- 著者インタビュー
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縦20cm×横100cmに切った白色マグネットシートの周囲を赤の油性マーカーで囲んだ物です。教師はこれを黒板に貼ってホワイトボードマーカーで学習課題を書きます。深緑色の黒板に対し、白地に赤の課題ボードは子どもたちの目を引き、ねらいに向かって学習する意識を高めます。また、教師にとっても1時間のねらいを明確にできるだけでなく、学習課題を書き忘れないようにするという効果もあります(笑)。
私の勤務している学校では、課題ボードを取り入れてから県の学力調査の平均点が徐々に向上し、最初は県平均を下回っていたのが3年間で6点近く上回るようになりました。「課題ボード=学力向上」と考えるのは早計と思いますが、授業のはじめに課題を確認すると、それに向かって落ち着いて学習に取り組む子どもたちの姿がどの教室でも見られます。その積み重ねが学力の向上に役立っていることは十分に考えられることだと思います。
板書の中でも目を引く存在である課題ボードが「授業の最初に目標を示す」お手伝いをすることは間違いありません。ただし、ここに「ごんぎつね」と教材名を書いても、「バスに5人乗っています。次の停留所で…」と文章問題を書いても子どもにとっての目標にはなりません。私の学校でも最初のうちは「何を書いていいかわからない」「どう書けばいいか悩む」という声が上がりました。私の場合は研究通信で使い方を説明したり、指導した子どものノートを見合う研修会を行ったりしました。「全校で課題ボードに取り組むんだ」という大きな流れができると、廊下を歩く若手がベテランの課題を目にしたその一瞬が研修になります。そうやって全校で課題の質を上げていくことで、子どもたちに目標が伝わる課題ができていくと思います。
本書の課題を考えるワークを、ぜひ校内研修で扱っていただければと思います。一人で考えるのもいいですが、ペアやグループで考えることによって、若手がベテランに課題づくりのポイントを学ぶ機会になりますし、逆にベテランが若手から刺激を受けることも期待できます。また、本書では国語の「スイミー」の見開き2ページで100問の課題づくりなども紹介していますので、ゲーム感覚で挑戦してみてはいかがでしょう。
課題ボードは、日々の授業を「学習課題→学習活動→評価」とシンプルに展開させる効果がありますので、この基本の上にご自分のオリジナリティーを発揮して、子どもたちの目が輝く授業を工夫していただきたいと思います。今、学力向上が私たちの肩に重くのしかかりますが、子どもたちに負荷をかける方法は勉強嫌いを助長するなどの反作用もあります。まず、教師自身が授業の質を上げ、子どもたちの力を伸ばそうとすることが大切です! そのためのツールとして課題ボードを全校に取り入れていただければうれしいです!