著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
「日常授業」が変われば、教師の「日常」も変わる!
元横浜市立小学校教諭野中 信行
2014/3/20 掲載
 今回は野中信行先生に、新刊『日々のクラスが豊かになる「味噌汁・ご飯」授業 国語科編』について伺いました。

野中信行のなか のぶゆき

1947年、佐賀県生まれ。1971年、佐賀大学教育学部卒業。37年間横浜市立小学校教諭として過ごし、その後3年間初任者指導の仕事をする。主な著書に『新卒教師時代を生き抜く心得術60 〜やんちゃを味方にする日々の戦略〜』(単著)、『新卒教師時代を生き抜く学級づくり3原則』(単著)、『新卒教師時代を生き抜く“2W”仕事術 初めて教壇に立つ先生のための日々の心構え』(編)、『新卒教師時代を生き抜く初任者1ヶ月の成功シナリオ』(単著)、『新卒教師時代を生き抜く授業術 クラスが激変する日々の戦略』(共著)などがある。

―書名にもなっている「『味噌汁・ご飯』授業」とはどのような授業を指すのでしょうか? 先生がこの言葉に込められた想いも合わせてご紹介ください。

 「味噌汁・ご飯」授業とは、「日常授業」を喩えたものです。
 毎日食べている「味噌汁・ご飯」「日常授業」のイメージとしてネーミングしたものです。だから、この「味噌汁・ご飯」授業は、1年に一,二度行われる研究授業などの「ごちそう」授業ではなく、普段行っている授業を意味しています。私達は、この「日常授業」を豊かにしなければ学校教育は変わらないという考えを強く持っています。その願いを「味噌汁・ご飯」授業に込めました。

―野中先生がこの「味噌汁・ご飯」授業の改善・充実を強く訴える理由を教えてください。

 今、学校教育が大きな曲がり角に来ていることは誰でもが認識しています。しかし、どこから変えていけばいいのか、意見が分かれるところです。あまりにも問題が多すぎて、どこから手をつけていけばいいか分からないという意見もあります。
 私達は、教師の立場から、学校の「日常」を成立させている「日常授業」を改善・充実させていくことが大きな課題の1つであると考えています。「授業研究」は、ここから手をつけようというのが私達の立場です。

―本書では「味噌汁・ご飯」授業の理論とともに、実践編として国語の授業づくりについて詳しく紹介されています。この授業にはどのような特徴がありますか?

 「味噌汁・ご飯」授業の目的は、

  1.  日常性の追求 
  2.  基礎学力の保障 
  3.  全員参加の授業

の3点です。
 まず、日常に耐えられる授業でなければ意味がありません。だから、教科書を使い、指導書の助けを得て、すばやく教材研究をしながら、授業を作り上げていくのです。
 そのために、毎日授業がある国語の授業づくりを最初に提案しました。「ごちそう授業」の提案ではありません。あくまでも教科書に従っていくという方針で貫きました。
 拙い実践ですが、私達の心意気が伝わればいいかなと思っています。

―本書で紹介している「一人研究授業」とはどのようなものなのでしょうか? また取り入れることによってどのような効果がありますか?

 この「一人研究授業」は、私達の研究方法として実際に実践している方法論です。
 実践編としてその一端を紹介していますが、数回の実践だけでも自分の授業が洗練され、充実していく手応えを得ています。
 これからこの研究方法は、初任者指導などに本格的に取り入れていけばいいものだと考えています。

―最後に日々授業を行っている読者の先生方にメッセージをお願いします。

 私達は教師の立場から、先生たちが元気になるには、この「日常授業」を充実させていくことがまず第一の課題であると考えてきました。普段行っている授業が、1時間でも2時間でも、子供が豊かに反応して充実したものになっていけば、それだけでも教師は元気になっていくものだと、今までの経験が伝えてくれています。
 今までともすれば「雑務」のように考えられてきた、この「日常授業」を改善・充実させていく試みをともに頑張っていきましょう。

(構成:木山)
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