著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
言語活動で伝統的な言語文化の授業を活性化しよう!
高知大学教授渡辺 春美
2012/12/21 掲載

渡辺 春美わたなべ はるみ

高知大学教授。
1951年、愛媛県に生まれる。1975年、広島大学教育学部高等学校教員養成課程国語科卒業。1994年、鳴門教育大学大学院学校教育研究科教科・領域教育専攻(言語系コース)修了。香川県大手前高等(中)学校、大阪府立岬高等学校、大阪府立和泉高等学校、沖縄国際大学文学部助教授、同総合文化学部教授を経て、2007年4月、高知大学総合教育センター教授。現在、高知大学教育研究部人文社会科学系教育学部門教授、高知大学教育学部附属小学校校長(兼任)。国語教育学専攻。全国大学国語教育学会、日本国語教育学会、日本文学協会、日本読書学会、日本教科教育学会、中国四国教育学会会員。

―学習指導要領で新しく取り入れられた「伝統的な言語文化」。小学校ではどのように授業で取り上げていけばいいでしょうか?

 伝統的な言語文化の授業を生き生きとした楽しいものにすることが大切です。そのためには、授業に個別化・活動化・協同化・創造化・発展化という活性化の要素(本書9ページ参照)を組み合わせて取り入れたいと思います。それに合わせて、お話大会・再話・ストーリーテリング(話すこと・聞くこと)、シナリオ作り・紙芝居・新聞作り(書くこと)、音読・朗読・群読(読むこと)などの言語活動を適宜組み入れるとよいと思います。

―言語活動を通した「伝統的な言語文化」の授業にはどのようなよさがありますか?

 言語活動は、伝統的な言語文化の授業を活性化させ、主体的な学びを引き出します。また、学んだことを身についたものにし、活用する力を育てます。それを効果的にするためには、言語活動を通して、伝統的な言語文化に関する理解の深化と、自ら学ぶための技能の育成について、確かな見通しを持って授業をする必要があります。

―小学校から「伝統的な言語文化」に親しむことのメリットはどのような点であると、先生はお考えになりますか?

 伝統的な言語文化の授業は、小学校低学年から始まります。そのメリットは、これから伸びていく柔らかな心と感性に働きかけ、個々の児童の中に、伝統的な言語文化への親しみを形成できることです。それは、伝統的な言語文化を継承・発展するための核になると思います。それだけに、児童の心をとらえる授業作りが重要になります。

―本書には付録として、地域教材開発マップなどが掲載されています。これにはどのような活用方法がありますか?

 私たちを育てるものに、地域に根ざして働く伝統的な文化があります。私たちは、地域に根付く文化を創造するとともに、文化に育てられてきました。教材マップは、そのような地域の伝統的な言語文化を知るための入り口となるものです。さらに地域教材を発掘し、教材化して授業を充実させて欲しく思います。

―最後に全国で国語を教える先生方に一言メッセージをお願いいたします。

 授業を豊かに活性化させ、生き生きと楽しく学ぶことをとおして児童が伝統的な言語文化に慣れ、親しむようにしていただきたいと思います。そのためにも、理論と30の具体的な実践例を納めた本書が、皆様の授業作りの参考になれば幸いです。

(構成:木山)

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