- 著者インタビュー
- 学級経営
学級経営や授業のやり方が時代や子供の変化に追いつけていないことが、学級崩壊に結びついています。どの先生も一生懸命にやっているのですが、そのやり方が「かくれたカリキュラム」として働き、意図とは違う結果を招いてしまっていることが多いのです。
先生が、何気なく、あるいは「こうなるはずだ」と思って発した言葉や、無意識にとっている所作などが、子供たちには意図と違う受け取られ方をしていることは多いものです。それが日々繰り返されているのですから、先生の思惑と子供の受け取りのずれが多くなるのは当たり前です。そこで、本書では第1章で学級経営の場面、第2章で授業場面について各11場面を選んでクイズ形式で考えられるようにしました。また、第3章ではそれを改善するための具体的な方法も提案しました。
先生たちは、多くの場合直感的に「これ!」と指導方法を選びます。しかし、それですと、なかなか「かくれたカリキュラム」には気付きません。そこで、まず織物モデルの「縦糸(秩序、ルール、長幼の序、伝統)」と「横糸(子供と先生、子供と子供との、同じ人間としてのフラットな心の通い合い)」を座標軸として、ある場面で考えられる具体的な指導を4つ想定します。そして、それらを比較することで、自分が直感的に選んでいる指導方法の傾向をメタ認知できるようにしようというのが、「四類想定法」です(図参照)。短時間ででき、効果の高い方法だと思います。
武藤氏は、北海道で仕事をしていた間、毎週2冊以上の教育書を読み、北海道中をくまなく回って実態を見てこられたと聞いています、その武藤氏が、教師とは少し違う視点で、しかし教師と同じように熱い思いを持って「かくれたカリキュラム」に着目していること、そして多くの教師に気付いて欲しいと願っていることを、ぜひ多くの方に知っていただきたいと思います。
教育書を手に取る先生は、「まず自分が変わろう」という気持ちをお持ちだと思います。そのこと自体が、ポジティブな「かくれたカリキュラム」として、子供たちに好ましい影響を与えていると思います。しかし、自戒も込めて言いますが、人の自己認識の範囲は思いのほか狭いものです。本書が、前向きな先生の視野を広げ、省察を深める助けになったらと思います。また、指導的立場にある方には、若手の先生への具体的な指導に役立つと思います。多くの方に活用していただければと思います。