- 学級経営チェックポイント
- 学級経営
チェックポイント
- 前向きに終わる
- 感謝の気持ちをもたせる
- 不安は、「素晴らしい自分」の裏返し
いよいよ3月です。子どもたちにとって、学年の総決算となる大切な時期になります。ただ、教師にとっては多忙を極める時期の一つでもあります。子どもたちにどのようなメッセージを伝えるのか、その根幹をもっておくことで、慌ただしい日々の中でも後悔なく子どもたちを次のステージに送り出すことができるでしょう。ここでは、その根幹を3つ挙げておきます。
前向きに終わる
「終わりよければすべてよし」と言われるように、終わり方の印象は大切です。ここでのよいイメージが、4月からの生活のポジティブなエネルギーとなります。
考え方として重要なのは、結果よりプロセス(過程)に注目して認めるということです。結果に対して注目してしまうと、どうしても認められない子が出てきてしまいます。また、よい結果を褒めたとしても「4月からは勉強も難しくなるし、今のようにうまくいかないかも」という気持ちをもつことがあります。
プロセスに注目して認めれば「私はちゃんと努力ができるんだ。勉強が難しくなっても努力できる。うまくいかなくても努力した自分を自分で認めればいい」(ここまで言語化できるかどうかは別にしても)と思うことができます。
コツは、とにかく褒めまくること。まずは、プロセスのよさを、質より量で褒めまくります。そのうえで、もし時間があれば上のセリフのようにその素晴らしさを言語化して伝えてあげられるとよいでしょう。
感謝の気持ちをもたせる
自己肯定感を高める方法として、誰かに感謝をすることが効果的だとする研究結果があります。この感謝の念は、特にこの3月の時期に感じさせやすいです。
今まで当たり前であったクラスや友達との別れが迫っています。もし、クラス替えがなかったとしても学年が一つ上がることで今までの当たり前は変わります。今まで「当たり前」だと思っていたものが実はそうではなく「有難い」ものだと気づいたときに、本当の「ありがとう」を感じることができます。
「『ありがとう』は心で思っているだけで伝わるかな?」という問いかけをきっかけに、言葉や行動で感謝を表現することの大切さにふれたいです。それを踏まえて、匿名で感謝を投函できる「ありがとうポスト」や、誰かに感謝したり感謝されたりするたびに一人ひとりが壁に貼った貯金箱に書き足していく「ありがとう貯金」の活動などを行うと効果的です。これらの活動は授業時間で扱い、数が集まった状態からスタートしていくのがよいでしょう。
「誰かに気づかれていなくても優しい気持ちをもてたこと」を可視化するための活動なので、人気投票のそれとは違うことは明確にしておく必要があります(1月の記事でも取り上げているので合わせて読んでいただくとアイデアが広がると思います)。
また、感謝については、まず教師が子どもたちに対して表現していきたいです。「ありがとう」「助かったよ」「あなたに会えてよかった」「大好きだよ」…普段は少し恥ずかしい言葉も、この時期はしっかりと伝えていきたいものです。
不安は、「素晴らしい自分」の裏返し
子どもたちに最後に伝えるのは「不安でいい」「悲しくていい」ということです。最後の日に「特に何も感じず、別に寂しくもない、へっちゃら」という子もいていいです。ただ多くの場合、大切で親しみを感じていればいるほど離れてしまうときの「不安、悲しい」は大きくなって当たり前と言えるでしょう。
裏を返せば「不安、悲しい」はその子がそれまで、よい人間関係を構築できたことの証明です。そのようにしてできたつながりは簡単に消えるものではなく、距離が遠くなり会う機会が少なくなってしまっても、自分の心の深い部分を支えてくれるものになります。「不安、悲しい」を経験し、心の中の支えができた人は、4月から未知のものに挑む際も、きっと力強く自分らしさを発揮して頑張ることができるでしょう。
ネガティブをそのまま裏返してポジティブに変換してあげることが、最後に子どもたちにしてあげられることなのかもしれません。