- はじめに
- T 「温かいメッセージ」のソーシャルスキル教育を
- 「温かいメッセージ」と「冷たいメッセージ」
- 1 「温かいメッセージ」とは?
- 2 「冷たいメッセージ」とは?
- 3 「温かいメッセージ」のソーシャルスキル教育のポイント
- 「温かいメッセージ」が子どもたちに与える影響
- 1 温かいメッセージは「言っても言われてもいい気持ち」
- 2 2つの異なるメッセージの結末の違い(ソーシャルストーリーを学ぶ)
- 3 学級満足度(Q−U)に与える影響
- 4 般化(定着化)を促す
- 授業の構成
- 1 授業の構成と子どもの意識の流れ
- 2 各学習のポイント
- 3 指導案例
- ソーシャルスキルの般化(定着化)を促す工夫
- 1 学校での取り組み
- 2 家庭との連携
- ・学校(学級)だより/ ・ホームワークカード
- 3 ソーシャルスキル教育で配慮すること
- U 「温かいメッセージ」学習シナリオ33
- シナリオの使い方
- 1 3つのシナリオパターンの使い方
- 2 シナリオの役について
- 3 シナリオの順番について(低学年→中学年→高学年)
- シナリオ33
- ★ほめる★
- 1 図工の作品
- 2 1年生へのプレゼント
- 3 係のポスター
- 4 児童会祭りの景品
- 5 文化祭の小道具
- ★はげます★
- 6 勉強のつづき
- 7 ドッジボール
- 8 リレーのバトンパス
- 9 給食のもりつけ
- 10 野球のバッティング
- 11 サッカーのシュート
- 12 わり算の学習
- 13 一輪車の練習
- 14 駅伝大会の練習
- ★気づかう★
- 15 転んでしまった友達
- 16 おなかが痛い友達
- 17 おわんを落とした友達
- 18 けがをした下級生
- 19 ハードルで転んだ友達
- ★あやまる・気づかう★
- 20 ぶつかったとき
- 21 足を踏んだとき
- 22 ボールを当てたとき
- 23 教室で転んだとき
- 24 友達の給食をこぼしたとき
- ★感謝する★
- 25 忘れ物を届けてもらったとき
- 26 教科書を見せてもらったとき
- 27 かりた物を返すとき
- ★応答(お礼)★
- 28 気づかってもらったとき
- 29 ほめてもらったとき
- ★子どもが感じるとっておきメッセージ★
- 30 仲間に入れてと頼んだとき
- 31 賞をもらったとき
- 32 高跳びが跳べたとき
- 33 うまく答えられなかったとき
はじめに
近年,対人関係をうまく築くことができない子どもが多くなっています。このような傾向に対して,予防・開発的なカウンセリングの立場に立って,学級集団に対するソーシャルスキル教育が盛んに行われるようになってきました。
私も,2つの小学校(Y&T)において,先生方と一緒に学校規模のソーシャルスキル教育を平成12年度から推進してきました。この実践を通して,特に「温かいメッセージ」のソーシャルスキルが対人関係に大きな影響を与えていることに気づきました。「温かいメッセージ」が子どもたちの中に広まっていくことによって,子どもたちの人間関係が良好になり,学級や集団に和やかな雰囲気が醸し出されてくる様子を見てきました。
ソーシャルスキル教育は,SST(Social Skills Training:ソーシャルスキル・トレーニング)の手法(「教示」「モデリング」「リハーサル(ロールプレイ)」「フィードバック」「ホームワーク」)を用いて行われますが,ロールプレイを行う場合に,練習用シナリオが子どもたちの実態に合っているかどうかがとても重要になります。シナリオが子どもたちの身近なものでなければ,子どもたちがロールプレイを行いながら違和感を覚えます。そのようなロールプレイは,子どもたちに心地よさを感じさせることができません。また,般化(定着化)にも結びつきません。ですから,普段の子どもの生活を思い浮かべ,気になる場面を切り取るようにしてシナリオに起こすことが大切です。
このシナリオ集は,ソーシャルスキル教育を実践している学校の先生方や子どもたちの発想をもとに作成しました。言葉だけでなく,場面や状況,態度などが伝わるようにイラストで表現しました。このシナリオ集を活用していただき,多くの子どもたちに「温かいメッセージ」のソーシャルスキルを広めていただくことを願っています。
最後に,一緒に研修を進めた先生方,シナリオを温かいイメージのイラストに表現してくださった藤城貴子先生,編集にお力添えいただいた明治図書の三橋由美子さん,橘亜希さんに心から感謝申し上げます。
2008年9月 /伊佐 貢一
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- 明治図書
- クラスの雰囲気が悪く、けんかが頻繁に起こったとき悩んだ末、この本を見つけることができました。友達とどう付き合っていけば、良好な関係を保てるのか・・ということを、学習できます。学校生活で起こりうる、衝突の場面が具体的に描かれており、自分の行動を見直すきっかけになればと思います。イラストにある噴出しを考えたりして、道徳の授業を実りのある、ものにできそうです。実態に合わせて授業を行えます。2009/3/3新米