著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
板書が変われば、社会科の授業が変わる!
埼玉県久喜市立太東中学校教諭青柳 慎一
2014/1/7 掲載
 今回は青柳慎一先生に、新刊『中学校社会科 授業を変える板書の工夫45』について伺いました。

青柳 慎一あおやぎ しんいち

1963年 東京都生まれ
埼玉県公立小学校、中学校、埼玉大学教育学部附属中学校に勤務し、現在久喜市立太東中学校教諭
中学校学習指導要領解説社会編作成協力者

―本書の冒頭で、社会科における板書のポイントとして、事象の構造が見えるように工夫する、ということがあげられています。“事象の構造が見える板書”とは具体的にどのようなものなのでしょうか。

 社会科の授業では、社会的(地理的・歴史的)事象を多面的・多角的に考察させ、理解させていきます。その際、考察の過程をとらえて事象の構造がわかるような板書が工夫できれば、板書を、生徒の思考を助けたり学習内容の理解を図ったりするための方策とすることができます。
 例えば、関東地方に人口が集中する理由を板書でまとめるときに、位置や自然環境、産業など様々な面から考察した結果を関連付けて構造図に整理します。そうすることで、関東地方に人口が集中するといった地理的事象が、他の様々な事象と有機的に関連していることが視覚的にとらえやすくなります。
 本書では、このような板書の工夫を“事象の構造が見える板書”ととらえます。

―本書では、ビジュアルな板書の重要性も指摘されています。青柳先生は、具体的にどのようなことを工夫されているのでしょうか。

 略地図や略年表、概念図などを使って、視覚的に事象の構造をとらえやすくするよう考えました。また、取り上げた用語やその説明を板書するだけでなく、それらの関連を矢印で結んだり、押さえさせたい部分に線を引いたり、色を変えたりすることもしています。写真パネルやイラストなどを掲示すると板書にアクセントをつけることができますので、必要に応じて用いています。

―青柳先生は、言語活動と板書の関連についても触れられています。生徒の言語活動において、実際に板書がどのように関係してくるのか教えてください。

 板書は、教師が授業の展開を踏まえながら、学習内容をまとめていくことが多いと思います。その場合でも、例えば、本時の学習のまとめについては、一部分のみを教師が板書して、後は生徒に考えさせるといった具合に、板書を使って生徒の言語活動を促す工夫とすることができます。板書を見れば本時の学習内容がわかるので、学習のまとめを記述させる際に「黒板を参照して」と板書を情報源として利用することもできます。また、生徒が思考したことを、実際に黒板に書かせ、それを取り込みながら板書をつくっていくことも考えられます。

―最後に、読者の先生方へメッセージをお願いします。

 私自身、授業後に生徒から「今日の授業はわかりやすかった」と言われるとうれしくなりますし「今日はよくわからなかった」と言われると、どこがまずかったのか反省しきりとなります。まだまだ迷うことが多いのが実際です。よりよい授業をつくっていくうえで、多くの先生方とアイデアを情報交換し合い、その結果を共有していくことが大切だと考えます。この点で、本書が先生方のお役に立てるところがあれば幸いです。

(構成:矢口)
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