学級に、「声を出すことが苦手だ」という子はいませんか? 授業のなかで、そういった子どもをうまくのせたりスポットをあてたりと、様々に工夫をされていることと思います。意外と思われるかもしれませんが、レクを通して「みんなと声を出す」ということも、子どもの声をつくっていくきっかけになります。何より、無理やりやらせるのではなく、「自分一人ではなく、誰かと一緒にできる」「楽しみながらできる」というところが大きなポイントと考えられます。
この活動で得られる最大の効果は……これだ!!
○みんなが一緒に声を出すことで、一体感が生まれるだけでなく、普段はおとなしい子も、周りにつられて声を出す場面が生まれる!
活動の手順
- まずは、学級を5つのグループに分けます。(班などを単位にして行ってもよいでしょう。)
- そのうち1つのグループは、廊下など教室の声が聞こえないところに移動します。
- 残った4つのグループに、先生が一字ずつ文字を伝えます。(例:1班は教室の外へ。2班「ラ」、3班「イ」、4班「オ」、5班「ン」というように)
- 残った4つのグループは、教室の四隅にそれぞれ移動します。そして、教室外に出ていた1つのグループを教室の中央に招き入れます。
- 「せーの」の合図で、4つのグループが同時に言葉を叫びます。先程の例で言えば、四隅にいるそれぞれのグループが、「ラ」「イ」「オ」「ン」と同時に叫ぶことになります。
- 教室中央のグループは、何と言っているのかを当てます。1回で正解しない場合や、わからなくてパスした場合は2回目…と続け、できるだけ少ない回数で正解したグループの勝ちです。
▲このように、教室の隅に移動します。
▲1つのグループ(答えるグループ)は中央にかたまります。
▲不正解の場合は、1歩ずつ近づいてもよいことにしてもいいですね。
▲「何にする?」「○○○○じゃない?」
活動のポイント
- お題は、4文字の言葉に限定されます。濁音・促音・拗音が入ると難易度がアップしますが、基本的に名詞で出題するようにします。
- 拗音の場合は、「きゃ」「しゃ」と1モーラで発音させ、分けることはしません。(例:「き」「か」「ん」「しゃ」の4つに分ける)
- 出題するグループには、解答グループに対してごまかしたりわかりにくくしたりするというのが目的ではないことを伝えます。同じグループの人と息を合わせ、大きな声で言うことが大切であることを事前に必ず伝えておきましょう。
- 慣れてきたら、子どもたちに出題する語を考えさせてみるのもいいですが、難易度がまちまちになっていくので、班対抗戦などにする際は先生がお題を出すようにしましょう。
- 1回目、2回目もわからなかった場合、最初の一文字目を教えるなどして、3回目くらいまでに正解にたどりつけるようにしてあげるとよいでしょう。子どもは、当たった・当たらなかったをかなり気にするので、最終的には「わかった!」という状況をつくってあげることが肝心です。
やのべ‘sEYE
弥延 浩史
1980年東京都日野市生まれ。弘前大学教育学部を卒業後、弘前市立時敏小学校教諭を経て、現在、藤崎町立藤崎小学校教諭。日本国語教育学会会員、基幹学力研究会幹事、初等教育研究会弘前支部代表。
話すことや書くことのおもしろさを子どもたちに実感してもらいたい、学級が子どもにとって前向きに高め合うことのできる空間にしたいとさまざまな実践に取り組む。著書『小学校国語 クラス全員が熱中する!話す力・書く力をぐんぐん高めるレシピ50』(明治図書)が大好評発売中!
(構成:林)