- 著者インタビュー
- 学級経営
時々、教育セミナーでお会いした全国の先生に、「西村先生のご実家は豆腐屋ですか?」と聞かれるんですが(笑)、決してそうではありません。
僕は、理想の教師像として、
@細やかさ・緻密さ・綿密さ(→マメさ)、
A子どもを鍛えて伸ばす教師の指導性・父性的態度(→四角さ)、
B子どもを受け入れる受容性・母性的態度(→やわらかさ)、
C知的好奇心を喚起する面白さ・楽しさを感得できるような教師の指導性(→面白さ)
…をバランス良く身にまとう必要性を感じています。
この4つの要素が、いわゆる「豆腐」の特徴と合致するんです。そして、目指す子ども像、理想とする学級通信など、全ての教育活動が、この「豆腐の教育哲学」に集約されると言っても過言ではありません。
本書で詳述しておりますので、是非ご覧いただければと思います。
最も肝心なことは、学級通信作成や発行そのものが目的化してしまわないことだと思います。「クラスづくりの核になる」という本書のタイトルにもあるように、よりよい学級経営を実現するための一つのツールとして学級通信を活用し、家庭の信頼や協力を得ながら子ども達を伸ばしていくという意識が肝要かと思います。その目的さえ見失わなければ、おのずと、号数や記事の在り様も変わってくるのではないでしょうか。
ただ、これでは初めて学級通信を書く先生や、若い先生方には分かりにくいですね…(笑)。一応本書においても、多くの学級通信事例を掲載していますので、ネタやコツ等については、そこから感じ取っていただければと思います。
一言で言えば、「1年間の学級づくりの見通しをもった上での、時機を捉えた仕掛け」といったところでしょうか。つまり、年間の学級経営の中で、どこで(どうやって)教師が子どもや保護者とつながり、どこで子ども同士をつなげ、どこでより積極的に子ども達を鍛え育てるのか…といった仕掛けを大切にしているということです。
本書においても、学級通信というスコープを通してではありますが、その一端を感じていただけるのではないかと思っています。また、そうした意味において、普段学級通信を出されない先生方にも、手に取って読んでいただくに耐え得る一冊になったのではないかと自負しているところです。
学級通信関連の多くの類書や先行実践等を参考にしているのはもちろんですが、学級通信実践でなくとも、全国の素晴らしい先生方の実践を通信記事に変換して落とし込んだりもしています。
例えば、本書の中には、北九州の菊池省三先生の「ほめ言葉のシャワー」を、構造化(可視化)して学級通信記事にしたものがあります。このように、常にアンテナを張ったり、アイデアを模索したりしている内に、結果としてバリエーション豊富な学級通信群になったと言えます。
スペシャリストでも何でもない僕が、このような本を上梓すること自体、誠に僭越ではあるのですが、温かい保護者の皆様、力ある素敵な同僚の先生方、そして何より…、素晴らしい子ども達と紡いできた教室の情景を映し出した本になっていることだけは確かです。そういった意味において、学級通信の実践を紹介する本…というよりも、僕の拙い学級経営をLIVE感覚で感じていただく本…といった趣になっていると思います。
学級通信の在り様を含め、本書が、志ある全国の先生方のお役に少しでも立ち、日本全国の多くの子ども達の笑顔に寄与することができるならば、それは望外の喜びです。