著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
一斉授業の技術をマスターして、楽しく知的な授業をしよう!
追手門学院小学校講師多賀 一郎
2013/8/7 掲載
 今回は多賀一郎先生に、新刊『はじめての学級担任4 1から学べる!成功する授業づくり』について伺いました。

多賀 一郎たが いちろう

神戸大学教育学部卒。附属住吉小学校を経て、私立甲南小学校に31年間勤める。現在、私立追手門学院小学校講師。専門は国語教育。「親塾」を開催して、保護者の子育て支援を行ったり、「教師塾」で若い教師の育成に尽力したりしている。また、公立私立の学校や委員会での指導・講演をしたり、幼稚園やサークルなどで絵本の話をしている。
著書に、『小学校国語科授業アシスト これであなたもマイスター!国語発問づくり10のルール』(明治図書)、『子どもの心をゆさぶる多賀一郎の国語の授業の作り方』『全員を聞く子どもにする教室の作り方』『今どきの子どもはこう受け止めるんやで!』(黎明書房)など多数。
現在、明治図書教育zine:指導技術の教科書にて、「多賀一郎の子どもと保護者の願いをよみとく教師塾」が大好評連載中!

―本書では、さまざまな授業のスタイルがあるなかでも、「一斉授業」のつくり方を紹介しています。なぜ、一斉授業なのでしょうか?

 一斉授業のスタイルは、一番基本のスタイルだからです。
 最近、いろいろな学習スタイルが出てきています。ファシリテーションや協同学習など、それぞれのスタイルに意味があるでしょう。そうしたさまざまなスタイルの授業をしていくときに、一斉授業の基礎的な教師の技術が活用されていくのです。まずは子どもへのプレゼン力、話し方・聞き方、教材の分析力等の技術を身につけてから、各スタイルにも汎用していくべきだと考えています。

―授業づくりで先生が一番大切だと感じていらっしゃることはなんでしょうか?

 目の前の子どもの姿から授業をつくるということです。日本全国、どのクラスにも通じる授業というものは、存在しません。いつも、自分の学級の子どもたちにぴったり合った授業を考えていくべきです。この本でも、基本的な考え方を示すように心がけました。それぞれの地域、学校で、応用していってほしいと思います。

―初任者や若手の先生方が授業力を向上させるために、おすすめの方法があれば教えてください。

 方法というよりも、まずは考え方として、自分に合った技術から少しずつ身につけようとすることです。全ての技術を短期に身につけていくことはできません。また、自分に合わないことを無理にやっていっても、不自然なだけです。「自分なり」「自分の等身大」ということを考えていくことが、教師としての根幹を作っていくことになるのだと思います。

―本書は「はじめての学級担任」という初任者・若手向けのシリーズの1冊ですが、中堅の先生方にも読んでほしいと書かれています。中堅の先生方には、どのようなところに注目して読んでいただきたいですか?

 各地で講演等をさせていただいて感じることは、中堅の先生方の方が、こうした基本的なことについて学んだ際に、感動してくださるということです。「そういえば、大切なことを忘れていました」「こんなところは考えていなかったです」というようなお声をいただきます。若い先生よりも、少し経験を積んで課題をもっていらっしゃる先生の方が、納得してくださるのです。
 「はじめての学級担任」というシリーズ名に引っかかりさえしなければ、中堅の先生にこそ必要なことを書いたのではないかと考えています。ご自分の授業を見つめ直すという観点で読んでいただきたいものです。

―最後に、読者の先生方にメッセージをお願いします。

 授業づくりは、先生にとっても面白く楽しいものです。この本では、どうやって楽しい授業をつくっていくのかということを書いたつもりです。また、授業づくりの元になるいろいろな細かい技術もたくさん示しました。
 それぞれの教室で活用していただけたら、ありがたいことだと思います。
 授業って、本当に楽しいものですよ。

(構成:杉浦)
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