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「学級づくり」と「(コンクール特有の視点も含めた)音楽の専門的な指導」とがくっついている点ですね。体育祭などには当然体育的指導の側面がありますが、個人の競技力がベースです。合唱は集団芸術であり、より学級の総合力がためされることになると考えます。
もちろんコンクールですから、勝ち負けにしっかりこだわった指導も重要です。2012年のNHKコンクールの課題曲はYuiの“fight”でしたが、勝ち負けも本当は大事なものだよ、というような趣旨の歌詞があります。本質を突いていると思います。
強いて言えば、
- 誰に向けて歌うかを自分に問い続けること
- 音取りを徹底すること
- 毎日録音録画すること
でしょうか。
1は基本的な姿勢に関わること。2は安心して思いきって歌えるために。3は修正のポイントを全員で共有するために、はずせないことです。
歌うのは子どもたちですからね(笑)。先生の苦手意識に関係なく伸び伸び歌うクラスも見たことがありますし。まあ、苦手だなあと思っている担任が40人集まって歌っても、きっとダメでしょうけど(笑)。担任がある程度自信をもって生徒の前に立てるということは、何にせよ大切なことです。
それはぼくにはとてもアドバイスできそうもありませんよ(笑)。
ぼくが国語教師だからでしょうか、言葉の自然な流れを無視した過剰な表現や、日本語として聞こえてこない歌が、結構あります。日本語合唱は詩の解釈の問題が重要で、音を鳴らす、響きを美しくするということで解決できない問題を含んでいると思います。それは、校内合唱コンクールのような場では、ある意味最も顕著に表れると考えます。
これまでにも、合唱指導の技術を扱った本はたくさんあります。また歌わない子を歌うようにする学級づくりに焦点を当てた、いわば心情指導・支援の本もあります。でも両面からバランス良く丁寧に論述した本はほとんどありません。この本は、両面からのアプローチを図ることで、技術主義でも根性主義でもない、「学級の顔をした合唱」が生まれることを目指しました。合唱コンクールの指導が年々難しくなっている中ですが、すてきな歌声が会場に響く手助けができるとうれしいです。