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教師にとって、教科・単元・授業の重要なまたは中核となる発問と、生徒にとって、思わず授業に身を乗り出すおもしろい問いとは、必ずしも一致しているとはいえません。今回の「キー発問」は、教師と生徒の両方にとって意味のある発問を意識して、バランスのよい授業を展開していただきたいと考えています。
考えさせる授業を展開するには、やはり仕掛けが必要になってくると思います。教材で「?」が湧いてくるもの、それも簡単なものではなく、少し背伸びをしないとできない内容を発問化するのです。そして挑む姿勢を意識させるのです。また日々「考える」ことの重要性を説いていくことも大切だと思います。単に正答を求めるのではなく、正解に行き着くまでのプロセスを大事に、それが楽しいと思えるようにしていきたいと考えています。
授業は、教師だけで成立しているわけではありません。生徒の反応を見ながら、漸次目標に向かって進んでいくのです。ですから一つの発問も、授業の流れの中で提示していかないと、本当の授業展開を示すことにはならないと考えています。生徒の反応(答え)は、すぐに教師が意図している答えとはならないこともあります。しかし、わかってはいるのです。そこで教室のなかで、クラスの仲間とともに答えを近づいていく活動が展開されれば、クラス全体の学習効果は確かに上がります。すべての授業を紹介したのですが、本書では紙面の都合で、例として紹介してあります。
「社会科の授業は発問に始まり、発問に終わる」といわれています。発問に始まるのはわかりやすいのですが、発問に終わるとは、どういうことをいうのかと問われます。それは授業全体を通して、新たな疑問や問題が発生して、学校だけでなく、生涯に渡る課題を見出して欲しいと思っています。生涯に渡る課題を、大きな発問とした場合、大きな発問を育て、支えるのが授業中の小さな発問であると考えています。発問って難しいけど、重要だし、おもしろいなと考えてもらいたいと思っています。