- 著者インタビュー
- 算数・数学
教師の仕掛けた切り口から子どもたちの発想があふれ出し、創造的な学びにつながる授業のことです。教育の世界で「創造力」の重要性はよく説かれていますが、それを常に意識した授業ということで、「クリエイティブ授業」と名付けることにしました。
クリエイティブ授業のねらいは、授業を通して自ら考え、判断し、行動できる自立型人間を育てることです。
本書で紹介しているクリエイティブ授業の7の仕掛けは、次の通りです。
- 学習の目当てを「かくす」
- 学習の「必要性」を感じさせる
- 「不安定」にして思考を揺さぶる
- 思考の「間口」を広げる
- 結論から思考過程への「逆思考」を促す
- 「比較」で授業を活性化させる
- 「先読み」でストーリーを作る
料理は食材によって適した調理法が違います。たとえば、ホウレンソウは「ゆでる」という調理法でおいしさが引き出され、ピーマンは「いためる」という調理法で栄養価が高まる…などです。
実は、食材を「教材」、調理法を「仕掛け」に置き換えても、同様のことが言えます。教材によって、それを引き出すための「仕掛け」が違うわけです。7の仕掛けのうち、どれかが適しているという場合もありますし、組み合わせることによってよりよい授業ができる場合もあります。
いくら料理がすばらしくても、おもてなしがいい加減であれば、お客は満足してくれません。子どもたちの意見を整理したり、子どもたちを惹きつける工夫をしたり、いろいろな方法で指名をしたりと、学習指導案には書かれていない部分の演出が、大変重要になってきます。仕掛けと演出の両輪によって、初めて知的で楽しい授業が生まれるのです。
本書では、たまたま算数という教科を切り口として書いていますが、この仕掛けや演出は、学級経営や他教科の授業にも応用することができます。
「間口」を広げて、自由に係活動を考えさせたり、国語の読み取りで意見が分かれそうなところを取り出して「比較」させたり、社会の授業のめあてを「かくし」、1枚の写真を見せるところから授業を始めたり…と、用途はさまざまです。
よい授業ができるのは偶然でしょうか。あるいは、経験に裏打ちされた感覚でしょうか。私は違うと思います。よい授業ができるためには、「仕掛けと演出」が不可欠だと私は考えます。
授業が思うようにうまくいかない、子どもたちの学習意欲が低い、さらに質の高い授業をつくりたい。本書が、そのように感じられている少しでも多くの方々にとって価値ある本になればと願っております。