著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
国語科の中心学力は論理的思考力だ!
ふくしま国語塾主宰福嶋 隆史
2010/7/9 掲載
 今回は福嶋隆史先生に、新刊『論理的思考力を鍛える超シンプルトレーニング―人気国語塾発!「3つの型」で驚異の効果!―』について伺いました。

福嶋 隆史ふくしま たかし

ふくしま国語塾主宰
1972年、横浜市生まれ。早稲田大学文学部中退。創価大学教育学部(通信教育部)児童教育学科卒業。日本言語技術教育学会会員。公立児童館・学童保育職員、公立小学校教師を経て、2006年、ふくしま国語塾を創設。著書に『「本当の国語力」が驚くほど伸びる本』『わが子が驚くほど「勉強好き」になる本』(以上、大和出版)がある。
ふくしま国語塾 主宰 福嶋隆史のホームページ

―ずばり、「論理的思考力」とはどういう力ですか?

 論理的思考力とは、「バラバラな考えや言葉を整理する(関係づける)力」です。「単純化する力」とも言えます。論理的に考えられるようになると、ものごとが次々と整理され、単純化されていくわけです。最もシンプルな単純化の例は、「みかん、ぶどう、りんごを食べた」、これを「果物を食べた」とすることです。これは、論理的思考力を構成する3つの型のうちの1つ「言いかえ」に当たります。

―目次の一番始めにある「感覚の国語から、論理の国語へ」とはどういうことですか?

 「内容重視から形式重視へ」ということです。内容重視の感覚的授業とは、物語文の読みとりを例にとれば、勇気や友情など、作者が描き出した「メッセージやテーマ(=内容)」そのものを感覚的に扱うことに主眼を置いた授業です。たとえば、勇気や友情についてクラスで話し合ったり、感想文を書いたり。でも、それらは道徳の授業で行えばよいのであって、国語で行うことではありません。国語では、それらの内容を運んでいる「言葉(=形式)」をコントロールする力の育成を重視すべきです。それこそ、国語科の役割です。

―本書を使ってできる「超シンプル」なトレーニングの概要を教えて下さい。

 この本では「言いかえる」「くらべる」「たどる」という3つの型を身につけることを目標としています。まず「3つ」という時点でシンプルですから、低学年の子どもたちであっても、難なく理解・習得できます。また、どの問題もシンプルなスモールステップで構成されていますから、教師による説明を最小限に抑えることができます。子どもも楽、教師も楽、というわけです。

―「論理的思考力」を育てていく際の心構えを教えて下さい。

 「型」という言葉を受け入れることです。多くの先生方は、この言葉に抵抗感を持っています。「型は個性を奪う」と思っているんですね。しかしそれは全くの逆。実は「型こそが個性を伸ばす」のです。子どもが、どんなに個性的なイメージやメッセージ(言いたいこと)を心の中に抱いていても、それを、他者と共有できる形式で発信することができない限り、個性の価値は失われます。この「他者と共有できる形式」こそが「型」です(むろん、受信の際にも型が不可欠)。どんなに味わい深い飲み物があっても、グラスがなければそれは単なる液体としてこぼれおち、誰の口にも届きません。飲み物の“味”という「個性」は、グラスという「型」によってこそ、生きてくるのです。

―最後に、読者の先生方に対するエールをお願いします。

 型を重視して子どもたちの論理的思考力を伸ばすという授業は、まだまだ学校教育の中に根付いていません。しかし、だからこそ、あなたに頑張っていただきたい。この本を手にしたときから、あなたは先駆者です。ぜひ、学校教育を変えるための第一歩を、力強く踏み出していただきたいと思います。

(構成:佐保)

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