著者インタビュー
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指導要録は、子どもたちの“生きてきた証し”
東京都学級教育研究会顧問中嶋 公喜ほか
2012/1/10 掲載
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 今回は中嶋公喜先生と田代敏博先生に、新刊『学級担任必携! 新指導要録作成の手引き&文例集』について伺いました。

田代 敏博たしろ としひろ

東京都学級教育研究会会長、東京都江戸川区立一之江小学校長
共著に、『新学習指導要領準拠 子どもが元気になる! 通知表の文例集(全3巻)』『小学校新指導要録対応の絶対評価基準表(3年、4年)』などがある。

―指導要録は、入学時、学年のはじめ、学年末、卒業時等、折に触れて記入する必要のある文書ですが、どの時点においても共通して注意しなければならないことを教えてください。

中嶋先生:“事実に即して間違いなく記入すること”が何よりも大切で、児童氏名や保護者名、住所、入学の日付や卒業の日付など、あらゆる項目について正確に記入しなければなりません。ですから、正確な資料や観察、判断に基づく必要があります。指導要録は、他の子どもとの比較を書き残すものではなく、あくまでも本人の“生きてきた証し”を残すものなのです。

―指導要録の所見と通知表の所見では、書き方の形式や書くべき内容に違いはあるのでしょうか?

中嶋先生:通知表は、担任する子どもの様子を保護者に通知するための文書です。したがって、子どもの長所、進歩したこと、努力したことなど、優れている点や生活上のよい点を主に記述していきます。これは、子どもの称賛とさらなる努力を促すものになります。また、保護者への通知ですから、文体としては敬体が適しています。一方、指導要録は敬体で書く必要はありません。また、先にも述べたとおり、すべてにわたって事実のみを正確かつ具体的に記入することが何よりも大切です。

―本書に収録されている文例は、学習面、生活面から子どもの行動や成長に至るまで多岐に渡っています。これらの文例を参考にして、実際に所見を書く際のコツを教えてください。

田代先生:本書の文例を参考にしつつも、あくまで教室の子どもの様子を事実に基づいて記述してください。日常から、子どものよさや努力すべき事柄について、メモ書きや備忘録を作成し、記録の積み重ねを基に記述していくようにします。“この子はこの文例”“あの子はあの文例”などと当てはめて記述するのは避けたいものです。

―本書の中でも触れられていますが、指導要録が電子化される自治体が増えています。電子版の指導要録を作成する際、特に注意しなければならないことを教えてください。

田代先生:電子化に伴って注意することとして、まず、文章や単語の変換ミスをしない、ということがあげられます。また、作成作業は学校内で、指定されたパソコンを使って行うようにしてください。子どもの個人情報を持ち歩くことは、情報漏洩の服務事故につながりますので、絶対に避けてください。

―最後に、本書を参考にしながらこれから指導要録作成に臨まれる先生方にメッセージをお願いいたします。

田代先生:子どもの学習活動や学校での生活、学校外での活動の状況などを日常からつぶさに把握しておくことが大切です。そのためには、個人の状況を書き留める備忘録などをつくっておくのがよいと思います。“記憶より記録”をモットーに、テスト中や給食の時間等を有効に活用して、記録を積み重ねていってください。また、常にその子のよさとさらなる向上を願って指導していく気持ちと態度を大切にしてください。指導要録作成は手段であって、目的ではありません。“子どもを伸ばす”という視点を忘れないでください。

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