラブで計画的にスキルを育てていけば,子どもたちの命を守ることができるかもしれない。こう考えて「ワークシートでらくらく科学クラブ」の番外編としてサバイバル術に特化した本を緊急出版することにしたのです。
扱う内容は「衣・食・住」という生存のための3つの柱ですが,その中でも特に水と食料,燃料の確保に重点をおきました。この3つがあれば,救助隊が到着するまでの数日間命をつなぎ止めることができます。そして次の段階として避難所での生活を少しでも快適にするための工夫や防災に関わるコラムも掲載しました。
本書はタイトルの通り科学クラブでの使用を想定して書かれています。しかし,内容は子どもたちにどんな状況でも生き延びるための知恵と力を身につけさせるためのものなので,総合的な学習の時間や生活科,特別活動など様々な教育活動の中で行うことができると考えています。また,学校教育にとどまらず,公民館講座などの社会教育においても利用していただけたらと思います。生き残るための知恵を学ぶ継続的な取り組みが広がっていってほしいと願っています。
著者 /國眼 厚志・高田 昌慶・福井 広和
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- 明治図書