著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
「言葉かけ」を意識すると、子どもの姿がみえてくる!
横浜市立小学校非常勤講師清水 俊皓
2011/12/22 掲載
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  • 指導方法・授業研究
 今回は清水俊皓先生に、新刊『子どもが伸びる「言葉かけ」』について伺いました。

清水 俊皓しみず としあき

横浜市立小学校非常勤講師
1945年横浜市生まれ。明治大学商学部産業経営学科卒業後、商社マンとなるが、一念発起して都留文科大学文学部初等教育学科に編入。小学校教員免許を取得し、横浜市の教員となる。1996年以降、3校で横浜市立小学校長。その間、横浜市教育委員会教育課程運営・改善研究協議会生活科委員長、及び、横浜市小学校長会教育評価研究部長を務める。
2005年退職。その後現在に至るまで初任者指導に携わるとともに、「教育の窓・ある退職校長の想い」「小学校初任者のブログ」の2つのブログを開設し、執筆中。

―すべての先生にとって、「子どもたちをいかにやる気にさせ、伸ばしていくか」は最大の関心事かと思います。子どもが成長するうえで、教師の「言葉かけ」が果たす意義について教えてください。

 幼少期、恩師がかけてくれた言葉が、その後の人生に多大な影響を与えたという話は聞くことがあるでしょう。教師の愛情あふれる言葉かけによって、子どもが伸びていくことは間違いありません。逆に言えば、教師が気にしなかったり気づかなかったりすれば、そのことに関して、子どもの伸びはないといっていいでしょう。教室がきたなくても平気でいる教師のもとでは、子どもに整理整頓の力は付きません。
 また、小学校であれば、教師の表情、口調、体の動き、それに何より心ににじみ出る言外の言葉など、それと言葉かけとの相乗効果が求められます。

―本書では、様々な「子どもを伸ばす言葉かけ」や「NGワード」の具体例が掲載されていますが、子どもに「言葉かけ」をするうえで、一番気をつけることはなんでしょうか。

 「Aさんにはどのような言葉をかけたら、Aさんの心にひびくか。Bさんには、〜」というように、子ども一人ひとりの内面に即して言葉かけを考えたり工夫したりすることではないでしょうか。
 また、学級全体への言葉かけでは、子どもの表情、目の輝きなどから、教師の言葉が子どもの心にひびいているかどうかを気にかける姿勢が求められます。

―授業で子どもの発言を生かすための「言葉かけ」のポイントがありましたら教えてください。

 子どもの発言をただ羅列的にとらえるのはやめましょう。「どの発言と関係づくか。」「対立し合う関係にないか。」「深める発言といえないか。」など、いろいろな観点で子どもの発言を受け止め、それによって授業を組織づける言葉かけが求められます。
 また、どの発言に対しても、ほめたり共感したり感動したりする言葉が思い浮かび、要所要所でそれを言葉にあらわせるようになるといいですね。

―学校では、想定もしなかったようなハプニングが起こり、とっさに「言葉かけ」が必要となることもあるかと思いますが、そのような場面に対応するための本書の活用の仕方を教えてください。

 本書の事例は具体的であるだけに、同じことが自分のクラスで起きるのはまれだと思われるかもしれません。しかし、本書の様々な事例から、問題行動の指導中であっても感動をよぶ事例は起きうるのだと感じ取っていただければ幸いです。また、子どもの問題行動は絶好の指導のチャンスなのだととらえていただけたらうれしく思います。

―現在、初任者指導員をしていらっしゃるとのことですが、初任者の先生や若い先生方にメッセージをお願いします。

 着任してすぐ担任となるのですから、毎日が緊張の連続だと思います。しかし、どの初任者も努力している点は、すばらしいと思います。
 慣れなかったり自信がなかったりして不安に思うことがあるかもしれませんが、若さは最大の武器になります。行動的ではつらつとした先生の姿は、子どもにおおいなる魅力を感じさせます。先輩の先生のご指導を謙虚に仰ぎながらも、その武器は大いに生かしていただきたいと思います。

(構成:杉浦)
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