- 著者インタビュー
- 音楽
風や雨等の自然を感じさせる笛や太鼓の音色、伸び縮み自在な独特のリズム感、箏からJ-POPに至る様々な五音音階。実は伝統音楽はどれも新鮮で、不思議でおもしろいものです。また、わらべうたや祭り囃子、現代アレンジのかっこいい和太鼓など、「古くて新しい」音楽文化の中から「伝統」を再発見し、調べ学習や総合など多様な活動へつなげられる懐の深さも、大きな魅力ですね。
まずは多くの先生方がからだまるごとで遊び楽しんだ経験のある「わらべうた」がオススメ。そこからさまざまに表現を広げることができます。
次に、地元の祭囃子や民謡、民俗芸能など、身近な音楽に触れましょう。学校に楽器が無くても、口で唱える「唱歌(しょうが)」で楽器の「まねっこ」をすれば大丈夫。からだだけで、立派にお囃子のアンサンブルが楽しめます。まさに「まねぶ」は「まなぶ」ですね。
その体験を発展させて、高学年で箏や雅楽にも挑戦。これまた楽器がなくとも、ビデオ鑑賞と唱歌(しょうが)、リコーダー等の代用楽器で工夫すれば、合奏はもちろん音楽づくりにも挑戦でき、伝統音楽の魅力が存分に味わえます。まずは気に入った事例から試して下さい。
よく「楽譜が読めない」という声をききますが、音楽ってそもそも「からだ」で学ぶもの。歌も楽器も、五感を研ぎ澄まして「おと」と「からだ」をリンクさせて「まねっこ」して覚える、そんな口頭伝承によって世界中の多くの伝統音楽は伝えられてきました。また、「うた」は「ことば」であり、「訴える」ことにも通じる素敵な「おと&ことば」の世界そのもの。「からだ」や「ことば」と密接に結び付けながら仲間と「おと」を共有し、安心して表現し合える学級づくりにチャレンジしていただけたらと願っています。
子どもの反応や様子が生の姿で具体的に伝わるように、各事例は「活動の紹介」&「実践のドラマ」として提示しました。また、総合的な学習の時間など他教科とリンクした事例(子ども歌舞伎や大江戸発見ウォーキング等)も多いので、先生方の得意分野を持ち寄っての学年団での取り組みの参考にもどうぞ。
楽譜に頼らず口と身体で楽器のまねっこをする唱歌(しょうが)を多用しています。唱歌は、口頭伝承と楽譜の中間的な役割を果たすスグレモノ。唱歌を合わせてお囃子を楽しみ、衣装や獅子頭を図工で作り、獅子舞や踊りを的に仕上げて発表会を行うのも楽しいでしょう。
「授業で使える基礎知識」として、主な楽器やジャンルの簡単な解説に加え、コラムや授業に役立つ参考資料や用語解説&索引を完備。この本1冊で、日本の伝統音楽の最低限の基礎知識が得られるように編集したので、活用してほしいです。
日本の伝統音楽には、西洋音楽の物差しでは測れない独特の仕組みがあります。例えば、外国人が雅楽の演奏を真似しても、初心者は間(ま)の取り方が妙だったりするそうです。逆に日本人がサンバを歌い踊っても、すぐにはブラジル人のようにはいきません。でも、そうした違いや異質なものをお互いに認め合うことから、他者への共感・協働への道が開けるのではないでしょうか。
グローバル化が進む今だからこそ、心を開いて、こだわりなく自文化や相手文化の音の世界を受け入れ味わえる、そんな「開かれた耳」を育てたい。日本の伝統音楽へのチャレンジが、そのための一歩になることを願っています。
