- 著者インタビュー
- 授業全般
毎年、全国から様々な方が上越においでになり、2泊〜3泊かけて『学び合い』授業を参観し、私と議論します。その方々から、「本で書いてあったことの意味は、そうだったんですか」という言葉がよく出ます。本の言葉と、会話の言葉の違いだと思います。本書では、その方々の聞かれること、そしてその方々への説明を書いております。文語調の本と本書を併用することによって、より深く学べると思います。
神のごとき教師であっても、すべての子どもに分かる説明や板書は不可能です。結果として、必ず最後まで分からないままの子どもがいます。今までは、保護者も子どもも「まあ、仕方ない」と納得していました。ところが今は違います。その中で、モンスターペレンツという言葉が生まれ、心の病で休職する教師が激増しました。ところが、保護者や子どもの要求には現状の授業には出口はありません。だから、『学び合い』に可能性を見つけようとする教師が増えています。そして、今後、保護者や子どもの要求は厳しくなります。
『学び合い』の本体は「一人も見捨てない」という強烈な願いです。それを実現するには一人の教師では無理です。子どもたちと一緒に実現するしかありません。そのためには、子どもたちに「一人も見捨てない」ことは「徳」ではなく、自分にとって「得」であることを理解させる必要があります。それには教師は人の道を「教え」なければなりません。そして、子どもたちの力を最大限生かすためには、子どもたちに自主的な判断する場面と、行動する時間を与える必要があります。それが現状の『学び合い』の授業形態なのです。つまり、「一人も見捨てない」が本体であり、「たち歩き、相談OK」の授業形態はそれを実現するための結果なのです。
みなさんが教職を目指し、そして初めて教壇に立ったとき、全員が分かる授業、全員が安心できるクラスを願っていたと思います。しかし、1年もたたずに、「それは理想論」と思ったのではないでしょうか?それは私もです。しかし、それは理想論ではなく、可能です。その可能性を追求してみませんか?それによって、教職を選んだ皆さんの生涯を誇り高く、確信に満ちたものにしてくれます。