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「マイスター」は、もともとドイツの認定職人のことで、ドイツでは、社会的にも高い地位にあります。教室で何かに優れた子どもを認めていくという発想で、様々な「マイスター」を認定していました。それに加えて、「マイスター」には「自分自身が輝く星だ」という意味も含まれています。どの子も、一人一人がスターになってほしいという思いが込められているのです。
先生方にも、発問の技術の高い専門家になってほしいという願いを込めて、本書のタイトルになりました。
授業は全て発問によってつくられていきます。どんなに素晴らしい展開を仕組んでも、発問が悪ければ、授業は台無しになってしまいます。授業は生き物で、教師の思い通りに簡単に進んでいくものではありません。しかし、子どもたちの実態を頭に置いて、教材研究の上に立ってつくった発問であれば、そんなに子どもの発言によってぶれたりはしないものです。
発問は、授業そのものだと思います。
10のルールは、以下の通りです。
ルール1 授業を組み立てる
ルール2 切り口を提示する
ルール3 練りに練る
ルール4 指示と発問は使い分ける
ルール5 学年に合わせて具体的にする
ルール6 文章に向かわせる
ルール7 平板にならないようにする
ルール8 子どもの動きに合わせる
ルール9 板書・ワークシートと連動する
ルール10 教えることをはっきりさせる
全ての教材と子どもたちに、全てのルールが当てはまるはずがありません。
「この教材では、何番のルールの考え方が有効だ。」
「今のうちのクラスでは、何番の発問の考え方が、一番ぴったりだと思う。」
というように、目標、単元と子どもたちを思い浮かべながら、どのルールでいくかを考えていくのが、良いと思います。
その発問で子どもが動き出すことができるのかどうか。この発問で文章に向かい出すのか、考え始めるのか。そうした発問した後の子どもの姿を想像しないと、発問はつくれないと思うのです。
子どもを育てるために発問を考えるという原点は、忘れたくないですね。
発問してから「しまった、こう言えば良かった」とか、「なんでこの言い方で分からないんだろうか」と悩むことも、あろうかと思います。僕もずっと悩んできました。この本に書いてあるのは、成功した例ばかりですが、その裏には、何倍もの失敗発問が存在するのです。一年に数回ですよ、「この発問は良かったなあ」なんて感じられるのは。
悩む自分を大切にしてほしいと思います。考えない人間は悩みません。悩みながら、発問をつくれる教師になっていってほしいと思います。