- 著者インタビュー
- 学級経営
「新卒教師時代」は、現在では大変厳しい時代です。新卒は、若さ、元気さがずっと好まれてきました。しかし、今は、保護者にとって、「我が子」に好ましいかどうかが教師を判断する基準なのです。だから、新卒も学級をまとめる力を持っていなくては、すぐにでも苦情が殺到してきます。私は、その力を持つために必要な条件を、この本に書きました。それが、心得術60です。
残念ですが、これからもますます増えていくと思われます。教師は、世間知らずで、楽をしているという社会の眼が一方であり、それに合わせて、もっと良い教師を増やしていこうとする政策が進んでいくからです。学校や教師に厳しくしていこうとするものです。しかし、社会の眼も、マスコミも、政策を遂行する委員の人たちも、ほとんど「現場」の実態を知りません。子供たちが、どれほど変貌しているのかという実態を知らないのです。
新卒教師の長所は、器用さがあることです。機械にも強いし、さまざまなことに即座に対応していく器用さを持っています。短所と言えば、「図太さ」がないこと、ピンチに弱いことです。1度や2度のピンチに「もう絶望だ」となってしまう。今まで順調に来ているからそうなんでしょうが、社会人になったのですからピンチがあって当然でしょう。社会に出て、いつも順調に行くことなんてないんです。そのピンチを凌いで、たくましくなっていくのです。それを分かってほしい。
私は、特に子供が好きというわけではなく、人との関わりが好きでした。子供と通じ合って、その子がものすごくやる気を出したり、勉強にのってきたりすると「やったね!」という気持ちになります。子供と通じ合い、それを喜びとして今までやってこれたことが最高のことです。私は、あと一年で退職です。しみじみ37年間学級担任を続けてきてよかったなぁと思います。自分にとっては、天職だったと思っています。
本にも書きましたが、「とにかく一年間を生き抜いてほしい」ということです。二年目からは、見通しを持てるようになります。壁にぶつかっても、自分を無能であるなんて、決して思わないことです。学生時代のように思うようにはいきません。試練は、何回もやってきます。それを乗り切ってほしいです。 教師をやっていて良かったと思う日々が必ず来ます。