今回は大橋先生に、新刊『学級が変わる!授業が変わる!「クラスファシリテーション」入門』について伺いました。
大橋 邦吉
ファシリテーター
NPO法人 Educational Future Center 理事
1981年,東京都国分寺市生まれ。玉川大学在学中に「ファシリテーション」に出会い,本場であるアメリカに留学。Plymouth State Universityの大学院でファシリテーションを学び、University of New Hampshireのthe Browne Centerでインターンおよび専属ファシリテーターとして勤務。帰国後は,している株式会社に所属し,ファシリテーターとして学校を中心とした「クラスファシリテーション」を世に広めるために奔走している。著書に『新任教師のしごと 学級づくりの「困った!」に効くクラス活動の技 ゲーム&アクティビティ』(小学館)他がある。
―ずばり、本書のテーマである「クラスファシリテーション」とはどういったものでしょうか?
「クラスファシリテーション』は『信頼』をベースとした学級経営をするための、教師の新しい関わり方・考え方です。私はこれからの学校の役割は「先人の知恵を伝達する場+α」だと思っています。この『+α』は「信頼」をベースとした学級経営によって育むことができると思っています。
―先生はクラスファシリテーションの基礎となるファシリテーションの定義を「支援的、促進的、利他的な他者に対する働きかけ」とされています。本書でも解説されていますが、この点について、学校現場での生かし方と絡めてご紹介下さい。
学校生活の中では様々な学びや気づきのチャンスが転がっています。その学びや気づきのチャンスを一つでも多く拾うために、「指導案通りにいかないから」など、教師を中心に考えるのではなく、「この生徒が成長するにはどうしたらいいのだろう?」と「生徒の学びや成長」を中心に自分の関わり方や、行動を選ぶことが大切です。
―本書では、学級づくりや授業づくりでの活用事例が具体的に数多く紹介されていますが、学校現場ではどのような活動・技が有効なのでしょうか。実施のポイントとあわせてご紹介下さい。
私が紹介している活動や技は、残念ながら即効性のある『万能薬』ではありません。ですので、クラスファシリテーションを意識して、運動会や音楽祭などの行事をはじめ、普段の授業や学級活動など「日常に起こるすべての活動(日常生活)」を意識的にふりかえり、そこでの学びを、子ども達の成長や学級づくりに繋げてあげることがポイントです。
―本書では、学級づくりや授業づくりの他に、職員室のチームづくり(チームビルディング)についても紹介されています。職員室がチームになり、お互いをサポートするにはどのような取り組みが必要でしょうか。
「学級」「職員室」と分けてありますが、根本は同じで、『信頼』をベースとした職員室をつくることが必要です。そのために、まずはお互いのことをより深く知り、お互いにポジティブに関われる環境をみんなでつくり、そして『全員でこの学校の生徒を育てよう!』と、目的・目標をしっかりと共有することが大切だと思います。
―最後に、読者の先生方へメッセージをお願い致します。
本書を読んで、今までとちょっと違った関わり方、考え方を発見し、「信頼」をベースとした学級経営のヒントにしてもらえるとうれしいです。また、すべてを自分一人で背負うのではなく、「職員室」というチーム全体で、生徒の成長や学びを支援・促進してください。
(構成:及川)