著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
ちょっと変わったノート指導の本です。
兵庫県芦屋市立山手小学校教諭俵原 正仁
2012/6/15 掲載
  • 著者インタビュー
  • 指導方法・授業研究
 今回は俵原正仁先生に、新刊『スペシャリスト直伝! 子どもとつながるノート指導の極意』について伺いました。

俵原 正仁たわらはら まさひと

1963年、兵庫県生まれ。通称“たわせん”と呼ばれている。兵庫教育大学を卒業後、兵庫県の公立小学校教諭として勤務。「笑顔の教師が笑顔の子どもを育てる」という『笑育』なるコンセプトによるユニークな実践は、朝日新聞、朝日放送「おはよう毎日です」などマスコミにも取り上げられた。教育雑誌に執筆多数。教材・授業開発研究所「笑育部会」代表。著書は『授業の演出 ミニワザアラカルト』(小学館)、『なぜかクラスがうまくいく教師のちょっとした習慣』(学陽書房)など多数。

―先生は本書のまえがきの中で、「きれいなノートを書かせることはあくまで手段である」と述べられています。この点について教えて下さい。

 「きれいなノートを書かせる」ことが目的ではないということです。目的は、「子どもの力を伸ばす」ということです。「子どもの力を伸ばす」ために、「きれいなノートを書かせる」のです。ところが、「きれいなノートを書かせる」こと自体が、目的になってしまっていることがよくあります。手段自体が目的化してしまっているんですよね。

―章名にもなっている「ノートで子どもをプロデュース。」ぐっとひきつけられる文言ですが、このねらい・内容について教えて下さい。

 「秋元康氏がAKB48をプロデュースしたように、教師もクラスの子どもたちのいいところをどんどんプロデュースしていきましょう。そして、プロデュースするための方法の一つにノートがありますよ・・・。」というような意味です。子どもたちが持っている力を最大限に発揮できるようにプロデュースするということは、教師の大切な仕事の一つだと考えています。

―ノート指導では、ノートを前にすると1行も書けずに固まってしまう子や、字を書くこと自体に拒否反応を示す子も少なからずいます。そのような場合のアプローチは、どのようなものが有効でしょうか。

 その子が書けない理由によって、教師のアプローチの仕方は変わってきます。書けない理由を私は、「気持ちの問題」「スキルの問題」「内容の問題」と分類してみました。「気持ちの問題」であれば、書くことに対する抵抗感をなくすために、写すことから始めます。そして、がんばった事実をほめまくります。まずは、その子が書けない理由を見つけることが大切です。

―4章と5章では、各教科ごとのノート指導のポイントについてまとめられています。本書で詳しく解説されていますが、各教科ごとの指導のポイントや工夫について、教えて下さい。

 何のためにノートを書かせるのか、つまり、目的は何かを教師が意識して指導することが大切になってきます。たとえば、漢字のノートの場合、「漢字を覚える」ということが目的になります。そのためのポイントは「自分で○付けができる」です。当然、目的やポイントは教科によって変わってきます。他の教科については、本書をご覧ください(笑)。

―最後に、読者の先生方へメッセージをお願いします。

 あくまでも、ノートは、子どもを伸ばすための手段の1つに過ぎません。だから、本書には、ノートの書かせ方だけでなく、ノートで子どもと仲よくなったり、ノートで子どもの居場所をつくったりするような方法をいくつも紹介しています。ノートづくりと言うよりも、学級づくり・授業づくりのニュアンスが強いかもしれません。ちょっと変わったノート指導の本です。是非、ご覧ください。

(構成:及川)

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