著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
中学校の教室に「社会科の希望」を届けます
広島大学大学院教育学研究科教授小原 友行
2011/10/6 掲載

小原 友行こばら ともゆき

1951年広島県生まれ。広島大学大学院教育学研究科教授。全国社会科教育学会前会長・顧問。日本NIE学会会長。著書に、『情報読解力を育てるNIEハンドブック』『「思考力・判断力・表現力」をつける社会科授業デザイン 小学校編』『「思考力・判断力・表現力」をつける社会科授業デザイン 中学校編』(明治図書)などがある。

―今回の書籍は社会科で「思考力・判断力・表現力」をつける授業づくりのポイントについて、単元ごとの具体的な授業モデルを豊富に入れてまとめられています。本書のねらいについて教えて下さい。

 本書の「まえがき」にも書かせてもらいましたが、新学習指導要領全面実施を直前に控え、各地の中学校においては、今回の改訂の大きな特色である「思考力・判断力・表現力」の育成を重視した新しい授業開発の準備が進められていると思います。そこで、この時期に、このような実践的課題に応える参考文献をお届けしたいと考えました。

―地理・歴史・公民それぞれにおいて、今までの授業を「思考力・判断力・表現力」をつける授業に改革していくにはどのような点がポイントになるでしょうか。

 地理・歴史・公民に共通して言えることは、次の2点ではないでしょうか。一つは、社会的事象や課題を単に知る・わかるだけでなく、その背景を熟考し、それに対する自分なりの意見や考えを持ち、それを表現していくような問いと活動が生徒から生まれる具体的な教材を用意することだと考えます。もう一つは、生徒同士が協同(協働)しながら学び合っていく授業方法や学習活動を準備することではないでしょうか。

―本書は授業モデルだけでなく、授業で使えるプリント・ワーク・資料も掲載されています。その活用のポイントを教えて下さい。

 本書では、授業計画だけでなく、実際の授業実践に役立つプリントやワークシート、資料もできるだけ盛り込むようにしました。そのことによって、先生方により伝達可能であるとともに、再現可能なものとなるように工夫してみました。実際の指導に当たられては、地域や生徒の実態に応じて、加工などされて使用されるとよいのではないでしょうか。あるいは、それらを手がかりに独自のものを作成されることは、さらによいと思います。

―また、評価の方法や評価規準例も具体的にあげられています。そのねらいと、生徒の育ちの過程を評価する上で大事なポイントについて教えて下さい。

 本書は授業モデルのシリーズですので、「思考力・判断力・表現力」をつける授業理論に基づいて作成された単元レベルの授業計画とそれを評価する評価方法や評価問題をセットとして用意することとしました。特に、生徒の学習成果を、評価規準に基づいて診断的・形成的・総括的場面で評価しながら指導の修正・改善を図っていく、目標・指導・評価の一体化は大事にする必要があると考えます。

―最後に、読者の先生方へメッセージをお願いします。

 2009年3月に刊行いたしました前著『「思考力・判断力・表現力」をつける社会科授業デザイン 中学校編』は、幸いにして多くの読者の先生方からのご支持をいただきました。と同時に、「さらに深く掘り下げた、単元別の授業プランが欲しい」との声も届けられました。それらの声に応えたいと考えたのが本シリーズです。全国各地の中学校で、元気の出る社会科授業が生まれることを期待しております。

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