- 著者インタビュー
- 授業全般
授業には目標があります。たとえば、「平行四辺形の面積の公式を理解している」という目標だとします。公式を理解しているということは、単に公式を暗記していることではありません。長方形に等積変形すると底辺×高さという公式が導かれることを理解しているということです。理解するためには、平行四辺形の面積の求め方を工夫する活動が必要です。この活動をうながすのが主発問なのです。主発問で行った活動や考えを目標に結び付くように導くのが教師の役割だと考えています。
授業を考えるとき、始めにどんな問題にするかを考えることが多いと思います。私は、逆に本時の目標を具体的な子どもの姿で考えるところから始めます。目標を達成した子どもにするには、どんな話し合いが必要か。話し合いをするためにはどんな考えが出るとよいか。その考えを出すにはどんな発問が必要か。ここが主発問になります。最後に、本時で必要な考えを出すための問題を考えるのです。このように、本時の目標を達成した具体的な子どもの姿からさかのぼって考えます。
指導案を眺めながらよくイメージトレーニングをします。何度も行うと、発問に対してどの子がどのような発言をするかまで見えてくることがあります。そのようなときは、見事なくらいイメージ通りに授業が進んでいきます。逆に、指導案を眺めていて授業のイメージのわいてこない授業は、発問しても子どもは何を発言したらよいか分からずシーンとしており、結局一問一答の授業になってしまいます。
どのような言い方で指示や発問をしているか意識したことはありますか。命令口調だったり、お願い口調だったり…。いつも同じような言い方ではなく、場合によって、場面によって、小さな声で、大きな声で、笑顔で、毅然としてなど、工夫することがもっとも効果があります。自分が子どもにどう映っているのか、鏡を見ながら声を出してみるのもよい方法です。
発問や指示は毎日行っているものです。教師の言語活動と言ってもよいでしょう。ご自分の学級では、発問や指示が効果的になっているでしょうか。まずは、発問と指示、それぞれの役割を意識することが第一歩です。その極意や上達の秘訣は本書に詳しく書いておきました。是非手に取って見てください。
授業はよくドラマに例えられます。盛り上がる場面があり、結末へと向かいます。本時の盛り上がる場面を演出するのが発問です。発問でいろいろな考えが出て、話し合いで高められていく。ここが感動のシーンです。授業で子どもに感動を届けましょう!