著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
合理的配慮って?共生社会って?Q&Aで早わかり!
大谷大学文学部教授木舩 憲幸
2014/4/8 掲載
今回は木舩憲幸先生に、新刊『そこが知りたい!大解説インクルーシブ教育って?』について伺いました。

木舩 憲幸 きふね のりゆき

大谷大学文学部教授。元中央教育審議会専門委員。
(初等中等教育分科会、特別支援教育の在り方に関する特別委員会)(平成22年7月20日−平成24年6月8日まで)

―本書は、『インクルーシブ教育って?』と題されていますが、「インクルーシブ教育」とはどういう意味なのでしょうか?

 障害者の権利に関する条約ではインクルーシブ教育システムという言葉が用いられていますので、ここでは「インクルーシブ教育システム」について述べてみます。障害者の権利に関する条約、障害者基本法や中央教育審議会初等中等教育分科会報告)を参考にして述べると、「インクルーシブ教育システム」とは障害のある子どもが可能な最大限の発達を目指すために十分な教育を受けることができ、そして障害のある子どもと障害のない子どもが共に学ぶことのできるシステムとまとめることができます。このシステムで学ぶことによって、様々な能力を発達させ自立と社会参加を目指します。

―本書をどんな方に手にとっていただきたいですか? 特別支援教育にかかわられる先生でしょうか?

 すべての先生にお読みいただければ幸いです。すべての先生と申しあげたのは、障害のある子どもの教育的ニーズに適切に応える教育は特別支援学校・特別支援学級・通級による指導においてのみ行われるものではないからです。幼稚園・小学校・中学校・高等学校・中等教育学校の通常の学級において、障害のある子どもの教育的ニーズに応える教育を行うことは学校教育法に明記されているからです。また、中央教育審議会初等中等教育分科会(報告)ではすべての先生に障害のある子どもの教育に関する一定の専門性が必要であることが述べらているからです。
 さらに、教育関係者以外の多くの方々、例えば医療・福祉・労働等の関係機関の方々や保護者等多くの方々にお読みいただければ幸いです。

―本書には、解説だけでなく「Q&A」がたくさん掲載されていますが、このQは実際によく先生が現場の先生から尋ねられることがらとのこと。その1つをご紹介いただけないでしょうか。

 たくさんご質問いただいています。1つと言うことで迷いますが、「今まで障害のある子どもを担任して学びの工夫を様々に行ってきている。合理的配慮という新しい言葉だが、これまでとは違った何かが求められるのか。」という趣旨の質問をよくいただきました。
 合理的配慮という新しい言葉がどのような内容なのか、これまで一生懸命行ってきたことで良いのか、それだけでは何か足りないのか、これからどのように取り組んでいけば良いのかといった様々なお気持ちが背景にあってのご質問と受け止めています。

―最後に、これからの特別支援教育がどのようになっていくのか、先生のお考えをどうぞ教えてください。

中央教育審議会初等中等教育分科会(報告)では、特別支援教育を推進することによってインクルーシブ教育システムの構築を行って行くことを述べています。その意味で、障害のある子ども一人一人の教育的ニーズを把握して適切かつ必要な指導及び支援を行う特別支援教育はより一層推進されていくと考えています。

(構成:佐藤)

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