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読書活動を推進するには学校全体を挙げて取り組む必要があります。横浜市ではそうした活動を積極的に行ってきました。学校全体の読書活動に関するカリキュラムを作成し、それにもとづいて読書活動を進めている先進的な学校の様子が、いくつも紹介されているところが、この本の特色でしょう。それらが、かなり具体的に示されています。
学校における読書活動には、学校図書館を中心にして、教科の中での指導(とりわけ国語科での指導)や、日常の諸活動、あるいは保護者との連携が重要なカギを握ります。さまざまな側面からの働きかけが有機的に結びつくことによって、相乗効果をあげるのです。もちろん、それぞれの方々が、それぞれの部署における独自性を発揮することが前提になります。そうした事例も豊富に紹介されています。
PISAで出題された問題に似た問題をドリルブックで練習するというような方法では「読解力」は身につきません。問題発見、問題解決の道筋を教科の授業の中で自覚的に意識させることと同時に、幅広い読書活動をその裾野にどっしりと据える必要があります。そうした基盤があってこそ、「考えること」や、「想像すること」に対する興味関心が広がるのです。
まずは、この本で紹介したような事例を具体的に実践していくことが求められます。さまざまな角度から、多彩な読書活動を工夫してみることが重要です。次には、その、読書活動の「質」を深めていくことが課題になります。そこでは、それぞれの教科の特質への理解が不可欠でしょう。というのは、読書活動は、各教科の本質と深く結びついているからです。
子どもに本を読みなさいという前に、まずは自分が絵本や児童書を手に取ってみて下さい。科学絵本や歴史書などの中にも、私たち大人の心を引きつける本がたくさんあります。そうした本を見つけたら、きっとそれを子どもに伝えたくなるのではないでしょうか。原点は、そこにあります。子どもの本を読んでみましょう。新しい世界が開けます。そこから「読書活動」のことを考えましょう。