- はじめに
- T コーディネーション能力を高める運動の必要性
- 1 コーディネーション能力とは
- 2 コーディネーション運動の実際
- 3 コーディネーション運動のターゲット
- U コーディネーション能力を高める運動例65
- 1 用具を使わないコーディネーション運動
- (1) ジャンケンジャンプ(低学年)
- (2) ジャンケンジャンプ2(中学年)
- (3) スキップ(低学年)
- (4) スキップ2(中学年)
- (5) ケンパージャンプ(低学年)
- (6) リアクションジャンケン(低学年)
- (7) ラダーステップ(低学年)
- (8) ステップオンゲーム(低学年)
- (9) ボディータッチ(低学年)
- (10) ハンドタッチ(低学年)
- (11) リズムジャンプ(低学年)
- (12) リズムジャンプ2(中学年)
- (13) リアクションタグ(低学年)
- (14) リアクションタグ2(中学年)
- (15) リズム走(中学年)
- (16) キャッチ・プル(中学年)
- (17) ジャンケンタグ(中学年)
- (18) フェイントジャンケン(中学年)
- (19) シャトルラン(中学年)
- (20) リバースタグ(中学年)
- (21) タッピング(高学年)
- (22) クロスタッチ(高学年)
- (23) マリオネット(高学年)
- (24) ジャンプターン(高学年)
- (25) シーソー(高学年)
- コラム1 指導とは?
- 2 マットを使ったコーディネーション運動
- (26) コピーゲーム(低学年)
- (27) サイドローリング(低学年)
- (28) ローリング(低学年)
- (29) ローリングタグ(低学年)
- (30) グリルフィッシュ(低学年)
- (31) ジャンピングスタンド(中学年)
- (32) コンビネーションロール(中学年)
- (33) ソールスラップ(中学年)
- (34) レッグスジャンケン(中学年)
- (35) ジャンプ&ロール(中学年)
- 3 平均台を使ったコーディネーション運動
- (36) テイクオンゲーム(低学年)
- (37) ボディコントロール(低学年)
- (38) ジグザグジャンプ(低学年)
- (39) ジャンプオーバー(低学年)
- (40) ジャンプオン(低学年)
- (41) ビハインドウォーク(中学年)
- (42) ボースレッグスジャンプ(中学年)
- (43) 連続ステップオン(中学年)
- (44) ボールトスウォーク(中学年)
- (45) ワンレッグターン(中学年)
- 4 ボールを使ったコーディネーション運動
- (46) フットアップ(低学年)
- (47) ストッピング(低学年)
- (48) ボールタッチ(低学年)
- (49) ボールキャリー(低学年)
- (50) イントゥザボール(低学年)
- (51) ツーボールパス(中学年)
- (52) リアクションパス(中学年)
- (53) ターンキャッチ(中学年)
- (54) ジャグリング(中学年)
- (55) リアクションキャッチ(中学年)
- (56) フロント・ビハインドキャッチ(高学年)
- (57) ボールロール(高学年)
- (58) クラップキャッチ(高学年)
- (59) トス&パス(高学年)
- (60) ツーボールドリブル(高学年)
- コラム2 体力向上
- 5 ゲーム形式のコーディネーション運動
- (61) 巴戦(中・高学年)
- (62) ヘルプタグ(中・高学年)
- (63) ムカデゲーム(中・高学年)
- (64) フェイントゲーム(中・高学年)
- (65) ボールギャザーゲーム(高学年)
- V 授業におけるコーディネーション運動の実践
- 1 コーディネーション運動を取り入れた「鬼遊び」
- 低学年(1年)
- 1 単元について(運動の特性/子どもの実態における課題)/2 コーディ
- ネーション運動を取り入れた授業づくりのポイント(コーディネーション運動
- 導入の目的/コーディネーション運動の解説)/3 単元の目標/4 指導計画/
- 5 本時の指導(目標/展開)/6 実践の成果と課題(教師の考察)/学習カード
- 2 コーディネーション運動を取り入れた「ドッジボール」
- 低学年(2年)
- 1 単元について(運動の特性/子どもからみた特性/子どもの実態・考察)/
- 2 コーディネーション運動を取り入れた授業づくりのポイント(コーディネーション
- 運動導入の目的/コーディネーション運動の解説)/3 単元の目標/4 指導計画/
- 5 学習過程/6 本時の指導(目標/展開)/7実践の成果と課題(子どもの変容/
- 教師の考察)/学習カード
- 3 コーディネーション運動を取り入れた「ボール運動」
- 中学年(4年)
- 1 単元について(運動の特性)/2 コーディネーション運動を取り入れた
- 授業づくりのポイント(コーディネーション運動導入の目的/コーディネーション
- 運動の解説)/3 単元の目標/4 指導計画/5 本時の指導(目標/展開)/
- 6 実践の成果と課題(子どもの変容/教師の考察)/学習カード
- 4 コーディネーション運動を取り入れた「ハードル走」
- 中学年(4年)
- 1 単元について(運動の特性/子どもからみた特性/子どもの実態・考察)/2 コーディ
- ネーション運動を取り入れた授業づくりのポイント(コーディネーション運動導入の目的/
- コーディネーション運動の解説)/3 単元の目標/4 指導計画/5 学習過程/
- 6 本時の指導(目標/展開)/7実践の成果と課題(子どもの変容)/学習カード
- 5 コーディネーション運動を取り入れた「バスケットボール」
- 高学年(5年)
- 1 単元について(運動の特性/子どもからみた特性/子どもの実態・考察)/2 コーディ
- ネーション運動を取り入れた授業づくりのポイント(コーディネーション運動導入の目的/
- コーディネーション運動の解説)/3 単元の目標/4 指導計画/5 学習過程/
- 6 本時の指導(目標/展開)/7実践の成果と課題(子どもの変容)/学習カード
- 6 コーディネーション運動を取り入れた「跳び箱運動」
- 高学年(5年)
- 1 単元について(運動の特性/子どもの実態と課題)/2 コーディネーション運動を
- 取り入れた授業づくりのポイント(コーディネーション運動導入の目的/コーディ
- ネーション運動の解説)/3 単元の目標/4 指導計画/5 本時の指導(目標/展開)/
- 6 実践の成果と課題(子どもの変容/教師の考察)/学習カード
はじめに
小学校へのコーディネーション運動の導入
日本では今,少子化が進み,さらに昭和60年(1985)頃から体格は良くなっているものの,@体力・運動能力の低下,A身体を操作する能力の低下,B生活習慣病の危険性の高まりといった,懸念すべき状況が報告されています。
これらの直接的な原因として,@学校外の学習活動や室内遊び時間の増加による,外遊びやスポーツ活動時間の減少,A空き地や生活道路といった子どもたちの手軽な遊び場の減少,B少子化や,学校外の学習活動などによる仲間の減少をあげています(中央教育審議会,2002)。
私たち指導者は,心身ともに著しく発達する児童期に,何を,どのように,支援できるでしょうか。総合型地域スポーツクラブ,民間クラブ,スポーツ少年団等の活動の場はあるのでしょうが,全ての子どもたちが参加しているわけではありません。スポーツができる子どもや好きな子どもはいいかもしれませんが,図1のようにそうではない子どもたちもおよそ30%います(SSF笹川スポーツ財団,2003)。
(図1省略)
運動をする時間・空間・仲間が減少している現在,運動経験や運動の日常化のはたす役割は,これまで以上に重要になってくると考えます。特に,学校体育では身体の健全な成長を育むとともに,精神についても同様のテーマを解決できる教科ではないでしょうか。体力・運動能力の低下は,一般的に知られていますが,気力・意欲の低下を指摘する人も少なくありません。たとえば,「話さない,笑わない,すぐ切れる」に象徴されるような,情意面の課題です。
私はこれらの課題を解決する具体的な方法のひとつとして,コーディネーション運動が有効であると考えます。コーディネーション運動は,スポーツ種目や運動種目に対してどんどん細分化していく一方の,分析的な運動ではなく,全身をひとつにとらえ,統合的・科学的な視点に立った新しい運動法です。しかし,本書に紹介する運動例の多くは,先生方がすでに行っているのではないでしょうか。実践現場において,素早く動いたり,リズミカルな動きを養うためにコーディネーション運動とは知らずに行っていたと思います。今日からは,はっきりと自信を持って子どもたちに接してください。特にコーディネーション能力は,日本人が得意とする分野です。心身ともに柔軟で,吸収力のある小学校期に適切な刺激を与えてください。
とはいうものの,小学校の先生方は体育だけを行なっているのではありません。不得意な先生もいらっしゃると思います。そこで本書では,現在コーディネーション運動を授業に取り入れている先生方にご協力をいただき,初めての方でもすぐに現場に取り入れられるように,低学年・中学年・高学年別に具体的な展開例を掲載しました。さらに,運動の効果についても,身体面・情意面の測定内容と結果を提示してあります。
この運動のポイントは,「輝く笑顔と汗」。気持ちを解放して夢中になって動き,先生と子どもたちが一緒に運動の楽しさ・できる喜びを味わうことです。この体験があるからこそ,運動の日常化につながるのではないでしょうか。私たち人間は,楽しいと脳が活性化して意欲も湧いてきます。もう少しやってみようということにもなります。子どものときに,からだを動かす楽しさや喜びを体験しておくと,将来も気軽に運動に接することにつながると思います。
最後に,本書の出版・執筆にあたりまして,千葉県印旛村立六合小学校寺内章喜校長先生には,2003年12月からコーディネーション運動の実践と研究に全面的なご支援をいただき,心より御礼申し上げます。寺内校長先生の暖かな眼差しと,強い意志によりまして,先生方と子どもたちが一生懸命コーディネーション運動に取り組んで,数々の成果を挙げていただきました。今後も,モデル校として益々活発に活動していただきたくお願いいたします。さらに,千葉県浦安市立入船南小学校鈴木忠吉教頭先生には,教育委員会当時から格別なご配慮をいただきましたことに,紙面をお借りし感謝の意を表します。そして明治図書出版(株)の真鍋恵美様には企画から校正までご尽力をいただきました。本書がきっかけとなり,全国にコーディネーション運動が広がることを期待します。
2005年11月 /東根 明人
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- 明治図書
- 体育の時間をどう進めるかは、担任に任せられています。「コーディネーション運動を進める」を活用して、子どもたちがより楽しく、より目的を持って体育に取り組むことができそうです。体力の向上をめざして。2006/1/14体育大好き
- 私自身体育が苦手で、体育の授業の盛り上がりがいまひとつで悩んでいました。体育授業が変わるのなら・・・と思い、この書籍を購入しました。コーディネーション運動って、小学生には難しいのかと思っていましたが、運動そのものはとっても簡単ではありますが、コツをつかむ必要もあり、子どもと一緒に楽しんでやれました。様々な領域で使えるので、大活躍しそうです。2005/12/20体育苦手教師