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幼少期、恩師がかけてくれた言葉が、その後の人生に多大な影響を与えたという話は聞くことがあるでしょう。教師の愛情あふれる言葉かけによって、子どもが伸びていくことは間違いありません。逆に言えば、教師が気にしなかったり気づかなかったりすれば、そのことに関して、子どもの伸びはないといっていいでしょう。教室がきたなくても平気でいる教師のもとでは、子どもに整理整頓の力は付きません。
また、小学校であれば、教師の表情、口調、体の動き、それに何より心ににじみ出る言外の言葉など、それと言葉かけとの相乗効果が求められます。
「Aさんにはどのような言葉をかけたら、Aさんの心にひびくか。Bさんには、〜」というように、子ども一人ひとりの内面に即して言葉かけを考えたり工夫したりすることではないでしょうか。
また、学級全体への言葉かけでは、子どもの表情、目の輝きなどから、教師の言葉が子どもの心にひびいているかどうかを気にかける姿勢が求められます。
子どもの発言をただ羅列的にとらえるのはやめましょう。「どの発言と関係づくか。」「対立し合う関係にないか。」「深める発言といえないか。」など、いろいろな観点で子どもの発言を受け止め、それによって授業を組織づける言葉かけが求められます。
また、どの発言に対しても、ほめたり共感したり感動したりする言葉が思い浮かび、要所要所でそれを言葉にあらわせるようになるといいですね。
本書の事例は具体的であるだけに、同じことが自分のクラスで起きるのはまれだと思われるかもしれません。しかし、本書の様々な事例から、問題行動の指導中であっても感動をよぶ事例は起きうるのだと感じ取っていただければ幸いです。また、子どもの問題行動は絶好の指導のチャンスなのだととらえていただけたらうれしく思います。
着任してすぐ担任となるのですから、毎日が緊張の連続だと思います。しかし、どの初任者も努力している点は、すばらしいと思います。
慣れなかったり自信がなかったりして不安に思うことがあるかもしれませんが、若さは最大の武器になります。行動的ではつらつとした先生の姿は、子どもにおおいなる魅力を感じさせます。先輩の先生のご指導を謙虚に仰ぎながらも、その武器は大いに生かしていただきたいと思います。