著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
生徒に教える内容の“その先”を見つめよう
創価学園教諭小森 弘三
2014/9/3 掲載
 今回は小森弘三先生に、新刊『中学校数学科 発展・一般化をめざす教材研究の工夫27』について伺いました。

小森 弘三こもり こうぞう

1956年生まれ,東京都在住。
筑波大学第一学群自然学類卒。
桐蔭学園教諭を経て現在,創価学園教諭
数学教育協議会会員。

―まず、発展・一般化をめざして数学の教材研究を行うことの意義を教えてください。

 数学自体が、具体的な数値で成り立つ関係が見つかったとき、それがどんな数値でも成り立つのか、次元を上げても成り立つのかなどを考えようとする学問なので、数学教育においても単に与えられた公式を使いこなす人間を育てるのではなく、それをどう発展させるかという視点をもつことを教えたいと思います。そのためには、教師自身が発展・一般化することに関心をもって学んでいく姿勢が大事だと考えています。

―学んだことを発展・一般化させて考えられるような生徒を育てるためには、どのような指導を行えばよいのでしょうか。

 数学は公式を覚えて当てはめるものだと思っている生徒も多いと思います。数学の歴史を通して、数学とは発展や一般化を目指して進歩してきたという事実を教えたり、生徒のレベルに応じて課題を課したりするのもよいのではないでしょうか。小石を並べてつくった三角数や四角数を一般の図形数に拡張する題材や、三平方の定理は文字の個数を増やす拡張は可能でも次数を上げる拡張はできない(フェルマーの大定理)という話題などが考えられます。

―本書では、発展・一般化の具体的な視点の1つとして「数値で成り立つ事柄を文字で表す」があげられています。これは、中学校数学で身に付けさせたい大変重要な考え方の1つだと思いますが、指導のポイントを教えてください。

 任意に選んだ数がある操作によって一定の数になってしまうトリックや数当てなど生徒が不思議に感じる体験を通して「なぜ?」と思わせ、不思議の解明のために具体的な数を文字で抽象化することによって数の特徴や構造が見えてくることを理解させるのは1つの方法だと思います。

―最後に、読者の先生方に向けてメッセージをお願いいたします。

 数学の問題を鮮やかに解き、解き方を教えるだけでなく、数学の歴史を熱っぽく語り、数学を教具や実験など目に見える形で表現して見せ、現実社会で役立っている場面を紹介したり、ときにはパズルをして数学的なマジックを見せてくれたりする。そんな先生が増えれば、数学嫌いが減るのではないかと思っています。ともにがんばりましょう。

(構成:矢口)
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