著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
M・F・Cチームワーク指導を土台に、これだけは押さえておきたい
前富山県滑川市立早月中学校教諭寺崎 賢一
2014/1/16 掲載
  • 著者インタビュー
  • 生活・生徒・進路指導
 今回は寺崎賢一先生に、「THE 教師力」シリーズの最新刊として発刊された『THE 生徒指導』について伺いました。

寺崎 賢一てらさき けんいち

1953年生まれ。1976年早稲田大学教育学部卒。2002年早稲田大学大学院教育学研究科修士号取得。同博士課程に4年間在学。「M・F・Cチームワーク指導」の提唱者。また、構造主義による文学的文章の主題読み指導の提唱者。前滑川市立早月中学校教諭。

―今回の書籍は、『THE 教師力』シリーズの1冊として、テーマが「生徒指導」です。まずこの書籍の“ねらい”や、そこに流れる先生の想いについて、教えて下さい。

 あまたある生徒指導の本の中でも、この本だけが「M・F・Cチームワーク指導」という極めて実践的かつ理想的な生徒指導の在り方を提起しています。生徒指導をする先生にほしいのは、肚を鍛錬すること(これは徳の一つです)、様々な課題に対応できるようにノウハウを学び続けること(これは知の一つです)、一芸を追求し続けて生徒のモデルとなること(これは体の一つです)です。そんな願いをこの本に込めてみました。

―本書は、かなり幅広い分野の専門家・実践家の先生方が執筆されています。この分野・先生方にご執筆いただいたねらいについて教えて下さい。

 私は中学校現場で、学年全体の生徒指導担当を15年以上、学校全体の生徒指導主事を10年間務めさせていただき、たくさんの失敗と成功を繰り返して参りました。その経験から、「少なくともこの指導だけは絶対に欠かせない」と思われるものを厳選した結果このような複数の分野になりました。

―生徒指導については、保護者などの風当りも厳しくなっていること、子どもへのインターネット・携帯の普及などの社会情勢もあり、以前とは違った指導を考えなければならないことも多いようです。これからの生徒指導のポイントについて教えてください。

 学校はコンビニのようなサービス業とは大きく違います。「人格の完成」を目指すことが、法律で命じられた学校の最大の任務です。そのためには「知育」以上に「徳育」に重点を置くべきであり、それに必要なことはたとえ親や子どもがクレームをつけてきても動ずることなく粛々と推し進めるべきなのです。将来を担う有能な人材を育てるには、まず健全な「体」を育て、その上に「徳」を育て、その上に「知」が花開くように育てることです。

―本章U章でまとめられている「トラブルを生まない集団づくり」は、生徒指導の根本とも言えると思いますが、そのポイントについて教えてください。

 私はこれまで「教え合い、励まし合い、探究し合うクラス」という標語を生徒に提示し、それを目指してきました。
 他人の間違いをあざ笑う生徒がいたら「○○君、この国語の授業では、互いに励まし合うクラスにしていこうじゃないか」と真剣に呼びかけます。授業に毎回10分ほどの班活動を入れ、「教え合うことで、できる人もできない人も大きく向上するんだよ。第一、互いに助け合うって、楽しいことじゃないか!」と語りかけます。クラスの友達との会話がはずみ、居心地がよくなり、温かいホームになれば、冷え切った、荒れた心も穏やかになっていきます。結果として問題行動も激減していきます。
 学校全体がその方向で取り組むことで、クラスも学校も大きく変わることが実証されています。

―最後に、読者の先生方へメッセージをお願い致します。

 自分のクラスを自分の力だけでうまく収めて満足しているような時代は終わりました。これからは、教師こそが互いに助け合い、スクラムを組んで、互いの短所を補いながら仲良くやっていくことが生徒指導成功の秘訣です。そのためには、力のある先生こそ、傲慢にならず、常に同僚の言葉に耳を傾けていってほしいのです。まさにそこからチームワークの輪が広がっていきますから。

(構成:及川)

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