- 著者インタビュー
- 指導方法・授業研究
「効用その1」は、ゲームを巡って教室の中に様々なコミュニケーションが生まれることです。コミュニケーションがあることによって教室が楽しくなります。「効用その2」はコミュニケーションの楽しさを通して「学ぶ力」を獲得できることです。その他にも「連帯感・充実感・達成感」などを味わうことができますし、協同性も養われます。
きっかけは「学級崩壊」です。1997年に始まる学級崩壊をあれこれ調べていくうち、「崩壊」現象を引き起こす原因の一つに「授業はつまらないもの」という昔からの定説があることに気がつきます。しかし、時代の変化と共に「学校もできるだけ楽しく学ばせてほしい」という人が増えてきています。子どもが「退屈」だと思ってしまう授業をなんとか変える方法はないかと考えて辿りついた授業(教材)の一つがこの学習ゲームです。
授業の究極の目的は「学力向上」です。学習ゲームは様々なコミュニケーション溢れる楽しい活動なので授業は盛り上がります。しかし娯楽ゲームと違って、学習ゲームは盛り上がるだけでは意味がありません。その盛り上がりの中で生まれた学びを定着させる必要があります。そのためには教師が「ゲームの中の学びのしかけ」を熟知する必要があります。「学びのしかけ」を知ることによってゲームから学びを引き出しやすくなります。
自分なりに「これなら学びを引き出せる」と納得できるゲームから手を付けることです。そして、そのゲームが本当に子ども(たち)の学びを引き出しているかをよく観察するクセをつけるといいです。授業の中の観察、あるいは、授業終末部における振り返りの作文などによってそれをするとよいでしょう。こうした省察のクセによって「ゲームから学びを引き出せたという実感」がないと、なかなか長続きしないと思います。
ぜひ本書を手にとって「学習ゲーム」に挑戦してみてください。従来の「大事なことを教師の言葉によって教える教え方」と違う「体験型の学び」です。慣れないと戸惑うこともあると思いますが、少し変わった教材の一つと思って少しずつ活用していただければ、きっとお役に立てると思います。ぜひ実際に試してみて下さい。