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フラッグフットボールは、アメリカンフットボールを簡易化したもので、身体接触を避けるために、タックルの代わりに左右の腰から下げたフラッグを取ることでプレーが止まるというルールになっています。ゲームでは、プレーごとに作戦タイム「ハドル」が設けられ、チームでどのような戦術を使うかを考えたり、1人ひとりの役割を明確に決めてからプレーを行います。そのため、子どもたちにとって作戦の成否やその原因がわかりやすい教材です。
学習指導要領がこのように改訂された背景には、子どもたちは生涯を通じていろいろなボールゲームに関わっていく可能性があるため、これからの授業では、種目固有の技能ではなく、「型」に共通する動きや技能を系統的に身につけることが大切であると考えられたことがあります。
「型」に共通する動きとして、フラッグフットボールが属するゴール型では「サポート」(味方チームがボールを保持している場面でパスを受けることのできるポジションへ移動する動き)があげられます。バスケットボールやサッカーでは、ゲームが流動的なため学ぶのが難しいこの「サポート」ですが、ゲームが1プレーごとに展開されるフラッグフットボールでは非常に学びやすいという特徴があります。
これまでのボールゲームでは、技術を習得することを中心とした授業やゲームを繰り返すことを中心とした授業が多くみられました。しかし、子どもたちの中には、なかなかゲームが上手くならず、ボールゲームを楽しめないケースも少なくありませんでした。
この問題を解決していくために近年関心を寄せられているのが、個々の技能をどのようなゲーム状況で発揮するかという戦術を学習の中心に位置づけた「戦術学習」という学習モデルです。この学習モデルは、子どもたちの戦術的気づきを重視しながら技能を高めていきますので、それが実際のゲーム場面で活きた技能として発揮されるようになります。
本書ではフラッグフットボールを通して、具体的に述べています。
本書は、子どもたちの発達の段階や学習目標に応じたフラッグフットボールの授業づくりができるように内容を構成しています。
第1章ならびに第2章では、授業づくりのポイントや、ボールゲームのカリキュラムづくりに役立つ、フラッグフットボールから他のゴール型のボールゲームへの学習成果の転移などについて解説しています。
第3章では、学習目標に応じたフラッグフットボール授業の実践例を紹介しています。
さらに、授業ですぐに使えるように、子どもたちの作戦づくりに役立つフォーメーションやプレーの種類も豊富に掲載しています。
フラッグフットボールは、子どもたちみんなが夢中になるボールゲームです。その教育的価値は、ゲームパフォーマンスの向上や体育授業に対する愛好的態度を高めることはもちろんのこと、子ども同士の絆を深めることにもあります。フラッグフットボールに取り組んだ先生方からは、「希薄だった子ども同士の人間関係が、何事においても積極的に励まし協力し合うような濃密な人間関係に変わりました」というコメントがたくさん届いています。
ぜひフラッグフットボールにトライしてみてください!